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第七話 どっちが正義・・?

大次の部屋は殺風景だ。部屋には、整頓された・・と言うより中学の時から手をつけていない机と埃をかぶった本棚と大量の参考書、それと整頓されたベットただ、変わっているのは、扉には、たくさんの何重にもなったカギがある。

外からは、誰も入れないようになっている。大次がガンズショップに行く時は、内側のカギをすべて閉め二階の窓から飛び降りる。

「お待たせー」

家の前で、大次が降りてくるのをいつも待つのは、裕大だ。

そして、いつも二人でガンズショップに向かう姿をいつも二階の自分の部屋から見ているのは兄の英介だ。


ミーティングルームに入ると勉と康太がいた。

「五十嵐は?」

「きっと、狙撃場だ。あの狙撃バカは、立ち直りなんか人の十倍早い」

「そういや、あいつの下の名前って何?」

「あぁ、俺もそれ考えてた。実は俺も知らないんだ」

「え?じゃぁ誰も知らない?」

全員から、返事はなかった。そんな中、康太が言った

「岸辺に聞いてみるか?」


「なんだぁ?お前らチーム組んでるくせに名前知らないのかよ」

受付から身を乗り出し、マジかよ・・なんて顔をしながら聞いてきた。

「だから、ここに聞きに来てるんだろ。いいから、教えろ」

「あぁ・・ちょっと待ってろ・・・あれ?これなんて読むんだ?ス?ゲ・・ん?」

「え?読めねえのかよ。見してみろ、俺が読んでやる」

受付を乗り越え、康太が岸辺の持っている紙を取ろうとしていた。

「あぁ、駄目だ駄目だ。これは個人情報だ。名前以外にも、色々と乗ってるんだ。見せるわけにはいかん」

「うわっ、出たよ。大人の言い訳!!サイッテーな奴がやることだ」

「うるさい、そんな事だったら、直接本人に聞けばいいだろうが」

そう言うと、全員が口ごもってしまった。

「本人か・・どんなリアクションするかな?」

「ショック・・受けるんじゃないか?」

「あいつ、ショック受けるのか?」

そんな事を言っていると

「別に五十嵐のままでいいぞ」

後ろから突然、五十嵐が現れた。

「うわっ、だからそうやって現れるなよ!!びっくりするだろ」

「そうか・・そう言うつもりじゃないんだが」


「あれ?もぅ帰ってきたのか?記録塗り替えるの、諦めたのか?」

受付から岸辺がそう聞く

「え?いや塗り替えたぞ」

「はぁっ?早すぎだろ?」

「別に普通だろ・・・ちょっと、部屋に戻ってるわ」

そう言うと、五十嵐は部屋に行ってしまった。

「マジかよ。あれ塗り替えるの苦労したのに・・」

そう呟いたのは、岸辺だった。

「え?岸辺って狙撃手なの?」

「あぁ、元狙撃手だ・・」

「で?五十嵐のどの記録を塗り替えたんだ?」

「いや、言わない」

「なんで、言えよ。笑わねーから」

「いや・・そげっ、狙撃・・距離の三位の記録・・」

恥ずかしそうに、言う岸辺に全員が爆笑した

「だっははは、バッカじゃねーの!!三位かよ、一位狙えよ。なんであえて三位なんだよ。塗り替えたらすぐ消えちゃうだろうが」

「笑わねーって言っただろうがてめぇら」

「わりぃ、わりぃ・・・いや、でも三位でもすごいなぁ・・全部2000m超えてたのにぃ」

大次の声が裏返ってた

「馬鹿っ、あれ本当にすごい距離なんだぞ!!一つ抜くのに何時間かけたと思う?なのに、あいつは物の10分でクリアしやがった」

「さすが、俺らとは、値段が違うねぇ」

笑いすぎ目に涙を溜めながら康太が言った。

「何・・・?今なんて言った」

岸辺が鋭い声で聞いてきた。

「いや、前の岸辺が言ってたんだよ。一人頭十五万って、でも五十嵐は二十万らしい」

「あの野郎・・そんな事まで」

「なぁ、他の奴等は一体いくらなんだ?」

「駄目だ、駄目だ。そんな事教えん、ほら、早く部屋に戻れまだ、ミーティングもしてないだろ。ほらっ、シッシッ」

「なんだよ、虫を追い出すような扱いだな。行こうぜ」

そう言いながら、康太達は部屋に戻って行った。

戻って行った事を確認し、岸辺は、もう一度、さっきの紙を確認した。

その紙には、あいつ等の事が事細かに書いてある。そんな中、五十嵐の所で、ある事に気づいた・・

「国籍・・不明?」




今度は、建物の中で戦闘をやるらしい。敵との鉢合わせも十分考えられる。

今回は、五十嵐の得意な狙撃も使えない。全員がサブマシンガンにグレネード、ハンドガンにナイフだ。

「五十嵐は大丈夫か?近距離戦だけど」

「大丈夫だ、足は引っ張らない」

後でわかることだが、シュミレーションで試したところ、三対一ですら五十嵐が勝ちやがった。

「だから、今回は三人一組と二人一組で二本の通路を同時進行で、詮索をする。

同志撃ちは、マジで勘弁だからな。組み合わせは、俺と勉で二人一組、残り三人一組。

よし、それじゃぁシュミレーション始めるぞ」

「了解」



今日も、そんなこんなで無事終了した。

「けど、まさか五十嵐があんなにできるとはねぇ」

裕大が帰り道そう呟いた。

「あぁ、そうだな・・・なんせ、無駄撃ちがない。弾数を体で覚えてるんだよ、あいつ・・っていうか、なんだよあいつの体術!!あんな動き見た事ない」

「俺も驚いた。逆に俺らが足ひっぱちゃうかもな」

「はぁっ、そんな事ぜってーさせねぇ!!明日から、もう特訓だ」

「うん、そうだな。それじゃ、俺はここで」

「おぅ、したっけな」

裕大は、木造の今にも壊れそうな建物の中に入って行った。今にも壊れそうな家でも、中からは大量の子供達の声が聞こえる・・

こっちは、ごく普通の家だが家庭が壊れた家だ。

玄関からは、入れない、裏側に回ると、兄の部屋から梯子が降りてる。

ギシギシと音を立てながら登る。窓から、兄貴の姿が見える。机に向い、参考書を読みノートに何かを書いている。

「梯子は、俺が連絡するまで上げといてくれって言ったろ?兄貴」

「違う、そろそろ帰ってくるころだと思って梯子を下ろしておいた」

「そうか・・ありがとう 兄貴」

「あぁ」

大次は、英介の窓からヒョイとジャンプし自分の部屋の窓に飛び移った。

そして、部屋に入りわざと大きな足踏みをする。すると、一階で扉が閉まる音が聞こえる。

そうすれば、何重にもした鍵を外しゆっくりと音をたてないように下に降り冷蔵庫から、作られてある食べ物を取り食べ終わったら、食器を洗い、みんなとは、違う食器棚に自分の食器をしまい、洗う時に使った布巾は、燃えるゴミに捨てておく。

そして、自分の部屋に戻り、何重にも鍵をかける。




「だぁーくそっ、また負けた。」

「勝てないねぇ・・」

今は、大次と裕大の二人一組対五十嵐との対戦で・・

『ゲーム終了 勝者、五十嵐選手』

「俺なんか、完璧にヘッドショット喰らっちゃったよ・・」

「俺なんか後ろからナイフで一突きだよ」

「お前ら、人の気配を感じれないのか?」

「感じれるよ !!ただな、お前と康太は気配を消しすぎなんだ!!康太はな、戦闘以外では、気配は感じれるよ。ただな、お前は常にっ !!気配が感じられない」

「そんなつもりはないんだがな・・」

「くそー、これで三連敗だ」

「まだやるのか?それより、俺達のチームプレイを向上させないか?」

「あと一回、あと一回だけ」

「・・・わかった。五分後スタート」

『確認しました。五分後、ゲームスタートします』

五十嵐は、またどこかへ消え完全に気配が感じられなくなった。


五分後ピピピと腕時計が鳴り始めた。ゲームスタートだ。

俺が前方、後ろを裕大が守りながら廊下を進んで行く右側にすぐに突き当りのある廊下と今いる廊下を繋げる出入り口がある部屋がある。俺が、裕大に手で右側の廊下に行くように指示する。

裕大が、そこに向かうと同時に俺もこちら側の入り口に近づく。入口の壁に張り付き、一呼吸おき、入口から半身出し銃を構える。部屋にはだれもいない・・・

向こうの入り口からも裕大が、誰もいないことを確認する。俺は、裕大にこっちに来るよう指示をする。

だが、裕大は突然、俺に向けて銃口を向けた。何事かと思い、後ろを振り向く。するとそこには、五十嵐がドンと立っていた。

「くっ・・」

銃口を向けるには、時間がかかり過ぎる。だから、ひじ打ちを喰らわそうとしたが、五十嵐は体をひねり、一瞬にして俺をあおむけで倒した。

その衝撃で俺は銃を落としてしまった。銃を拾おうとするが首元を五十嵐に踏みつけられ動けない。

五十嵐は裕大に銃口を向けていた。裕大も五十嵐も一歩も引かないまま時間が過ぎた。

俺は、とっさにナイフを取り出し五十嵐の足に刺した。

「むっ・・」

ひるんだ瞬間に、裕大は五十嵐の頭に狙いを定める。ところが、五十嵐は腰に差していた銃を取り出し俺を撃つと同時に裕大に向けていた銃も引き金を引いた。

俺は、戦闘不能になり、裕大は腕を負傷し引き金を引けなかった。その隙に五十嵐は、裕大に向けて発砲した。

『ゲーム終了 勝者、五十嵐選手』

「ん〜・・・わかんねぇってか、勝てねぇーーーっ !!!」




試合当日、俺達は、一階からの侵入だった。全員で胸を二回ぶつけ拳を突き出した。

「俺達は、一心同体 必ず生きて帰ろう」

そう言って拳をぶつけあった。ピピピ腕時計が鳴り始める。試合開始だ

一階は、ほぼ無視し階段を目指した。敵がいるのは最上階からだ。

だったら、初めからゆっくり行ったって意味がない。その調子で二階も飛ばし階段に差しかかった。

三階に差しかかる階段は、五十嵐を先頭にし上に注意しながらゆっくりと上がった。

三階からは、二手に分かれ二本の廊下を同時進行で詮索を開始した。

両側に部屋がある。大次は、裕大と五十嵐に指示し両側を同時に確認した。

どちらも異常なしと合図する。

すると、隣の廊下で銃撃戦の音が聞こえる。

それと同時に、五十嵐が叫んだ。

「隠れろ !!」

廊下の先を見ると、二人がこっちに銃口を向けようとしていた。

「ヤッベッ・・・」

五十嵐と大次は、左右の部屋に横っ跳びをした。だが、遅れた裕大は、足を撃たれた。

「あ゛ぁぁぁくそぉぉっ !!」

「大次、俺が弾幕を張る。その内に部屋に引きづり込め !!」

その瞬間、五十嵐は腕だけを出し廊下の向こうに撃ちまくった。すると、向こうからは一時的に銃撃が止まった。

大次は、部屋から飛び出し痛がる裕大を引きずりながら部屋に入れた。

まだ、五十嵐は弾幕を張り、弾が切れる瞬間、俺達の部屋に飛び込んできた。

「大丈夫か?」

裕大は、足をかすっただけだった。

「大丈夫、問題ない」

「俺は、向こうに合流する。 大次は、裕大とここに残れ」

そう言うと、五十嵐は弾を詰め直し部屋から出て行った。しばらく続いた。銃撃戦は、やがて止んだ。

そして、一本の無線が入った。

『裕大、大丈夫か?』

康太の声だ。

「大丈夫、カスッただけだ」

『しばらく、そこで待ってろ。あとで迎えに行く』

「了解」

無線が終わった。

「大次・・」

出血部分を圧迫する大次に裕大が上体を上げ、話しかけてきた。

「ん?なんだ」

「結局、俺達足ひっぱちゃったな」

「あぁ、そうだな・・迷惑かけちまったな・・」



三階には、両廊下に二人ずつ、いたみたいだが死体は、三人しか確認できなかった。

だが、残りの一人も負傷しているらしく廊下に血の跡が点々と残っていた。

「向こうの人数も五人だ。つまり、あと二人だ。行くぞ」

康太達は、血の後を辿って一つの部屋の前に到着した。

康太が蹴破ると同時に五十嵐と勉が突入した。敵は、扉の正面の壁によしかかるように座っていた。

すでに呼吸が浅く目の焦点もあっていない・・・

だが、そいつは俺達に向かって銃口を向けてきた。その瞬間、五十嵐と勉は反射的に引き金を引いてしまった。

そいつは、弾丸を浴び反動で体が、所々飛び跳ねるように動いた。


勉は、突然過呼吸を起こし自分で必死に深呼吸をし、パニくる自分を抑えつけようとしてその場で、倒れた。

「勉 !!」

五十嵐が、勉に近づく中。カランカラカラカラと言う何か缶詰が転がるような音が向いの部屋から聞こえた。

不審に思った康太は、扉を開けた。目の前には、一人敵が残っていた。

そいつは、手に先ほど転がった奴であろう缶詰を手にしていた。

「お、お願い、殺さないで・・」

そいつの声に俺は驚いた。女性だ・・


銃口を敵に向ける俺・・そんな中、敵は、自分の覆面を外した。

「や、やめろ・・ず、ずりぃぞ、そんなの !!」

「お願い・・殺さないで・・お願いだから」

覆面の下は、やはり女性だった。

「ふ、ふざけるなよ・・なんで覆面を外したんだ。覆面をつけろ !!」

そうは、言っても彼女は命乞いをするだけだった。

「そんな・・そんなのって反則だ!!覆面をつけろ !!」

どんなに叫んでも彼女は必死に首を横に振るだけだった。

「頼むよ・・覆面をしてくれ・・」

彼女はしばらく俯いていたが、自分が外した覆面を拾い、手が震える中、覆面をした。

俺は、覆面をした彼女に銃口を向けた。呼吸は、吐く事は出来るが、吸う事がうまくできなかった。

銃を彼女の頭に向け引き金に人差し指をかけた・・・目の前にいる、彼女が洋子に合わさってくる。

俺は、洋子を守るために戦っているのにどうして、洋子を殺さないといけない・・

「駄目だ・・できない」


銃口を下した瞬間、彼女はとっさに銃を取り出し俺に向けてきた。

「意味わかんねーよ・・」

俺は、訳が分からなかった。洋子が、俺に銃口を向けている・・・

何故だ?俺はお前を守るために・・・訳が分からず、俺は目を閉じた。


銃声が三発部屋の中に轟いた。目をあけると、目の前で洋子が胸に三つ穴を開け、血を出しながら倒れて行く。

「洋子ー !!」

俺が、倒れる洋子に近づこうとした。だが、それを五十嵐が止めた。

「どけ、邪魔をするな」

「康太 !!落ち着け、洋子なんかじゃない」

その言葉で、我に返った。目の前では、横たわる死体がビクンと一度、痙攣をおこしそれ以降動かなくなった。


「あれ?洋子、洋子は」

そう言ってそこら中をフラフラと歩く康太を見るに見かねた五十嵐は、肩を貸した。

「康太、これをみろ」

そう言って一枚の写真を見せた。

「向かいの敵が大事そうに持っていた」

その写真には、目の前にいる。女性と楽しそうな笑顔を見せる男性が写っていた。

そして、その後ろで前の二人をはやし立てるかのようにある意味、小馬鹿にしてるような感じで何人かの男性が写っていた。

「夫婦なのか、恋人同士なのかはわからんが、この人は、洋子なんかじゃない」

洋子じゃないとわかると、なにやら、もやもやとした気持ちになってきた。

「この人達は、この女性を守るために俺達と戦っていたのかな?」

「康太?」

「だってそうじゃね?あの戦い方は、俺達を待ち構えた戦い方だった。それなのに、俺達は、この人達が、守ろうとしていた彼女までも殺してしまった。俺達が生き残りたいがために」

「康太、やめろ」

五十嵐が静かにそう言う

「なぁ、五十嵐、俺達ってこういう人達を殺してまで生き残る価値なんてあるのかな?」

五十嵐は、俺の両肩を掴み俺に「しっかりしろ」と言ってから話を続けた。

「康太、このゲームが、どんなにスポーツマンシップに反していようが、互いにこれだけは守ろうとしている事を忘れたのか?何のために、覆面をしている?それは、顔をわからせないためだ。これ以上、死んだ人達の過去を追い求めようとするな!!頭がおかしくなっちまうぞ」

「・・あぁ、ごめん」

「それより、勉を運ぶのを手伝ってくれ。あいつ、見かけよりもかなり重い」

「あぁ、わかった」

そう言って、彼女の手に大事な写真を持たせて俺達は部屋を出た。



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