表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/75

第十六話 先生の次・・

見晴らしのいい丘の上に俺ともう一人、狙撃手と観測手が身を隠していた。

「どうする・・みんな死んじゃったぞ。・・・なんで、仲間を殺したんだよ」

双眼鏡で覗きながら敵の位置を確認しながら俺は話しかけた。

「いいんだよ、あんな奴等。人を殺す事に快感を覚えた奴等なんてチームにいらない」

「・・・だからって、殺す事ないんじゃないか?悠一」

実際、人を殺す事に快感を覚えていたのは悠一の方だったのかもしれない。

でも、それは怖くて言えなかった。

「いいから、お前は俺についてくりゃいいの!敵はあと何人?」

「3人は、左の高いビルに固まって行動してる。・・あと2人は、まだ見つかんないあいつ等が倒したのかもしれない」

「ったく、殺したんならちゃんと連絡すれよな!・・個人行動とりやがって」

「悠一、とりあえず、あの3人やっちゃおう。あと二人は、後で探せばいい」

「OK〜、座標行ってくれ」

「距離は405、風向きは北北西2,7湿度は60・・あと欲しい情報ある?」

「ん〜や、要らない」

悠一は銃を構えた。俺はいつも通り隣で双眼鏡を覗き呟き始めた。

「目標物との標準良し、撃て、撃て、撃て、撃て」

ビルの窓から頭が出ていた敵の頭に当たった。残りの二人は、すかさず腰をかがめ、肉眼では見えなくなった。

俺と悠一は、双眼鏡のモードを赤外線に変えた。スコープと双眼鏡は壁を通り抜け残りの二人の位置を見してくれた。

「撃て、撃て、撃て・・・」

赤外線でもわかるような豪快な血しぶきがあがった。残りの一人は、その場から逃げだそうとしてか階段を降りはじめた。

だが、双眼鏡とスコープは逃げる敵をしっかり追っていた。

「撃て、撃て、撃て」

敵は、折り返しの階段で弾を喰らい豪快に下までころげ落ちて行った。



「あと二人っはどこ・・?」

悠一は上機嫌に鼻歌を歌いながら俺に聞いてきた。

探していると敵を発見し鳥肌が立った。灯台もと暗しとは、まさにこの事だ・・・

「悠一、ヤバい 丘のすぐそこだ」

悠一は、鼻歌を止め丘の下を覗いた。確かに双眼鏡を使わないでも見れるほどの距離まで崩れた土の壁を遮蔽物にし、こっちに近づいていていた。

「悠一、俺達の場所がばれたんじゃない?」

「落ち着け、まだばれてない」

悠一は、スコープで敵を追おうとした。だが、近すぎて左右に動く敵をうまく追う事が出来ない。

「クソッ、近すぎてうまく追えない」

悠一は、ただひたすらに撃ちまくる。だが敵は、近くで弾がはじけるが怯むことなく着々と近づいてくる。

「悠一、俺がやる」

俺は、初めにセットしておいた機関銃の所に転がりながら向かった。

「止せ、そんなもん撃ったりしたら。俺達の場所がバレちまう」

「もぅ、バレてるのと同じだよ」

俺は、機関銃の所に到着した。

「お前が、人を殺す必要はないんだ」

必死に止めようと声を荒げる。

悠一は俺を守ろうと人を殺すのを知ってる。悠一が俺に人を殺させないようにしてるのも知ってる。でも、俺だって悠一を守りたいんだ・・・弾をセットし、敵に向かって俺は初めて引き金を引いた。

土ぼこりと土の壁が、俺が撃つ機関銃によって舞い上がり崩れていく・・・・土ぼこりのせいで、敵がどうなっているのかもさっぱりわからない。

ただ、ひたすら撃ちまくった。弾がなくなるまで撃ちまくった。

もしかしたら、俺は叫んでいたかもしれない。でも機関銃の音のせいで全く聞こえない。

弾を撃ち終わり土ぼこりが止むのを待ってみるとそこには、人であっただろう肉片が二つあった。

「やったよ、悠一」

そう言って悠一がいた場所に行くとそこには頭から血を流した悠一が倒れていた。

「悠一・・?悠一 !!ゆう・・兄貴、兄貴・・しっかりしてよ」

俺を止めようとして立ち上がり敵に撃たれたのかどうかは知らない。

ただ、俺は兄貴の死に目を見る事が出来なかった。




「悠一、起きろ」

目を開けるとそこは、ガンズショップの個室だった。

「くそっ、嫌な夢を見た」

「あ〜そうか、弟さんが死んだ夢。まだ見るのかい?いい加減忘れちゃえよ。忘れないなんて珍しいケースだな」

話すと口に歯がない岸辺が俺に話しかけてくる。

「当たり前だ、兄弟だぞ。忘れるわけがない」

「ふ〜ん、そんなもんなのかね?でも、死んだのが弟の方で良かったよ。あんな引き金も引けない奴を拾ったって意味無いからね。双子のくせにどうしてこうも違うものなのかね・・?」

「おぃ、歯をもっと取られたいのか?岸辺」

「ハィハィ、怖い怖い。ほら次の試合の報告書、あいつ等に伝えといてね。そのためにここに来たのに寝てるんだもん・・・全く、いい身分だよな保護対象者ってのは」

「じゃぁ、あんたもチーム作って試合に出たらどうだ?」

「冗談じゃない、担任の先生と殺しあうだなんて俺には出来ません。まぁ手足を縛られた先生を殺せならやってもいいけどね」

「・・・・ったく、あいつ等の担当外されて本当に良かったな。もし、今ここにいるのが俺じゃなくてあいつ等なら今頃、あんた死んでるぜ」

ムカつく感情を抑え、冷たく岸辺に言った。

「ホントー、担当外れても金が入ってきてて良かったー。それに今回の試合も色々と面白そうなんだ。このチーム、どうなっちゃうかな?負けちゃうことは・・・無いと思うけど。勝ってもチームは、崩壊するかもね」

不気味な笑みを浮かべながら岸辺はそう言った。

「おぃ、いい加減出てってくんないかな?あんたみたいなクズと話したくないんだけど」

「おっと、そうだったね。それじゃ出てくとしますーー」

岸辺は、抜けた歯を笑顔で見せながら出て行った。

「クソッ、あいつはいつになったら歯を元に戻すんだ」

ベットから跳ね上がりながら呟くと

「治すつもりはないよ。笑うとこれ不気味だろ、結構気に入ってるんだ」

ドアを少し開け頭だけ出し笑顔を見せそう言ってきた。

「出てけっ !!」

そう言って悠二は花瓶をドアに向けて思いっきり投げた。岸辺はすばやく顔を引っ込めドアをはさんでもわかるような不気味な笑い声を響かせながら消えていった。

落ちた紙を拾い中身を読むと怒りが満ち溢れてきた。

「くそ野郎がっ !!あの子らにどれだけ障害を与えるつもりだ !!」

紙を引き裂きながら悠二は叫んだ。





「おぃ、岸辺っ !!」

受付でボケラっとしていると裕大がズカズカとこっちにきた。

「どうした?」

「レーダーってなんだ?」

「なんだ?そんな情報どこで手に入れた?」

「やっぱり、知ってるんだな?教えろ」

「手首につけてる位置座標特定機の特殊な周波数に反応し音が出る機械だ」

「なんで、そんな道具がある事を教えてくれなかったんだ。もしそれがあれば、学校でオドオドする必要だってなかったかもしれないじゃないか」

「お前な・・・もしそれを俺が渡してたらどうなってたと思う?ある人に反応したらどうする?その場で銃撃戦か?」

「それは・・」

「とにかく、ミーティングルームにみんなを集めろ。次の試合の報告がある」

次の試合と聞いた瞬間、裕大の顔が曇った事に気づいたが気付かなかった振りをした。

裕大は、俯き加減で部屋に向かって行った。



「・・・全員そろったか?」

全員がそろう事はもぅないことなのだが岸辺がミーティングルームに入ると生き残った全員が席に座り誰も喋ってはいなかった。

「どうした?空気が重いぞ」

扉を閉め席に座ると康太が、話しかけてきた。

「岸辺、俺達って優勝候補なのか?」

「・・あぁそうだ。お偉いさん方は、武器の宣伝のみでは飽き足らず、競売まで始めやがったんだ」

「競売だと・・?」

「あぁ・・お前達は、その年齢の割に活躍して経験値キャリアの上の奴等をドンドン倒していくから人気があるらしい」

「ふざけやがって・・」

「それに・・逆に大穴を狙ってる奴もいる」

「大穴?」

岸辺は、大きなため息をつき一呼吸おいてから言った。

「次に・・誰が死ぬか・・・お前達は周りに比べて生存率がいいんだ。だから、お前達それぞれ一つの命に何憶っていう」

岸辺は続きを言う前に勉に殴られた。

「・・お前、段々岸辺になってきたな」

「・・・・あぁ、否定はしない」

「お前だって、元はプレイヤーだろ !!俺達を見て何とも思わないのか」

殴られた頬を拭いながら周りを見渡す、全員がこっちを見てくる。何かを感じるがそれがなにかはわからない・・・

「悪い・・なんにもわからねぇ。俺はもぅ、そっち側の人間じゃない。こっち側の人間になっちまったんだ」

勉の怒りは不完全燃焼に終わり。椅子に座った。

「次の試合は、2週間後、フィールドは平地だ」

そう言うと、岸辺は部屋から出て行った。


「クソっ、あの野郎 !!」

勉は自分の座っていた椅子を壁に向かって乱暴に投げた。まだ暴れたりない勉を康太が抑えた

「止せよ、勉。あれは仕方ない事だ」

「仕方ないだと?あれのどこが仕方ない事だっ !!」

「あいつはプレイヤーだったかもしれない。でも、今はあっち側の人間だ。あいつの性格じゃ正直つらいだろ・・・違う環境に置かれたら、そりゃ性格だって変わるだろ」

「俺もそう思う、先生の担当の岸辺も前の岸辺と似た性格だった。俺達を商品としか見ない岸辺より俺達を本気で心配してくれる今の岸辺の方がいいだろ?」

康太と裕大の言い分に納得し落ち着きを取り戻す勉

「お前等、意外と残酷だな」

悪戯に笑う五十嵐

「どういう意味だよ、五十嵐」

「この会話、全部あいつに聞こえてるんだぞ。もし、俺があいつなら、もっとけなされてる方が楽だと思うぞ」

「あっ忘れてた・・」





「今回の人数は?」

「七人だ。かなり多いな。っていうか、チーム名『ゾンビ』だってさ」

「今日はやけに冷え込むと思ったら、やっぱりな・・雪降ってきたな」

空を見上げるとうすい雲がかかり、細かい雪がパラパラと落ち始めてきていた。

「山の上だからな、仕方ないよ」

全員が装備をし終わり後は、試合開始の音が鳴るのを待つだけだった。

「この人数でこのフィールドは正直厳しい。今回は詮索はしないで巣を作って待ち伏せしよう」

フィールドは草原、夜だとしても背の高い草は生えてないから見つけやすいが、見つかりやすい。

だた屈めば、何とか身を隠せる。ピピピ試合開始の音が鳴った。

「俺達は、一心同体だ。必ず生きて帰ろう」

全員で拳をぶつけあう。移動を開始しようとしたその時、遠くで一発の銃声が鳴った。

「なんだ?」

「向こうも俺たちみたいに始まりの儀式的な物でもしてるんじゃない?」

「ハハッそりゃいい、そんな決まり事やるの俺達だけだと思ってた」

「おぃ、みんな静かにしろ。・・・どうやら、そう言う訳じゃないらしい」

五十嵐にそう言われ静かにしてみると暗闇の遠くから悲鳴に似た叫び声が聞こえてきた。

「こりゃ一体なんだ?康太、どうする」

「とりあえず、俺達は巣を作って待機だ」

『誰か !!助けてください』

無線から敵の声が聞こえてくる。

『誰でもいいから応答してください』

何がどうなっているのか、さっぱりわからない。康太が、無線に出ようとすると勉が止めた

「止せ、どうせ罠だ」

『誰か・・お願いです』

「で、でもよ・・これはさすがに出ないとやばくないか?」

確かに、無線から聞こえてくる。助けの声は尋常じゃないくらいパニクっていた。

「わかった、とりあえず出て見る。みんなは、周りに警戒してくれ」

そう言うと康太は、無線に出た。

「こちらチーム1、どうしたんですか?」

すると、無線からは無線を奪ったのか違う奴の声が聞こえてきた。

『お・・お、俺じゃない。潤也を殺したのは、俺じゃない』

『待て、落ち着けわかってるから。止せ !!銃を下せ・・秀っ、止せ・・やめろーー』

無線から一人の悲鳴と銃声が鳴った。そして、しばらくして遠くから銃声が聞こえた。

『大ちゃん!!しっかり、しっかりしてよ!秀っ!!何やってるんだよ』

大ちゃんと呼ばれる人の痛がる声は無線の向こうから聞こえてくる・・・声だけでも状況が大体わかる

「おぃっ !!お前等、何やってやがる」

『だから、俺じゃないんだ!!潤也が死んだのは、俺のせいじゃない』

「意味がわかんねーんだよ!!なんで、仲間同士殺し合いしてるんだ。お前じゃない奴に変われっ!!」

涙声で訴えてくる奴についつい声がでかくなった。しばらくすると、また違う奴が出てきた。

『今、大ちゃんも死にました・・』

「何があったか、最初から説明しろ」

『最初は、俺達の決まり動作で俺達は一度死んだ。だから、もぅ死ぬ訳がない・・・そう言う意味で、仲間の胸に一発撃つんです。それが今回は、秀と潤也の番だったんです』

「・・・・なんでそんな事をするんだ」

康太は呆れたと言わんばかりに言った。

『だって、仲間からの攻撃なら電流は流れるけど戦闘不能には、ならないでしょ』

その瞬間、やな予感がした。

「おぃ、こいつ等まさか・・」

勉が先走る中、康太が、向こうに聞いた。

「お前等、大会初参加か?」

『・・・・はい、そうです』

全員の背筋に鳥肌が一気にたった。そして、勉はある事に気づき康太から無線を取った。

「おぃ、勉・・」

「お前、名前なんて言う?」

康太を無視し勉は向こうに聞いた。そして、名前を聞いた瞬間、「マジかよ・・」そう言って勉は無線を落とした。

「おぃ、勉・・大丈夫か?」

「・・・間違いない」

「知ってる奴なのか?」


勉は、うなだれながら勉はこう言った。

「・・サッカー部の奴らだ。大ちゃんって俺達のクラスの大樹の事だ」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ