第一話 リアルウォー開催
サッカーの起源は、将軍や偉い人の
生首をみんなで、蹴り始めた事が
始まりだと言う説がある
アメリカンフットボールは、
どうやって、敵陣に爆弾を放り込むか
戦術をたてる事が、由来
剣道、柔道、ボクシング、
人は、争いの中から娯楽を生み出し
娯楽の中で、人は争う
それを見物にして、人々を熱狂させる
そんな中、一時期社会現象になり熱狂し
社会問題にもなった娯楽があった
『ウォーゲーム』
戦場を、見物にする最低のゲームだ
暗い森林の中、俺は草にまぎれ身を潜めた
「チェック」
八人の敵が、徐々にこっちに近づいてくる
まだ、俺達には気づいていない
「チェック」
頭の中の無線から毎回、毎回この声が聞こえる
規則的に、リズムよく
「チェック」
「グァッ!!」
一発の乾いた銃声とともに
中央にいた、敵の一人が頭を撃たれ倒れた
それと同時に、敵を囲うように身を潜めていた
仲間が、一斉に射撃を始め
正面で待ち構えていた俺も、身を乗り出し
敵の一人に向かって、引き金を引いた
敵がバタバタと倒れる中
敵の一人が、俺に向け引き金を引こうとしていた
おかしい、あいつはもう、銃弾を喰らっているはずだ
そう思いながらも、そいつに銃口を向ける
駄目だ・・間に合わない
下腹部のあたりに、電撃が走る
撃たれた・・
仲間の一人が、そいつの頭に弾を喰らわせ
敵は、後ろに倒れた
『試合終了です。
チーム1の勝利です』
機械の音声が、俺達の勝利を無線ではなく
あらゆる所に設置されたメガホンから流れる
「やったな、康太」
「『やったな』じゃねーよ
撃たれた」
息苦しい、黒色の覆面を外し
俺に駆け足で近づいてくる鈴木 勉に言った
「でも、急所じゃないだろ
大丈夫だ」
「本物だったら、どうするんだよ
電撃攻撃じゃ済まないぞ
おぃ、龍ノ介 !!あいつは、お前がやる仕事だろ」
「ご、ごめん
うまく当らなくて・・」
勉の後ろから、身を隠すようについてくる
福見 龍之介
「まぁまぁ、落ち着いて
まだ、チームに入ったばっかしなんだし」
「そうだよ、康太」
勉達とは、逆の方から
高本 大次と佐伯 裕大がやってきた
「はぁっ?お前ら、先生から教わんなかったか?
今の社会が、求めるものは
即戦力の人なんです
それにな・・」
「おぃ、一人がミスをしたら
すぐに誰かが、バックアップに回る
それが、チームだろ」
俺の後ろから、相変わらず気配が感じられない
五十嵐・・なんだっけかな?
「はぃはぃ、そうですね
早く、帰るぞ」
俺は、井上 康太
一応、このチームのリーダーだ
以上、自己紹介終わり
メインゲートに着くと
さっき倒した、敵と鉢合わせした
「あ・・いや、どうもお疲れ様です」
「おぉ、お疲れ
いや〜強いな、君たち」
いや・・正直、おっさん達が弱すぎ
「いや、たまたまですよ
俺も腹に一発たまを喰らいましたし」
「弾だけに『たまたま』なんてな」
うわっ、笑えね〜
「ハハッ、それじゃ俺達はこれで」
「あっ、ちょっと待ってくれ」
「なんですか?」
「最初の一発目と
そのあと、俺の頭に撃った人って誰だい?」
「あぁ、五十嵐ですよ
後ろにいる、やけに背が高い奴」
初めて、俺達と試合をする奴は必ずこの質問をする
そして、答えは背が高いと言えば、誰だかわかる
五十嵐は、俺たちですら見上げるほどの長身で
どこかの怖いお兄ちゃんなんかよりも、ずっと威圧感がある
「おぉ、君が、狙撃手か
すごい腕だな、場所が分からなかったよ
一体、どこから撃ったんだい?」
なにも、喋ろうとしない五十嵐に
俺は、仲裁を入れる
「いや、言う訳ないじゃないですか
俺達の手の内がバレちゃうし
この戦闘システムは、門外不出です」
「お、おぅそうか、すまんな」
「それじゃぁ、俺達、これから
ミーティングするんで」
「高校生なんだから、早く帰りなさいよ」
「はい、そうします」
俺達は、先にメインゲートに向かった
個別のミーティングルームに入り
俺は、左手首の端末につけた位置座標発信器をむしり取り
乱暴に投げた
「あ〜くそっ、なんなんだよ
あのおっさん」
「弾だけにたまたま、いやウケる」
特殊なゴムの靴を脱ぎながら
勉は、思い出し笑いをしていた
「いや、受けないし
あんなギャグ何百年前のギャグだよ
平成か昭和ぐらいまでいっちゃうね、きっと」
俺はロッカーを開け、埃混入防止用の蓋を
手首の端末にかぶせる
「しかしだ、みんな聞け !!
この頃、敵があまりにも弱すぎる。そして、その弱い敵から
俺は、一発喰らってしまった
その原因は、貴様だ。龍之介」
康太に指をさされ、ビクつく龍之介
「ご、ごめん」小さく呟く龍之介に
勉は、弁護に回った
「はい、裁判長」
「弁護人、発言を許可する」
「ありがとうございます、裁判長
今回、龍之介さんは、確かにミスをしました
ですが、今までもそしてこれからも
このような、ミスは誰でもしてきたし
これからも、誰かがするかもしれません
ですから、今回のミスは
チームの誰かがバックアップに回る
その対応性と順応性が向上したとは言えないでしょうか?」
「異議あり、それは結果論であり
話の論点がズレています」
大次が、発言し横で裕大がうなずく
「異議を認めます」
「そもそも、チームに入ったばっかし
と言いますが、龍之介さん
あなたは、いつこのチームに入りましたか?」
「に、2か月前です」
そこで、待ったと言わんばかりに裕大が手を挙げた。
「裁判長、正確には2か月と20日です
ほぼ3カ月と言っていいでしょう
そんな彼を、『入ってばっかし』と
言っていいのでしょうか?以上で発言は終わりです」
「弁護人、意見はありますか?」
「いえ、ないです」
「では、判決をいいます
龍之介さんには、
俺の銃のメンテナンスと解体を命じます」
俺は、龍之介の机の上に俺のサブマシンガンを置いた
その瞬間、勉、大次、裕大から非難の声が上がった
「はぁ〜?異議あり
自分の銃のメンテナンスは自分でやれ」
「ただ単に、やるのが面倒くさいだけだろ」
「銃を粗末に使うものは、銃に泣くんだよ」
「ちょっと待て、俺の弁護人はいないのか?」
「いるわけないだろ
馬〜鹿」
「さすがにこの弁護は無理だな」
「そんな、勉まで・・」
ようやく、ジョークだと気づき
龍之介からも笑みがこぼれる
「いや、でもさすがに
龍之介の穴はどうにかしないとな
ポジションを変えるか?
大次と裕大のどっちかと変えてみるか?」
全員、銃のメンテナンスが大体終わったところで
康太は、真剣な表情で言った
「それじゃ、逆効果だ
龍之介の実力を考えて勉と一緒にしたんだから
例え、俺か裕大と変えたとしても
穴の大きさが大きくなるだけだぞ」
「あぁ〜、冗談に聞こえないのが恐ろしい」
「うわっ、冗談のつもりだったのに
傷つくわ〜」
「ごめんね、僕のせいで」
うまく銃を解体できない龍之介から
勉は、銃を取り
「気にするな、お前が足引っ張っても
今度は、俺がカバーしてやる」
解体した銃を、龍之介の机の上に置いた
「あ、ありがとう」
「やっぱり、一番の解決策は五十嵐なんだよな」
そう言いながら、俺は
銃の手入れをする、五十嵐に目線を向ける
「悪いが、900を超えた距離じゃないと
俺に観測手は、いらない
それに、二人になると目立つ」
「やっぱり駄目か・・
仕方ない、しばらくはこのままの状態でやるか
それじゃ、今日は解散
勉、帰るべ」
「おぅ、それじゃみんな
したっけな」
全員バラバラな返事を返す中
俺と勉は、部屋をでた
いくつもの、個別の部屋が並ぶ
長い廊下を歩いていると
扉の向こうからは、笑い声や喧嘩の声
たまに、発狂している奴がいたりする
まぁ今回は、いないらしいが・・
「なぁ、康太」
「ん?何だ」
「俺達、今度いつ試合できるかな?」
「ん〜、どうだべかな?
もう俺達と試合したがる人いなくなってるからな」
「ここらへんじゃ、
もぅ俺達に敵う敵はいないんじゃないかな?」
「そうだな、
せっかく道内一のガンズショップに来てるのにな」
「今度、オンラインで対戦してみるか?」
「でもあれは、有料だべ?
そんな金ないよ」
「はぁ?よく言うぜ、自分のおや・・っと悪い」
「いいよ、気にするな
おぃ、岸辺」
受付に立っているヒョロっとした男が岸辺だ
「いらっしゃ・・なんだお前らか」
「今度、オンラインやりたいから
期間限定でもいいから無料にしろ」
「お客様、無理です」
「もぅ、ここらへんで強い奴がいないんだよ
この店、紹介したのお前だろ
責任とれ」
「そう申されましても
ここで強い敵がいないのであるなら
日本中、どこを探しても、もぅ強い敵はいません」
「嘘つけ !!」
その時、岸辺の後ろの壁に
ゴシック体で所々穴があいた文字の周りに
鎖が巻きつけられ日本のホラー映画のような感じで
『リアルウォー開催』と書かれた張り紙を見つけた
「リアルウォー?」
「ん?あぁ、これか?」
岸辺は、張り紙を一枚はがし康太に渡した
近くで見ると、ますます気味が悪い
ゴシック体だと思っていた文字は
実はレンガで、虫食いのような穴は銃痕だった
そして、鎖やレンガには、所々血のような物まで付いていた
「うわっ、なんだこりゃ?」
後ろから、覗いてみた勉も気味悪そうな顔をした
「大会だよ、非公式だけどな
ウォーゲームの日本一決定戦みたいなものだよ
優勝賞金300万円」
「300っ?」
あまりの額に後ろで驚く勉と、それほど驚かない康太
「おぃ、康太、今
まぁそんなものかとか思ったべ?」
「ん?・・思ってねーよ。
いやなまらすごい額ですな〜」
「まぁ、二人とも
一応このパンフレット渡しとくから
参加するかどうかは、みんなで決めるといい」
「一応、考えておくよ」
店の外に出ると、あたりは暗くなっていた
明かりと言ったら、月明かりと
この店の、無駄に広い駐車場の街頭ぐらい
あとは、道路や歩道のまちまちとした明かりだけ
俺は、薄暗い中、岸辺に渡されたパンフレットを見ていた
「なぁ、どう思うよ」
「ん?何が・・ってうわっ、お前・・
康太、まだそれ持ってたのかよ」
「いや、一応みんなに聞いてみないとな
これ参加料もかかるみたいだし」
「いくら?」
「一人一万」
「高っ・・でもさ、その表紙、俺はやだな
誰が、デザインしたんだろうな」
「え、そうか?俺はこのスポーツの一般的な人から見た
表現としては妥当だと思うぞ」
「それは、周りの人間だったらいいさ
でも、こっち側の人間がこんな表現をしていいのか?」
「いいべ、別に
でも、このパンフ、おかしいんだよ」
「なにが?デザインか?」
「ちげ〜ょ、参加応募期間が書いてないんだ
普通書いてあるだろ?」
「人気がないから、随時募集ってことじゃないの?」
「それも考えたけど、ならいつ優勝できるんだよ」
「あぁ、そうか・・」
「優勝賞金300万とも書いてない」
「え?そうなの」
「うん」
「なんだそりゃ?」
「しらね〜ょ」
そんな事を話していると
勉の家の前についていた
「まぁ、そしたらまた明日、学校でな」
「おぅ、したっけ」
勉が家の中に入ると
家の中からは、楽しそうな声が聞こえてくる
毎回ではないが、妬ましくも思う
勉の家から、少し歩くと
周りから見れば立派な豪邸だが
明かりが一つも付いていない、我が家がある
玄関を開けても、誰もお帰りとも言ってはくれない
「ただいま・・」
自分の声が玄関でむなしく木霊する
居間には、巨大なテレビと
誰も座らないでかいソファー
電話は赤い色が点滅していて
毎回一件の留守電が入ってる
そして毎回、聞かないで消去する
消去し終わると、二階に上がり自分の部屋に向かう
電気をつけベットに横たわる
いつもは、そのまま寝るのだが
たまに、違う事がある
今回はその違う事が起きた
カン、カン、カン
誰かが、部屋の窓ガラスに小石を投げてきている
窓を覗くと、向いの家の二階から
中村 洋子という言わば幼馴染と言う奴が、
窓をはさんでいるのに、聞こえる声で
「起きろーこのやろー」
と叫んでいる。嫌々ながら、窓を開ける
「なんですか?こんな夜中に
お向かいの中村さん」
「おぃ、幼馴染の中村さんだろ
それにまだ、11時だ」
「何の用だよ。洋子」
「あのさ、数学の宿題なんだけどさ」
「はぁ?やってるわけないだろ」
「誰が、あんたに頼むか
勉君に聞いてみてくれない?
最後の問題わかった?って」
「最後の問題?見せてみろ俺が解いてやる」
「自分の教科書見れ」
「自分の教科書は学校にある」
「まったく、これだから・・」
「いいだろ忘れ物は一回もしたことはないぞ」
「威張るな
とにかく、勉君に聞いてみてよ」
「学年トップのお前が、わからないなら
あいつもわからないよ
それじゃ、お休み」
「え?ちょっと、もぅ寝るの?」
「寝る子は育つ」
俺は、向こうで引き留めようとしている
洋子は無視して窓を閉め、カーテンをした
とりあえず、勉には一応聞いてみる
『わからん』と一言、帰ってきただけだった
それを、洋子に送ると
『知ってる(笑)』と来たので無視し、寝た
「だぁ〜、なまら疲れたわ」
「康太は、寝てただけだべ」
「そうだよ。それだけなのに
どうして教卓の前に、席移動なんだよ
人権侵害だ。それにお前らだって、たまに寝てるだろ」
「はぃ、はぃ、わかったわかった」
「次の授業何?」
「日本史だ」
「やった、説明書先生じゃん
また寝れる」
説明書と呼ばれる山岸先生とは、若いくせに
教科書を持って、ブツブツとお経を唱える先生だ
寝ていようが、何してようが怒られることはない
「それは、俺らのセリフだ
お前の場合、いつでも寝てるだろ」
そんなくだらない会話を周りの奴等としていると
俺らの輪に入ってるんだが、やけに浮かない顔をした
勉がいた
「勉、どうした?」
「ん?いや、何でもない」
「なんだよ、浮かない顔して」
「いや・・実はな」
「?」
「・・最後の問題が結局わからなかったんだ
頼む、誰か教えてくれ」
「止せ、しがみつくなっ!!
ガリ勉菌が移る」
学校では、チームの奴とは別につるんではいない
みんなも別々の奴等とつるんでる
まぁ、勉とは一緒だが
大次と裕大は別のグループだし
龍之介は、昔はいじめられていたが、
と言うか、いじめていたが、
チームに入り、俺達がいじめをしなくなると
他の奴等もしなくなり、昔は、いじめられ無視されていたが
今では、たまに会話するぐらいの立場になっていた
ただ、五十嵐は、常に一人だ
いつも窓辺の自分の席で、本を読んでいる。見た目に似合わないし
長身のくせに小さい本を読むから
より一層、本が小さく見える
それにどんな本を読んでるんだ?
茶色い紙のブックカバーをつけたまんまだから
タイトルすら見えない
え?そんなバラバラな奴等が、どうしてチームを作ったかって?
うん・・まぁ、それはまた今度
最後まで読んでいただきありがとうございます。
えぇまぁ、あらすじであんな事まで書いておきながら
まだそこに至っていません。ごめんなさい
ご意見、感想お待ちしています。
これからもよろしくお願いします。