第二話 リアルウォー参加
さて、それでは歴史を少し・・
ウォーゲームは、昔からひどい批判をされていたわけだはない
もちろん、昔から批判はされていたが
今ほどではない
昔は、この国でも
かなりのプレイヤーや観戦者がいた
俺は、その中の観戦者側だった
やりたいと言う気持ちは、抑え
見るだけで我慢していた。
俺の方がもっとうまくできると言う気持ちも少しはあった
だが、ある事件を発端に
このゲームは、批判されプレイヤーも観戦者も
極端に減った
そのある事件とは、世界各国で続いていた
内戦や紛争、それによって
先進国が、みるみる豊かになった
この国も例外ではない
3年か4年前に内戦や紛争は、一時的に停戦したものの
この事件は、『創られた戦争』『偽りの戦争』
と呼ばれるようになった
え?その名前の理由?そこまでは覚えていない
とにかく、ウォーゲームは、その戦場を再現するかのように
新たなフィールドを造り
その動画を、誰かが無料動画サイトに載せたりしたことで
ウォーゲームは、社会的に批判され
今の状況に至る
そんな中、俺はみんなには内緒で
プレイヤーになり、ここから離れた小さな店で
密かに楽しんでいた
そんな中、同じ制服を着た人と鉢合わせ
それが、勉だ
昔、勉とはよく観戦者として一緒に見に行ってたから
誰にもバレたくなかったが、勉には一番、内緒にしておきたかった
まぁ、それは互いに同じ心境で
二人の秘密にしようとしていたが
そこでバッタリと五十嵐に会ってしまった
気まずい空気が流れる中
大次と裕大までここに来てしまった
全員で、考えた結果、チームを作ろうと言う訳で
チーム名が決まらずみんなで話し合う中
痺れを切らせた五十嵐が
未入力で決定ボタンを勝手に押すとチーム1になったので
それに決定した。
その後、龍之介は、小さな店ではなく
今、使っている店で発見しチームに入れた
『おぃ、康太 起きろ』
頭の中で、洋子の声が聞こえる
「あぁ、くそ回線オンにしてたのか」
俺は、机から延びるコードを手首の端末に繋いだまま
寝ていたらしい
手首から抜こうとすると
『コラっ、抜こうとするな !!
次、康太が当たる番だぞ』
回線を使い洋子が話しかけてくる
『あぁ?何が』
『数学だよ宿題』
『まじか?どの問題』
机の中から、ノートを取り出し起動ボタンを押す
画面が開くと、数学の教科書のボタンをタッチする
『最後の問題』
『まじか、わかんなねーょ
教えてくれ・・
あれ?ってか説明書の授業は?』
『もう、とっくに終わってる
どんだけ、マジ寝してるのよ』
『洋子、最後の問題わかったの?』
『わかってる、今から送信する』
『ありがとう、助かった』
「はぃ、それじゃぁ、最後の問題は
お、康太が起きてるじゃないか
じゃ最後の問題、やってもらうかな?」
「はい」
今、受信した。模範解答を生徒全員に一斉送信する
担任の先生は「はい、よくできました」と言っているが
クラス全体が、クスクスと笑い始めた
『ば、馬鹿じゃないのあんた !!』
回線のボリュームを最大にされ
洋子の声が、頭の中に響く
「うわっ!!」
思わず康太、起立っ!!
「ん?康太どうした?」
「いえ、何でもないです」
そして着席
何事かと、洋子の席は後ろの方だから
振り返る。すると洋子は顔を真っ赤にしていた
「お前、気付いてないのか?」
横の席にいる勉に尋ねられた
「何があったの?」
「これ見てみろ」
勉は、自分のノートを見せ
模範解答以外の添付ファイルがあることを見せる
俺は、自分のノートの添付ファイルを
急いで、開くそこには、
《寝てんじゃないわよ、バカ》
と直筆で書かれた画像があった
「そう言う事か・・」
「まぁ、おのろけ話はあとで聞こうか」
「そんなんじゃねーよ」
俺は、ふてくされながらも
回線を使い
『ごめん、気付かなかった』
と言ったが、向こうが回線を切っているのか
返事はなかった
「いや〜、説明書の授業もある意味、面白かったけど
数学の授業で、まさかあんな事が起こるなんてな」
「うるせぇ、気付かなかったんだよ
わかった、大次これから一階の接近戦ルームに来い
一対一で勝負だ」
「冗談じゃない、ナイフのみで
お前に敵う奴なんていないよ」
俺は、ガンズショップのミーティングルームで
全員がそろうのを待っていた
全員揃えば、リアルウォーについて
聞いてみようと思っていた
「あぁ、そうだ康太
この紙、見たか?」
大次と裕大が、取り出した紙は、リアルウォーのパンフだった
「お前ももらってたのか」
横で驚く、勉
「お前もって事は」
「あぁ、俺らももらった」
「すみません、遅れました
あっ昨日、こんなパンフレットもらったんだけど」
そう言いながら、龍之介が入ってきた
「お前もか・・」
「え?」
最後に五十嵐が入ってきた
机の上に並べてあるパンフを見て
五十嵐も鞄からその紙を取り出した
「全員、貰ってるってことか
で?どうする」
みんなに聞いてみると
「どうするって、金がねーよ」
と勉が即答
「いや、優勝賞金を分けてくれるなら
出してやってもいいって岸辺が言ってたぞ」
「面白そうじゃね?
俺は、参加してもいいぞ」
「で、でもこのデザインはちょっと気味が悪いです」
全員であぁだこうだ言ってるが一人喋ってない奴がいる
「五十嵐はどう思う?」
「・・お前らに任せる
ただ、大会があるならこの店でなかなか試合ができない
俺らにとっては好都合なんじゃないか?」
「ん〜、そうだよな
とにかく、この答えは、帰るときに決めよう
一応、受付で試合の申し込みはしておいたから
呼ばれるまで各自、自由行動」
「了解」
全員が部屋を出る中
パンフレットの一枚が机の下に落ちた
土造りの崩れた建物が広がる市街地の中
ナイフを片手に息を潜め
地面は砂利だが、なるべく足音を出さないように
ゆっくりと歩く
音は、自分の息と小さな足音
市街地を流れる風の音しか聞こえない
近くで金物が、カランと音をたてビクつく
その瞬間、後ろから誰かに首を抑えられ
膝をけられ両膝をつく
「しまった」そう呟く時には、もぅ遅い
ナイフで、肺と心臓一突きされた
「よ〜し、俺の勝ち
ざまぁみろ」
「だぁ、くそっ・・やられた
康太どこに潜んでいるんだよ」
「へへっ、内緒だ」
ヘルメットを外し覆面を取る
周りのメガホンから流れるゲーム結果
『ゲーム終了
康太選手vs大次選手
勝者、康太選手』
後ろを振り向くと
康太が覆面をしたままガッツポーズをとっている
「昔なら、ここで歓声が上がるのにな」
「あぁそうだな」
今は、誰も見ていないし歓声すら上がらない
「さぁ、戻るべ
勉達もそろそろゲーム終了してるべ」
「そうだな」
康太は、大次を起こし
ゲートに向かった
ゲートが開くと勉達が待っていた
「よぉ、一方的な展開だったな」
「そういう、そっちはどうなんだよ」
「二対一なのに、勉の勝ち」
「かぁ〜、情けねぇ」
「よく言うぜ、金物の音にビクつきやがって」
「はぃはぃそうですね」
「なんだ、じゃぁ五十嵐はまた最上階か?」
「そうじゃね?狙撃バカだからな
みんなで行ってみるべ」
「おぉ、いいね」
みんなで四階まで上がると
そこは、かなり静かな場所で
時折銃声が聞こえるそんな感じだった
そんな中、一つ一つ区分けされた場所で
五十嵐を見つけ
目標物の設定を見て勉が驚く
「おぃ、見ろよ
目標物との距離」
そこには、赤い文字で1600と書いてあった
「本気かよ、届くのか?」
全員が見守る中、
五十嵐は寝そべった状態で銃を構え
引き金を引いた。
発砲音が鳴り響き
目標物は、しばらくしてからはじけた
『1600m成功』
「うをぉぉぉ !!」
全員が唸る
「どうした、お前ら?
いつからここにいる」
全員がここにいる事に今気づいたのか?
「いや、すごいなって思ってさ」
「そうか?」
俺以外の奴は「よし、俺もやってみよう」
と言う事で、レンタルのライフルを取り
区分けされた部屋に入ってしまった
電光掲示板には、最高記録ベスト3が載っていた
「あのうちのどれかに、お前の記録もあるのか?」
遊び半分で聞いたつもりだった
なぜなら、記録はすべて2000mを超えていたからだ
「あぁ、全部俺のだ」
そう返ってくるとは思わなかった
「なぁ、初めは距離どれくらいがいい?」
勉の声がなかったらしばらく固まっていただろう
「300ぐらいがいいんじゃないか?」
勉は「わかった」と言うとまた部屋に入った
「どうして、300なんだ?」
「俺だったら、必ずヘッドショットを決めれるから
お前もやってみたらどうだ?」
「いや、俺はいいよ
そんな集中力、無いから」
「そうか」
「なぁ、お前はどう思う?」
「なにがだ?」
「リアルウォーだよ」
「どっちでもいいぞ」
「それが、困るんだよ
まったく自己主張のない奴だな」
「・・まぁ、俺達のレベルがいったいどのくらいなのか
日本中の奴等と戦ってわかるって言うのは
いい事なんじゃないか?」
「じゃぁ、お前は賛成か?」
「そうだな」
「そんじゃ、全員一致で参加決定だ
実は、ここに向かう途中でみんなには聞いてたんだよ」
「そうだったのか」
「あぁ、そうだったの」
俺達、全員で受付に行った
「岸辺」
「いらっしゃい
で?どうするの」
「俺達、参加するぜ」
「はい、わかりました
登録は私がしておくよ
あと、多分今日、さっそく試合があると思うから」
パソコンにキーボードで何やら打ち込んでいる
「え?すぐに?
何の作戦もたててないよ」
「大丈夫、この前の森林と同じ所だから
新たに作戦をたてる必要もないでしょ」
「おぉ、俺達の得意分野だな」
「40%」
「え?」
「初参加の人が勝つ確率
はい、登録完了
うん、やっぱり今日から試合があるね」
「今すぐ?」
「違います。それは主催者側も準備があるから
この紙に、必要な武器や装備にチェックを入れて
武器や装備は、向こうで渡すことになるから」
一人ひとりに紙を渡され、
そこには武器の名前がずらりと並んでいた
「どれでもいいの?」
「もちろん、なんのための参加料だと思ってる
どれでもOK」
「うわっどうしよう
悩むな」
その紙には、今使っている奴から
最新のまでずらりと書かれてあった
「なるべく、使い慣れてる奴にしな
使い慣れない武器使って、負けましたなんて
洒落にならないから」
全員が、今使っている銃を選び
試合までまだ時間があったので
みんな、一時帰宅した
勉とも、「試合、楽しみだな」なんて話して
別れた
俺は、まっすぐ家には向かわず
小さな石ころを何個か拾って家に入った
部屋に入ると向かいの電気がついていたので
石をそ〜っと投げた
昔だが、石を投げて窓ガラスが豪快に割れてから
怖くてそ〜っと投げるようにしている
窓から様子を窺うように出てきた
洋子は、なぜかバスタオル一枚だった
あわてて洋子は姿を消し
しばらくしてから、服を着て登場した
「馬鹿、変態、なんでいつもより
帰宅が早いのよ」
「なっ、別にいいだろ
それより、今日の事謝りたくて」
「どの事よ、今の事だったら
絶対許さない」
「それはカーテンをしないお前が悪い
あ〜ヤダヤダ
男家族がいない家庭は、みんなそんな恰好してるのかね」
「うるさい、男しかしない家庭にそんな事言われたくない
それにね、あのメールのせいで
今日、部活でも話題にされたんだからね」
「いや、だからそれはごめんて・・」
「嫌、絶対に許さない」
洋子は、豪快にカーテンを閉めた
「あ・・・」
そんな事をしている内に
時間が来ていた
「そろそろか・・」
俺は、家から出て勉の家に向かおうとした
「こんな夜中にどこに行くの?」
窓から身を乗り出す洋子がいた
「まだ11時だろ、夜中じゃない
遊びに決まってる。じゃぁな」
勉の家に向かった
勉と合流すると
ガンズショップではなく、駅に向かった
駅前のバス停に11時30分貸し切りのバスが来る
それに乗って試合会場に行く
そう教えられ、向うと全員揃っていた
楽しみだな、なんて会話をしていると
バスが来た。何の変哲もないバスだ
俺達が、乗り込むと扉が閉まり
バスは出発した。バスには、俺達しか乗っていない
長い間、バスは見た事のない道を走り
着いたところは、知らない山奥だった
「試合が終わりましたら
お迎えにあがります」
運転手はそう言うと一枚の紙を渡し
どこかへ消えた
紙には、相手の人数と武器が置いてある場所を
示した地図が書いてあった
ペンライトを使い、武器が置いてある場所に向かった
「あった、これじゃね?」
ペンライトで当てた場所に長方形の黒い鞄が
俺達の人数分、置いてあった
一つ一つに名前が書いてあり
誰の物かが一目でわかった
鞄を開けるとそこには
解体された銃と装備が入っていた
全員が、黙々と組立て、装備に不良がないかチェックした
「いや〜緊張してきた」
「あと十五分で試合開始だよ」
「楽しみだ」
「敵は何人なんだ?」
「五人だ」
「俺らより少ないのは珍しいな」
なんて、会話をしていると
銃を隅々までチェックしていた五十嵐がハンドガンをもって
こっちに近づいてきた
「おぃ」
「え・・?」
一言そう言うと、銃口を下に向け
引き金を引こうとした
「馬鹿・・」
全員が耳を閉じる
暗い森の中に馬鹿デカイ銃声が響く
そして、ある光景に全員が息をのみ、目を疑った
地面に穴があいている
五十嵐は、地面にあいた穴を掘り
そこから、弾を取り出した
全員が、この光景に固まった
誰もが夢であってほしいと願った
だが、これは夢ではなかった
俺は、声が裏返りながらもこの疑問をみんなに聞きたかった
「・・これ、ほ、本物?」
なんとか、あらすじの途中までは
書けたのではないでしょうか・・