雨上がりの朝 空気の形 2篇
雨上がりの朝
朝が惜しみなく
こぼれ落ちる
朝に砕かれた
水晶の粒が
一つずつピアノのメロディーのように
朝を奏でていく
キラキラとあちらこちらで
煌めき
さぁ〜と吹いた風に
光の粒は金粉のように広がる
夜もすがら泣き続けたことが嘘のように
今朝は虹色に散りばめられ
夜を破り 夜を乗り越え
今 朝はただただ
輝いている
とても静かに
朝は微笑む
きらめきが続くことはないと
知っているのに
この朝に この朝を
清めるように
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空気の形
今空気は春の形をしている
桜並木を切り抜き
真紅の椿をほんわりと包み込む
今空気はあなたの形をしている
柔らかな髪の一本一本を丁寧に包んで
微笑んでいる形の良い顔を包む
ふんわりと笑い声と
暖かな日差しをくるりと丸め
土の香りがする大地に転がす
そして空気は
あなたを抱きしめている
あなたの形のまま
いつも、いつも、そしていつも