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第五話 覚悟を決めろ

あれから、一週間がたった。何も答えが出せないままの、日々が続いている。

そんな中でも、学校に行くと言う習慣が体から抜けないのか、毎日一応登校している。

そして、放課後は、ガンズショップに足が進む


受付には、二人目の岸辺が立っている

「いらっしゃいませ〜」

そいつは、無視しミーティングルームに向かう。そこには、俺と同じく答えが出せない大次と裕大がいた。

「勉と五十嵐は?」

もぅ龍之介は、ここには来ないようになっていた。

「あいつ等は、多分フィールドに出てるだろう」

「五十嵐は、答えが出たのか?」

「いや、正直わからねぇ。 勉が、ただ単に手伝ってくれって言ってそれについて行っただけだし・・・ 五十嵐ってどうなってるんだ?」

「どぉって?」

「あいつ、あの画像見ても、表情ひとつ変えなかった。いつも思ってたんだけど、感情あるのか?あいつ」

「確かに、俺達がパニくってた時、あいつだけ取り乱してもなかったな」

五十嵐の事を話し始める大次と裕大。そこに、俺は釘を打った。

「でも、あいつのお陰で俺達は、ここにいるんだろ。何も不審に思う点なんか、一つもないだろ」

「それも、そうだけど・・」

そこへ、勉と五十嵐が入ってきた。

「みんなどうしてここに来ても、ここから出ようとしないんだ。家族が人質なんだぞ。

どうして、助けようとしない」

「だからって、お前は人殺しができるのか?家族のためだからって、人を殺すのか」

大次の言葉に勉は、しばらく黙っていた。

「・・俺は、どんなに汚れたっていい。家族を守れるんならそれでいい」

「お前はそれでいいかもしれない。でもな、そんな事、家族が知ったらどう思う」

「家族には、言わないんだ。バレなきゃいいんだべ」



沈黙の中、五十嵐が口を開いた

「・・みんな、俺には、兄弟はいないし、もう両親もいない」

その言葉に、少し違和感を覚えたのは多分、俺だけだろう

「でも、あのバスに乗らないと周りの人も殺されると言っていた。つまり、誰か一人乗らなければ、みんな殺されるってことだ。俺一人だけなら、まだいいと思っていたが、俺一人で、全員が殺されると言うなら、俺はあのバスに乗る。

そして、もぅ誰も戦いで死なせやしない」

『俺一人だけならまだいい』正直、俺の心の中にもその気持ちがあった。

周りの人間って事は、近所の人たち、もしかしたら、洋子も・・

「それに、相手もそう言う気持ちで戦っている奴もいるかもしれない。お互いそれを理解してるんだ。

きっと、殺されたって恨んだりはしないだろう・・・で、どうする?

そろそろ、みんなで試合に合わせて全体の練習をしたいんだが?」

確かに、もし試合をするなら、そろそろ全体の打ち合わせなんかもしないといけない。

そうじゃないと・・・おそらく負ける。でも、いきなり答えを出せだなんて無理がある。


「わかった、やるよ」

そう言ったのは、裕大だった

「向こうも、了承済みなら話は別だ。互いに家族を守ろうと言う気持ちは一緒なら正々堂々と戦いができる。それに、正々堂々と戦わなかったら向こうに失礼だ」

「俺もやる。家族は、正直どうでもいいけど周りの人には、死んでもらって欲しくない」

そう言ったのは、康太だ。

『家族はどうでもいい』と言う言葉にみんな、え?という顔をしたがその言葉の意味を理解したのは、勉だけだった。でも、そうは言ってもまだ正直迷っていた。

「それで、俺だけ乗らないとみんな殺されるんだろ?・・わかったよ、やってやるよ」

最後に、大次がそう言った。おそらく、大次も迷っているだろう。みんなが、やると言ったから仕方なくと言う感じだろう。

龍之介は、当日にどうにかすると五十嵐が言ってくれた。それでも一応、全員がこれでそろった。


そこからは、早かった。戦闘システムは、森林での体系をベースにそのほかにも、何通りかのパターンを作りミーティングは、終わりあとは、実際にフィールドに出てシュミレーションを行った。

人数も何も分からない状態でのシュミレーションだから今日一日では、半分も終わらなかった

「今日は、これまでにするべ」

俺が、無線でそう伝える

「あぁ、そうだな」

「なら、メインゲートに集合な」

「了解」

ゲートを出て、受付の前を通りながらミーティングルームへ向かう途中、受付に座る岸辺に声をかけられた。

「先に言っておくが、『家族のためだ』っとか正義感ぶってる奴等は、極少数だ。

正々堂々戦おうなんて思わないことだ」

「どういう意味だ?」

「いずれわかる。それから、相手をあまり信用するな」

「人の話を盗み聞きするなんてサイテーだな」

それを言われたら困ると言うかのように机に肘を置き、手に頭を乗せた体制をとった。

「そう言う任務なんだ」

「どうだか?行くべ」

そう言い、部屋に戻って行った。



あれから、いくつか日にちが経ちシュミレーションもすべて終わり、気づけば当日を迎えていた。

ミーティングは、早めに済ませ全員が一度、帰宅した。

だが、俺はまだ正直、悩んでいた。寝る前には、いつもゲームの抜け道がないか考えていた。

今は、部屋に入り座り込んでいる。

もし、俺一人行かなかったら・・・みんなは、いつ殺されるんだ?

そして俺は?周りの人を殺された後に殺されるのか?

俺達は、敵を殺す理由をみんなのためと正当化してるだけじゃないか?

俺は、偽善者なのか?


カン

窓を小石があたる音がした。でも、一回だけだ。空耳かもしれない

俺の部屋は電気もつけていないし、多分いるとは、思っていないだろう。

でも、もしいるなら。見ておきたい。もしかしたら、あいつとこうやって会話をするのは最後かもしれない。

いや、別にいなくてもいい・・・

ただ、あの窓を開けて部屋に電気がついているかどうか?

それだけでもいい

そう思い、俺は窓を開けた。


「やっぱり、いた」

窓の向かいには、洋子が立っていた。

「いるなら、すぐに出てよ。待ってるこっちの身にもなれ」

「そりゃ、悪かったな。で?何の用だ?宿題か?あれ、宿題あった?」

「やっぱり、珍しく起きて授業聞いてるかと思ったけど、耳に入ってなかったみたいだね」

学校での出来事が、全く覚えていない。ここ三週間の学校の出来事を全く覚えていない事に

今気づいた。

「最近、様子が変だったから心配してたんだよ」

「だからって、なんで今日なんだよ・・」

そう小さく呟く

「え、何?」

「何でもない」

「全く、今日も出て来ないつもりかと思ってたんだから」

「え?」

「あぁ、そうやって知らなかった振りするんだ。毎日毎日、石投げてたのに気づかなかった振りするんだ」

「マジで?」

「え?本当に知らなかったの?大丈夫なの?あんた」

あぁ〜大丈夫じゃないかもしれない、なんて言えない。言えるわけがない。これ以上、心配させるわけには、いかない。

「大丈夫だ。明日になってりゃもぅ完璧だ。きっと、授業は俺の睡眠時間に戻っちゃうだろうな」

「いや、そこは戻るなよ。授業ちゃんと受けろよ」

「まぁ、気が向いたらな」

そう言うと、俺は窓を閉めた。短い、やり取りだったがそれで十分だ。

もう心は決まった。

俺は、あいつを守る。幼馴染だからじゃない、俺にとって、特別な人にランクアップしたからだ。

偽善者だろうが構わない、絶対に守ってみせる。

そして、絶対に死なねぇ



勉と合流し、駅に向かうと駅前には、バスが既に来ていた。

乗り込むと、中には五十嵐と龍之介が来ていた。

その後、大次と裕大がやってきた。すると、バスは出発した

バスの中では、誰も口を開こうとはしなかった。

沈黙したバスは、長いトンネルに入りオレンジ色の光が窓から入っては抜け、入っては抜けて行った。

トンネルの中では、色々な加工された言葉が蘇ってくる

『バッカじゃねーの 本当の殺しあいに本物があって何がおかしい』

『俺達を売ったんだろ?いくらだった』

『お願いだ、助けてくれ、助け・・』

『正々堂々戦おうとするな・・・いずれわかる』

『一人頭十五万だ。お前は二十万だけどな』

『家族のために人を殺してもいいのかよ !!』

『俺は、どんなに汚れたって構わない』

『もぅ戦いで、誰も死なせやしない』

『この国は、戦争に依存しすぎた』

母親が倒れている場所に立ち尽くす俺は父親が台所に現れた時、憎しみをこめて、父親に言った。

『人殺し・・』

俺は、掴んでいた包丁を父親に向けて突進していった。



「康太!! 着いたぞ」

気づくとバスは止まっていて全員降りてる中、勉に起こされていた。

「んあ・・寝てたのか」

「みたいだな。よくこんな時に寝れるなお前は・・・授業中に寝れる事と、なんか関係あるのか?ちょっと、羨ましいぜ」

勉は、俺を起こすとバスから降りようとしていた。

「なぁ、勉?」

「あぁ、何?」

「俺の母親って自殺だよな?」

一瞬、勉の顔が曇った。

「な、何言ってんだよ。まだ、寝ぼけてるのか?」

勉はそう言うと、急いでバスを降りた。


俺は、バスを降りるときに運転手にまた紙を一枚渡された。

「試合が終わりましたら迎えにあがります」

バスを降りると、バスはどこかへ行ってしまった。


俺達は、ペンライトを片手に示された場所を目指した。

そこには、あらかじめ頼んでおいた銃が入ったバックが置いてあった。

俺達は、着々と準備を始めた。五十嵐は、自分の準備が大体終わった所で俺達から離れて座る、龍之介の方に鞄を投げた。

「僕は、そんなもの身につけない」

そう言ってそっぽを向いた。

「じゃぁ、俺達が死んだ後、一人でどうするつもりだ?いいから、さっさと装備しろ」

全員が装備し終わると集まった。

「今回の敵の数は、三人だ。つまり、それほどあいつ等も仲間を失ったんだろう」

「俺達が、森林にいると言う事は、向こうは、市街地に潜伏しているはずだ。ゲリラ戦になるかもしれないな」

「なら、二人一組だ。五十嵐は、バックアップを」

「了解」

その時、一本の無線が入った。

『こちら、チーム鯨 応答願います』

全員がビクッっと驚いた。まさか、無線が入るだなんて

『こちら、チーム鯨 応答願います』

向こうから連絡を取ろうとしている

「どうする?」

「出ない方がいいんじゃないのか?また、前みたいな奴だったら」

「しばらく、放っておくべ」

「そうだな」


『応答する気がないなら、そのまま、聞いてくれ。俺達は、すでに何人も仲間がやられてる。

だから、無駄な戦闘は避けたい。そちらも、家族や周りの人を人質に取られているんだろう?

だが、このゲームには、抜け道があるんだ。君達も助かるし、人質もみんな無事だ。

俺達は、発信器を取り外す方法を知っている。だから、武器を放棄し市街地に降りてきてほしい。

そしたら、君達の発信器をすべて取り外す』

無線からは、そんな事が流れてきている。投降する市街地の場所詳しい場所まで指定してきた

みんな戸惑っていたが、そんな中、五十嵐が無線を取った。

「もし、そんな事が出来るとしてもどうして、そちらは発信器を外さない」

確かに、もしそんな方法を知っているなら、俺は今すぐにでもやる。

『俺達は、発信器を外すわけにはいかない この大会に優勝すれば、300万以上の莫大な金が手に入るんだ。

私達は、絶滅危惧種の動物の保護活動をしている。鯨と言うのも、昔生存していた世界最大級の哺乳類の名前から取っている。だが、保護活動には、莫大な金が必要なんだ。

そのためには、この大会の優勝賞金が必要なんだ』

『莫大な金』と言う言葉に、大次と勉が反応した。五十嵐は、無線を切り「嘘だな」とキッパリと言った。正直、俺もそう思っていた。

『試合開始から、三十分待つ。それまでに、投降しない場合は、戦うしかない。以上、通信終わり』



ピピピと腕時計が鳴り始めた。試合開始だ。

「どう思うよ。これは、嘘だろ」

「いや、でも、もし本当ならどうする?本当だったら、俺は飛び付くぞ」

そんな事を言っていると龍之介が口を開いた。

「なんで?どうしてそう言う風に疑うの?僕は、投降するよ」

まったく、こんな時にと思いながら、勉が龍之介に言った

「龍之介、あれは絶対に嘘だ。投降した瞬間、殺される」

「そんな事ない。どうして君達は人を信じれないのか?

僕は、行く。そもそも僕はこのチームの人間じゃない」

そう言うと、龍之介は山の斜面を下りて行った。

「待て、龍之介 !!くそっ・・どうする」

聞いてきたのは大次だ。


「行かせてやれ」

五十嵐が、ライフルを準備しながらそう言った。

「もし本当なら俺達も投降すればいい。もし、違ったら戦闘開始だ」

「もし違ったらって龍之介を見捨てるつもりか?」

大次が五十嵐に聞くが、喋ろうとしない。

「そうかい、お前はチームじゃない奴には、そんなに薄情なのか見損なったよ。

俺達は、龍之介を止めに行く」

大次と裕大が龍之介の後を追った。



「で?これからどうするつもりなんだ?」

ライフルの調整をする五十嵐に尋ねた

「なにがだ?」

「多分、今から龍之介を追いに行っても間に合わない。なのに、わざと行かせた」

あいつの足の速さは、尋常じゃない

「龍之介が狙われないように俺がバックアップをする。その内に、大次達が保護するだろう」


『なるほど、そう言う事か』

無線から大次の声が聞こえた。

「康太、てめぇ回線オンにしておいたのか?」

五十嵐が、驚き俺に叫ぶ。俺はにやりと笑った。

「一応、俺はこのチームのリーダーだ。チームの不安要素は、排除しないとな」

なんだか、始めて五十嵐を出し抜いた。気がして思わず、ニヤけた。

『で?どのタイミングで保護すればいい?』

「合図を待て」

『了解』

そこで、通信は終わった。


俺達は、狙撃ができそうな所へ向かった。

「ここで、いい」

五十嵐がそう言うと

双眼鏡を取り出した。あわてて、俺達も双眼鏡を取り出し市街地を見まわした。

龍之介はちょうど森を抜け市街地に入って行くところだった。

あいつは、今武器は何も持っていないただ、ビクビクとおびえながらゆっくりと入って行った。

そこへ、敵が一人現れた。それに気づいた。龍之介は後ろへ逃げ出した。

「ヤバいっ」

「大丈夫だ」

五十嵐の言うとおり、龍之介は立ち止まり無事だった。敵の二人目が降りてきた。

そいつが、手招きをし龍之介を近づかせた。それを見ていた五十嵐は軽く舌打ちをした。

「どうした?」

「いいから、黙って見てろ」

五十嵐は、双眼鏡を置き山の斜面を下りて行った。


三人目が、現れた。そいつは、武器を手に持っていなかった。

腰に銃をつけているが、取り出す仕草はなかった。そいつが、龍之介に近づきボディチェックを始める

そして、龍之介に後ろを向けと手で合図を送る。それに従い、龍之介は後ろを向く

その瞬間、腰に差してあった銃を龍之介の頭に向けた。

「止せっ !!」


銃声がここにまで届いたかと思った。だが、実際は倒れたのは龍之介ではなく、龍之介に銃を構えた奴だった。

倒れた事に気づき、龍之介はその場に頭を抱えしゃがみ込む。敵は、狙撃だと気づき建物の中に逃げ込もうとする。

だがその前に、二発目の銃声がなり二人目が倒れた。目の前で、仲間が倒れた敵は、一瞬ひるみ、足が止まってしまった。

そして、三発目が聞こえた。



全てが終わったかと思った。五十嵐は、俺達の所に戻ってきた。

大次達はおそらくそろそろ、森を抜ける頃だろう。龍之介は、立ち上がりその場に転がる無線機をひとつ取り無線が入ってきた。

『ぼ、僕を餌につかったな』

俺は、無線を取った。

「違う、五十嵐はお前を助けたんだ」

『僕を餌につかって、この人たちをおびき出したんだ !!』

あの状況を全く理解していなかった事に俺は心底ムカついた。

「てめぇ、いい加減にしろよ !!そいつ等はお前を殺そうとしてたんだぞ」

『そんな事ない、この人たちは、おびえる僕に優しくしてくれた。大丈夫だって話しかけてきてくれた』

「なら、聞くがお前の後ろに倒れている奴は !!さっきまで銃を持っていたか?」

龍之介は、後ろを振り向き倒れている奴の右手に銃があることを確認した。

「そいつは、お前を後ろから !!お前の頭を狙って引き金を引こうとしてたんだぞ。

それを聞いてもまだ、そいつ等の肩を持つのか?」

『・・この人達は、僕のせいで死んだんだ』

「何言ってるんだ?」



龍之介は、倒れている奴から銃を取り自分の頭に銃口を向けた

「馬鹿・・・止せ!!」




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