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俺達の戦争2 第一話 リアルウォー再開

『リアルウォー』

それは、十数年前この国で他の国の代理戦争を一般人にさせていた名称である。

プレイヤーと呼ばれた彼等は、家族や身近な人間を人質に取られ、人質を救うために彼等は陰で戦い、陰で死んでいった。

誰にも死んだ事は告げられず、決して公の場に出てくる事はなかった。

だが、その陰をおもてに出した高校生達がいた。

彼等も仲間や身近な人間を殺されながらも、リアルウォーの公表と壊滅を成功させた。

それは、本当に数十年前の出来事だった。

多くの若者にとっては、それはただ教科書に載っているだけ、もしくは、関係の無い事だと思っていた。

少なくとも俺は教科書に載っているだけだと思っていた。

けど・・・俺は、俺達は、そのリアルウォーに翻弄される事になるとは夢にも思わなかった。







『・・・見つけた。矢吹、お前の左正面にある赤レンガの建物、二階に、二人。正面入り口と裏口に一人ずつだ』

生い茂る草に身を潜める俺に辺りを一望できる場所から、無線で敵の位置を伝えてくる。

「ようやく、見つけたか・・・遅すぎて、眠る所だったぞ」

『良く言うよ。言っておくけど、今回の索敵は最速タイムだからな』

「わかった。わかった・・・で?どうする」

『俺が数を数える。二階の観測兵は山城に任せるから、お前達は一階の敵を排除し終えたら、二階に突入』

「了解・・・三好みよし、聞こえたか?」

赤レンガの正面入り口の近くに身を潜める仲間に連絡を入れるが、敵のすぐ側にいるため、声を出す事が出来ない状況だった。

「・・・そのままでいいから聞け。俺が裏口から突入して、その場を乱す。その隙にお前は、正面突破。目の前にいる敵を倒せ。・・理解したら手を上げろ」

仲間はゆっくりと手を上げて見せ、その姿を確認した俺達の観測兵が俺に教えてきた。

『よし、それじゃ数を数えるぞ。好きなタイミングで突入するんだ』

無線からは1,2,3,4,5と規則的なリズムを刻み始める。

数を数える仲間の横では、狙撃兵が二階にいる観測兵に狙いを定める。

入口付近に身を潜めていた仲間は、扉の横に張り付いた。

俺は裏口の敵が目を離した隙に、茂みから飛び出し窓のすぐ下に張り付いた。

『6,7,8,9・・・』

10・・・

その瞬間、俺は窓から身を乗り出し、敵兵の胸倉をつかむと窓から引きずりだし、ナイフで首を切った。

その物音に気付いた正面玄関の敵は後ろを振り返り、その後ろから仲間が消音機の付いた銃で敵の心臓を貫いた。

遠くからは銃声が鳴り響き、上の階で人がドサリと倒れる音が響いて来る。

「GO,GO,GO !!」

俺も遅れて建物内部に侵入し、仲間と合流して階段をのぼりはじめた。

階段を登り切る前に、俺は発煙弾を投げ込み、赤外線ゴーグルを素早く装備した。

煙が充満する部屋で、思わず咳き込む白い影、俺は見つけた時に銃口を向け、引き金を引いた。


『試合終了。勝者チームFOOL』

会場からは、女性の声で試合終了の声がスピーカーから響き渡った。

『よぉし、終了。俺達の完全勝利!』

倒れる人に手を差し出し、起こしながら無線から聞こえる仲間の声を聞いていた。

「お疲れ様。いや、凄かったね」

敵からそんな事を言われ、俺は首を横に振った

「俺達の観測兵が優秀なだけですよ」

「えぇ~!先輩、それって私は駄目だって事ですか!私はぁ?私!」

「はいはい、わかったから。お前も優秀だ」

「なんですか、その棒読みセリフは」

覆面の下で頬を膨らませる三好。

「とにかく、ミーティングルームに戻るぞ」

「は~い」





三好と共に、ミーティングルームに戻ると、無線で会話をしていた翔と、その横にいた狙撃兵の山城がいた。

「よぉ、お疲れ様」

翔がそんな事を言いながら近寄り、俺は翔とハイタッチした。

部屋に戻り、暑苦しい覆面を外し、長い髪を靡かせる三好は二人に気付き、駆け寄ってくる。

「先輩、私も!私もしたい!」

「はい、はい・・・なんだよ・・・お前、暑苦しいな」

俺改め、矢吹は手を上げる三好の手を思いっきり叩いてやった。

部屋中に手を叩く音が鳴り響き、あまりの痛さに三好は手を抑えた。

「先輩!私、一応女性ですよ!そんなに強く叩かないで下さい」

「やかましい!」

三好は所謂、『構ってちゃん』だ。だが、構ったら構ったで、何かと面倒な奴だ。

今現在も、口を尖らせ、こっちを睨みつけてくる。

「いや~、それにしても俺達のサークル活動ってさ、最近これがメインになってないか?」

覆面を外した翔は、短い茶髪の髪をタオルで拭いながら、そんな事を言ってきた。

「まぁ、いいんじゃねぇの?・・・このウォーゲームも研究対象なんだし、それに部室のない俺達に、完全個室を提供してくれる」


『不条理な迫害を受けるスポーツの原因と社会情勢』

せっかくの大学生活。他の奴がやっていない事をやりたいと矢吹、翔、山城の三人で作りあげた謎のサークル。

だが、未だにサークルとは認められず、同窓会としか、いや、それ以下にしか見られていない。

だから、部室も存在しない。

このサークルの活動内容は、まぁ見ての通りだ。

とある社会情勢に関して、迫害されるスポーツやテレビゲームなどを偏見なし、あくまで客観的にそのゲームやスポーツの面白さを追求する。

一年の頃は、バイオレンスなゲームなどで、実際に類似した殺人が起き発売中止、もしくは、生産中止に追い込まれたPCゲームなどをネットで落とし、やっていた。

そして、一年の冬から二年の今現在に掛け、俺達が一番研究対象・・いや、やってみたかったゲームをやっている。


『ウォーゲーム』

実際に存在する兵器を使い、人間対人間でやるサバイバルゲームだ。

一時、社会的反響が大きく、大いに盛り上がった時期が存在した。

ところが、『創られた戦争』『偽りの戦争』と呼ばれる海外の内戦を再現し、それを動画サイトに載せるなどする人間が増え、社会的批判が大きくなり、迫害されるようになった。

世界的に批判が多かったが、その時期に関しては、わが国ではあくまで他人事だった。

そんな時期、この国で事件が起きた。

『リアルウォー』

一般的に、ウォーゲームをする人間はプレーヤーと呼ばれ、彼等はこのサバイバルゲームを細々と楽しんでいた。

そんなプレイヤー達を無差別に選抜し、この国で本物の銃を持たせ、殺し合いをさせていた。

彼等は、身近な人間を人質に取られ、裏社会で人殺しを繰り返していた。

そんな中、一部のプレーヤーが反旗を翻し、表の社会に『同志』と名乗り、現れた。

彼等は、無差別に公共の場で銃を乱射し、多くの被害と人々に恐怖を植え付けた。

だが、そんな同志ですら、古い政府体制の口から、リアルウォーの存在を公表させる事が出来ず、壊滅した。


でもどうして、そんな裏事情を知っているかって?

それは、それを公表した人間がいるからだ。

ここからはこの国の近代歴史の勉強だ(さっきまでもそうだけど)。

裏事情を表に出した人物。それはなんと高校生だった。

教科書にはそう書かれている。

その事により、旧体制の政府は解体され、ウォーゲームはさらに窮地に追いやられた。



だが、彼等もそうだが、ウォーゲームをそれでもやる人間はいる。それは現在になっても変わらない。

なぜそこまで批判されながらもやるのか・・・それを研究したかった。

いや、表現がおかしいな。・・・やってみたかったんだ。

このサークルを名目に、俺達は堂々と批判されるゲームをネットで落としたり、実際に店に赴き、体験する事が出来る。

彼等がどんな意味合いを持ち、批判されるゲームに酔狂するのか、それが知りたかった。

だから、PCソフトでもそうだがかなりグロイ、エグイシーンを見たりするのが病みつきになっていた。

けど、あくまで客観的にだ。俺達もいい大人だ。現実とゲームの区別ぐらいつく。

そんなこんなで、辿り着いたのがこのウォーゲームだ。

今までは、どんなに『やばい』ゲームでも所詮、相手はAIだ。

だが、ウォーゲームは違う。

相手は人だ。身体能力の違いもそのまま反映される。

完璧なスポーツであり、ゲームでもある。まさに究極のスポーツだ。

何故、このスポーツが批判されるようになったか、それは社会情勢によって、批判されたのだ。


そして、俺達はこの緊迫感、臨場感を味わえるウォーゲームに病みつきになっていた。







「あっ、ヤベ・・・俺、そろそろ帰らねぇと」

腕時計の針を見て、俺は言うと、それに気付いた翔が訪ねてくる。

「あぁ、今日って永ちゃんの検査日か?」

「うん、そうだわ」

永とは俺の妹だ。病弱で、学校にすら行けていない。

俺は急いで、迷彩服を脱ぎ、私服に着替え始めるが、それに対し三好が悲鳴を上げる。

「キャーーーー!先輩、私がいるって事忘れてませんか!」

「あぁ?お前の存在感に気付けない人間がいるなら紹介して欲しいくらいだね」

「そうじゃなくって!」

一応は理解している。

だが、奴はどうしても異性として見る事が出来なかった。

だって、男顔負けの男気溢れる奴なんだぜ。

そんな三好に対し、翔は肩を叩きながら「諦めろ」と慰めを入れ、三好は「更衣室行ってきます!」と言い残し、ミーティングルームから飛び出して行った。

「なぁ、矢吹。お前、わざとだろ」

翔が俺にそう尋ねてくる。

「わざともクソもあるか。大体、妹みたいな存在で中学校の時からあぁだからな・・・」

「まぁそうなのかな・・・山城はこれからどうする?」

翔は、俺から視線をそらし、椅子に1人淋しそうに座る山城に話しかけた。

「俺も・・・バイトあるから」

籠った声が特徴的な山城はかなりの人見知りで、無口な性格。

バイトとか言ってるが、実際は家に帰ってレポートバイトだ。

大学で出されたレポート課題を、ネットから文章を探し、コピーしてはそれを張り付ける。

それだけで、彼は大学生から金を巻き上げ、平均年収は一般サラリーマンと同額を得ているなんて噂もある。

「そっか・・・じゃぁ俺暇だし、矢吹について行くかな~」

「別にいいけど、何で来るの?」

「えぇ~だって、俺、永ちゃんLOVEだし」

「来るな、ロリコン!」

「黙れ、シスコン!」

とまぁそんな感じだ。


俺の名前は、矢吹。そのサークルの立ち上げメンバー兼、責任者。

そして、チームFOOL(愚か者)のリーダーでもある。


私服に着替え終わり、廊下を歩く矢吹の肩を抱き仲よさげに笑いかけてくるのは翔。

チームFOOLのメンバー、観測兵。矢吹の高校時代からの親友である。


そんな二人の後を歩き、羨ましそうに見つめ、ずれた伊達メガネを人差し指で戻すのは山城。

同じくチームメンバー、狙撃兵。大学で一人、飯を食う山城を面倒見のいい翔が捕獲し、知り合った。


店の出口で、急ぎ私服に着替え息を切らしながら三人が来るのを待っているのは、三島。

矢吹と同じ、突撃兵。矢吹と中学の頃から先輩後輩関係。


以上が俺達、チームFOOLのメンバー。

この時はまだ知らなかった。

あくまで客観的に、他人事たにんごとのように楽しんでいたウォーゲームに・・・他人事ひとごとではなく、主観的に落とし入られる事になるとは


最後まで読んでいただきありがとうございます。

久しぶりです!二年ぶりです!いや、四年ぶり!?

また書き始めてみました~

舞台は最終話より数十年後の世界。

再び繰り返される悪夢とそれに立ち向かう人々を描けたらと考えております。

相変わらず文章力ダメ。表現力ダメ。

更に学生から社会人へと変貌を遂げてしまった私がこの小説を終わらせることが出来るのでしょうか?

どうにかこうにか頑張りますのでよろしくお願いします。


ご意見ご感想は随時募集中です。


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