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お披露目会!?

 貴族の自慢大会こと、お披露目会はマリファーナ王国の王城にて、催される。

 

 今年、6歳になった貴族の子供たちを本来ならば、メインとするはずなのだが、貴族というものは腹黒いとまでは言わないが、自分が少しでも出世するため、その地位を長いこと維持するためには、手段を厭わないという狡猾を兼ね備えている。

 だから、このお披露目会の主役はというとどちらかというと大人たちがメインとなってしまっているらしい。

 まぁ、そんなことを聞いたら、お披露目会はというものはパーティという楽しいものではなく、少しばかりか面倒くさいものだなぁと思ってしまうのである。


「はぁ……父上……お披露目会は強制参加なのですか? なんだか、とても面倒くさいなぁと思ってしまうのですけど……」


 と、俺が面倒くさそうなお披露目会に行くことに憂鬱そうにしていると、


「まぁ、こればかりは仕方ないんじゃないか? それに、王女様はお前と同い年だし、運が良ければお近づきになれるんじないか?」


 と、父さんそのがそう言うのなら仕方がない。

 それに、この国の王女様にはまだ一度もあったことがないし、どんな人なのか正直、興味がある。


「はぁ……王女様に免じて出席することにしますね」


 と、俺が冗談交じりに、諦めてお披露目会に参加することを宣言すると、

「まぁ、カインなら王女様くらいコロッと落とせるんじゃないか? 純白の髪に金色の神眼に魔法陣の紋様なんてそうそう滅多にないからな。普通なら不気味なのだが、カインのはもはや芸術品みたいで、神々しいからな……って、カインは神だったな!はっはっは!」


 と、愉快そうに父さんが笑う。

 確かに俺の容姿はナルシストではない俺が認めれるほど一級品だ。


「あっ、父上! ステータスのことは内緒ですよ? 言ったらもう神界に帰っちゃいますからね!?」


 まぁ、父さんが言うはずもないだろうけど、いちよ釘を刺しておく。


 俺の恩恵は余りにもヤバいということで、それについて家族内で相談して、俺が洗礼の儀でもらった恩恵は魔眼ということにしている。


 神眼のせいで、人とはもはや思えない目を常時しているため、それを隠すのではなくあえて、魔眼ということでそれ以上のことを隠すというカモフラージュに使っている。


 家族の皆はこれが神眼だということは知ってるのだが、


「わかってるよ! じゃあ、いくとするか」


 俺と父さんは馬車に乗り込み、王都の屋敷から王城へと向かって、進んでいく。


 と、しばらくして、王城へと到着した。


 王城の前には巨漢の門番が待ち構えていて、俺たちの馬車に止まるように促す。


「グロビール伯爵様でしたか。確認が取れましたのでどうぞ中へとお入りください」

 

 と、検問のようなものを受けてから中へと入って行った。


 王城は母さんが言った通り、教会よりも遥かに大きくて、もはや一つの山のような大きさをしていた。

 

 馬車が中央広場らしき場所に止まり、馬車から降りた。


 その後は父さんの跡を追うようにして王城内を歩いて行く。


 それにしてもあのおばちゃん余りにも化粧が濃いと思うんだけど、もはや肌がカピカピなんじゃないか? それになにあの服!? もはやクジャクみたいだ。誰かに威嚇しているの?

 

 うわっ! あそこに豚さんが!?

 意味は違うけど、豚に真珠みたいな感じだ。 あそこまで腹に脂肪をたっぷりと蓄えていると、どんなに着飾っていても下品に見えてしまうのは仕方ないことだろう。

 本人は気付いていないようだが、


 けれど、その中にはそんな醜いものばかりではなく、宝石のように美しいと思える人たちが中にはいた。

 そして、俺には神眼があるので、パーティの参加者の真意が完全に透けて見えてしまう。

 その集積結果は、豪華絢爛に身を包んだ豚さん、および、厚化粧のおばさんは考えていることが醜いものだった。

 それが遺伝してしまっているのか、育った環境のせいなのか、子供たちも6歳でありながらかなり歪んでいるようだった。


 逆に、内面から溢れ出る善意ある人物は外見に頓着することなく、質素でも小綺麗な服に身を包んでいた。

 それを俺は個人的に美しいと判断していたということがわかった。


 と、父さんの後ろをついて歩いているのだが、俺に向かってくる視線及び思念ががすごく鬱陶しい

 神眼のせいで、思考が全て読み取れてしまうので、


「「「「あの子とても美しいわ」」」」


 と言った感じだ。それならまだいいが、


「あの眼をくり抜いて、売ったら幾らになるだろうか」


 と、考えている豚さんがいた。

 

 父さんにその豚さんについて聞いたところ、その豚さんはこの王国の侯爵あたる人で、ワルサック・ガイス・デビュートというらしい。

 うちのグロビール家とは仲が悪い。それに加えて、いろいろ不正をして、私服を肥やしているという噂があるらしい。

 けれど、侯爵家だけあって、決定的な証拠が上がらないと、国王であっても処罰することが難しいらしい。

 

 俺も流石にあの思考にはかなり引いてしまったので、


(チユキ、とりあえず神眼の効果をアクティブにして、今はoffにしときて)


『マスターの気分を害するなど、寿命をあと1日にしときましょうか?』


(それも良さそうだけど、この力はそのために使ってはダメだからね! チユキもありがとね)


『マスターがそう言うなら、やめときます』


 そして、あーだこーだ父さんが社交的な挨拶をしている時に、管弦による音楽が鳴り響いた。

 と、同時に大きな扉の先から、頭に金の王冠を被った40くらいのおじさん? と、その後ろに銀髪で翡翠色の瞳をした、女の子が登場した。

 おそらく王冠を被ったおじさんはこの国の王、マリファーナ王国国王であり、銀髪の少女は父さんが言っていた第二王女なのだろう。


 登場の際に、父さんを含めて参加した貴族たちが跪いたのをみて、見よう見真似で、跪いたところ、良からぬところで、神の恩恵があたらいてしまった。


『礼儀作法EX取得しました』


 ど、どうしてだ? こんな場面で……

 と、アナウンスさんに少々腹を立てていると


 音楽が鳴り止んだ。


「皆のもの、面をあげよ。今日は我が娘、ルイーゼの誕生日パーティ、およびお披露目会に来てくれたこと心より感謝する。今宵は子供たちが主役であることをゆめゆめわすれることのないように。それでは、我、アラルド・フォン・マリファーナの名の下に、お披露目会の開始を宣言する」


 と、国王の宣言の下、パーティが開始になった。


 給仕の方がずらっと出てきて、次々にパーティ会場にご馳走が並べられた。


 ビュッフェ形式で、豪華な食べ物が用意されて、見たことのないようなジュースが沢山あり、それだけでも今日は来た甲斐があると言えた。


 と、国王のもとには次々に貴族の人たちが挨拶しているのだが、父さん曰くこれにもしっかりと順番があり、爵位が高ければ高いほど、先に陛下に挨拶できるらしい。


 貴族の社会の順番はというと、


 公爵>侯爵>=辺境伯>伯爵>子爵>男爵>準男爵>騎士爵


 という感じらしい。


 先程、俺の瞳をくり抜いたらとか考えていた脂ギッシュな太っちょさんは俺たちの前に国王に挨拶していた。

 デビュート侯爵の息子も息子みたいで、王女様のことを下心満載な目で見ていた。


 どうしたら6歳にして女の子をそんな目で見れるのだろうか。

 親の顔が見てみたいものだと、一人考えていると、俺たちの番になったようで。


「陛下、本日はお招き頂き誠にありがとうございま———」


「よいよい、バランよ。今日は儂らが主役ではないのだからな。儂らの挨拶は別に良いだろう? 今日の主役は子供達だよ。で、そちらがバランの」


 俺は陛下の意図を察して、


「はじめまして、国王陛下、そして、王女殿下。私はグロビール伯爵の三男、カイン・グロビールと申します。今宵は豪華な食事に加えて、精霊のように美しい女性に巡り合えたことに感謝いたします」


 と、社交的な挨拶であるが、王女様に向かって飛びっきりの笑顔を向ける。


 と、王女様は恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にして目を背けてしまった。


「………わ、わたくしはマリファーナ王国第二王女、ルイーゼ・マリファーナです。よ、よろしくお願いします、です」


 と、王女様は6歳らしい感じでワタワタしていたところ、


「はっはっは。初々しいのー。それにしても、どうしたらバランからこんな子が生まれるのだ?」


 と、国王陛下は威厳などはトイレに流してきたのか、どこか近所のおじさんみたいな感じになって、愉快そうに笑っていた。


「いやぁ、陛下。それが俺にもわからないですわ。どうしたら俺からこんな子が生まれてくるのか」


「はっはっは! まぁ、奥方の方に似たのだろう。それにしてもその眼はなんなのだ?」


 と、やはり俺の眼のことが気になるようで、


「これは、僕が神様から抱いた恩恵の魔眼ですよ」


 手筈通りに魔眼ということにして、自分の情報を隠した。

 その答えに陛下に満足したようで、その後は恩恵についてではなく、たわいのない会話をしていた。


 そんなこんなで時間は過ぎ去り、他の貴族たちの国王への挨拶はまだまだ続くので、会話はいいところでやめて陛下のもとは去っていった。


 ちょっとだけ不満があったとするならば、王女様との会話が自己紹介の他全くできなかったことである。

 

 おそらく王女様はかなりの人見知りなのだろう。


 立ち去るさあ、後ろから王女様の視線をすごく感じるのであったが、今はどつしようもないのであ振り返らずそのまま会場へと溶け込んでいった。


 俺はこの際このパーティをひっひにたのしもうと、このパーティで出されている料理を一通り食べて、全種のジュースを飲み干して、満足顔で人気のないソファで鼻歌を歌っていた。

 と、そんな俺のところになぜか王女様がスタスタと歩いてきて、俺の隣にピタッと触った。


 あれ!? この王女様、人見知りなんじゃなかったっけ?


 流石に王女様との距離が近すぎると思ったので、離れるべく、距離を取ろうとすると、不思議なことにその距離がすぐに縮まって、なんと初期位置にまで戻ってしまった。


「お、王女様!? どうされたんですか?」


「……………」


 と、聞いても顔を逸らすばかりでこちらを向いてくれない。

 耳の先から顔が真っ赤になっていて、体もどことなく熱くなっている。

 

 どうしたものかと考えていると、そういえば今日は王女様の誕生日でもあったことを思い出した。


(ねぇ、チユキ! 女の子の誕生日はやっぱりアクセサリーとかがいいのかな?)


『王女様への誕生日プレゼントですね? そうですね。王女様ならどんなものでも喜んでくれると思いますが、アクセサリーが無難でいいんじゃないでしょうか?』


(うん。じゃあ、アクセサリーにしようかな? で、相談なんだけど、俺のスキルの万物創生で作れるかな?)


『はい、問題ないですよ? 材料も一から創り出せますし、別に材料から作らなくともイメージだけでどうにでもなりますので』


(了解! ありがとう、じゃあ、さっそく始めようかな?)



 あのおばさんたちみたいにギラギラと派手たものじゃなくていい。

 けれど、それでも材質にはとことんこだわろう。

 そして、やっぱりアクセサリーだけだと俺としたら物足りないので、何かしらの機能が付与されているもの。


 まだ試したことはないけど、一回やってみるか。

 材質には神銀と呼ばれるミスリルを使って、宝石は眼の色に合わせてエメラルドでいかな、と思ったんだけど。

 どうせなら、見る角度で色が変わるようにしたいなとイメージしたらイメージ通りできたみたいで、角度によって虹色に変わるという宝石が俺の手によって産み出された。


(ねぇ、チユキ! この宝石ってこの世界に現存するもの? それとも、今俺が産み出したもの?)


『えーっとですね。これはこの世界にあるものですね』


 よかった……なんとか、この世界にあるもので収まったみたいだ。

 と、俺が1人安心していると、


『まぁ、この鉱石は幻の宝石と言われていて1000年に1つ見つかるか見つからないかというくらいの宝石なので、新たな宝石を産み出すのとたいして変わらないですけどね』


 な、なんてことだ……

 イメージとしてはアレキサンドライトの上位互換をイメージしてみたのだが……


 まぁ、いい。せっかく作ったのだから。


 正面から見るときは瞳の色とピッタリ合うようにして、ただ単に宝石を埋め込むだけではなく、細部も緻密に鮮やかに、彫刻をして、さりげない感じ。

 

 細工が細かすぎて、他の人には質素に見えるけれど、付けている人と同じくらい近くで見れば、その細工がどれだけ精密なものかわかるくらいに丁寧に隅々までこだわって、


 イメージを思い浮かべて、

『万物創造EX』で俺は一つのネックレスを作った。


————————————————————

 幻玉の幸運ネックレス


等級 夢幻級ファンタシズマ

効果 <幸運+10000><絶対防御障壁><状態異常完全無効><不壊><清潔><個人認証:ルイーゼ・マリファーナ>


————————————————————


 と、俺が王女様のためにネックレスを創り終わると、俺が手に持っているネックレスに興味を引かれているのか、


「それはなんなのですか?」


「これは僕の恩恵で作ったものだよ…今日は王女様の誕生日だって聞いたから、創ってみたんだけど、いるかな?」


 と王女様に聞いてみると、


「……ルイーゼ……わ、わたしはルイーゼ」


 と、王女様の言いたいことを察した俺は


「じゃあルイーゼ、せっかく創ったから、これ貰ってくれるかな? 初めて創ったんだけど、これを付けてれば、ルイーゼを守ってくれるし、それに幸せになれるよ!」


 と、俺がそういうと、ルイーゼは顔を真っ赤にして、頭をこくこくと縦に振った。


 ルイーゼは言葉には出さないが、ネックレスをつけて欲しいようで、ルイーゼの後ろに周りネックレスをつけてあげた。


 うん、初めてには良くできたよな。

 

「うん。とっても似合ってるよ。瞳の色とあっててとっても綺麗だよ!」


 俺がそういうとルイーゼは顔をさらに真っ赤にして、頭から湯気を上げそうな感じだった。


 それでも、我に返ったのか。


「……あ、ありがと、か、カイン……」


 ルイーゼもかなり喜んでくれたので、俺としてもかなり満足だった。


「じゃあ、ルイーゼ、また今度ね! バイバイ」


「……うん……」



 俺はそろそろいい時間なので、家に帰るべく、父さんを探しに回った。


 俺が立ち去ったあと、ソファのところで王女様が顔を真っ赤にして、悶えていたのだが、俺はは気付かなかったことにして立ち去った。


 こうして、無事お披露目会という名の貴族たちの自慢大会は無事に終わりを告げた。


 ネックレスをあげたせいで、王城へ呼び出されるとは知らずに……


『マスター、大変申し上げ辛いのですが、この世界で相手にアクセサリーをあげるならまだしも、付けてあげるというのは所謂、告白やプロポーズに当たるんですけど、お伝えするのを忘れておりました。てへぺろ』



「それを先に言わんかーーーい!」


 ⭐︎⭐︎


 と、お披露目会の数日後。

 俺の予想は実際のものとなった。

 

 俺は部屋でチユキと念話をして話していると、誰かが近づいてくる気配がした。


『マスター、とうとうバレてしまいましたね。もう、観念しましょうよ』


(まぁ、そうだね。別に俺にとって不利益でもないから、諦めよう)


 と、俺の部屋の扉がドカンと開いて、


「おい、カイン! 今、陛下から手紙が届いたのだが、これはいったいどういうことだ! お前が王者様にプロポーズした、と書いてあるのだが、どういうことか説明しろ!」


「せ、説明しますから、どうか落ち着いてください!」


「この事に落ち着けるわけがないだろう! 早く説明しろ」


 と、父さんは俺にすごい剣幕で、説明するように促す。

 俺は観念を決めたので、特に反抗などせず真実をそのまま伝えた。


・王女様と2人きりになったこと

・王女様にネックレスを創ったこと

・しかも、幻の宝石を使ったこと

・さらに、細工をこだわりすぎて付与をたくさんしたこと。

・慣習など知らずに王女様にネックレスを付けてあげたこと


 と、説明したところ、父さんはもう驚き疲れたしまったのか、ある結論に至った。


「まぁ、カインなら仕方ないか。なんたって神だからな、はははは」


 父さんの乾いた笑いが俺の部屋に響き渡る。


「で、父上。この後、僕はどうすればいいんですか? 何か陛下から指示は来てないのですか?」


 俺が尋ねるとようやく、我に帰ったようで、


「そうだ! 直ちに王城に参上するようにとのことだ! だから、すぐ用意しろ。今から王城へ向かう」


「は、はい。わかりました……」


 と、俺が王女様にネックレスを上げた行為は王女様との婚約を意味するとのことで、予想通りにすぐに王城へと呼び出されたのであった。


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