夜の女王の娘2
愛にとって、自宅の下の階に当たる大きな部屋で、お泊まり会が始まった。
大きな部屋に布団が三つ敷かれ、そのうちの一つは、秘書用だった。
友達少ない愛にとっては、それなりに楽しかったが、秘書にとっては仕事という空気を発していた。
気が付いたら朝で、秘書が。
秘書「愛様、桜様を安全な場所へお連れします。愛様は、自分の部屋へお戻りください」
最上階のリビングに入ると、ちょうど自分の部屋に戻ろうとしていた妹の勇子がいた。
勇子は、帰ってきたのかと冷徹な態度で、自分の部屋に行った。
愛も、勇子のことなどどうでもいい。
それより、昨日のことこそ大きな問題だった。
もっとも、目の前の問題なのは、世話係兼家庭教師の「喜多」がくる日だった。
桜にとっての安全な場所とは、あのパン屋だった。
職人気質の店長は、「また汚れ仕事か」両手を挙げて途方にくれ、何故か副店長はケロっとしていた。
桜は、スタッフ用の休憩室に匿われた。
尾村「…」
ルイ「まだ中学生なんだ」
尾村「俺は、仕事戻る」
そして夜、第二社宅の最上階、エミに与えられている部屋。
第一社宅は、老朽化で取り壊し新築。
エミと、エミの一家は、第二社宅に移らされていた。
正直、少年の頃から独り暮らしのエミには、女子中学生との生活は苦手だった。
せめてもの救いは、桜が、見た限りではいい子だったことぐらいだ。




