妹との軋轢(あつれき)
愛編、始動します。
エミは、男子であることに甘んじていれば、経験することなかった痛みと苦しみで失神寸前までいった。
出産直後、愛と、勇子は、エミから離された。
その事に、悲しみはなかった。
全てから解放された。
それのみだった。
エミの脳は、男子なのか?
愛、満二歳。
その頃から、妹の勇子に買い与えたワンピースを欲しがるようになった。
しかも、勇子は、お気に入りだった筈のワンピースも、兄が勝手に着てしまったら、洗濯したとしても、汚いもののように着なくなった。
養育係が当惑しいると、CEOは、
CEO「愛には、構わないからピンク色の女の子の服を買い与えなさい。それから、勇子には、必ず、青系統の服にしなさい」
それ以来、愛と、勇子は、服のことで軋轢はなくなった。
唐突にパン屋のカフェ。
エミ「お待ちどうさま『ドレッシングパフェ』になります」
このスイーツ、店長は『悲しみの王女』にしようとしたが、エミがもう反対して、この名前になった。
話は戻る。
それでも、愛は、外出のときは、学校の制服男子用のみとされた。
そして、愛、18歳。
フランケン・シュタイン「シュタインズクリニックへようこそ、愛様」
ホテル
スタッフ「お客様、そちらは、女性のロッカーになります。」
愛「私、女子なんですけど、何なら、ここで裸になっても…」
スタッフ「失礼しました」
手術以降、ヘアピースを被ることを条件に、ピンク色の女の子の服を着て外へ出ることを許された。
今回は、学校の制服男子用。
ヘアピースを被れないからだ。
裸で入るプール。
愛を見て、何人かは、いやな顔をして、なかには、あわてて前を隠すこともあるが、フランケン・シュタインが、一応女子にした身体。
文句の言いようがなかった。
そんな光景を面白がって、左目をつぶって見ていた。
おばさんもいるけど、若い女も結構いるな。
若い頃は、いいからだをしていたのかもな。
愛「あれは、じいじの秘書と、看護婦。律儀に挨拶か」
愛は、二人に向き合って、頭をあげたときに、閉じたももの前に両手を重ねて会釈をして、二人の前から離れていった。
看護婦は、ロッカーへ。
看護婦「エミさん、部屋で、私とお話ししませんか?」
エミ「えっ、ええ」
ちょっと泳ぎ足りない気がしたが、泳ぎ疲れたのも事実なので部屋へ行った。
愛「じいじも、きてるんだよね」
秘書「愛様のお祖父様は、お疲れでお休みになられてます。5時になったら、愛様を部屋へお連れできますが?」
愛「お願い」
秘書は、ロッカーへ。
秘書「愛様は、まだプールに居ます。帰るなら今のうちに」
看護婦「わかりました」
部屋へ戻る。
エミ「秘書さん?」
看護婦「ええ、もう少しプールで泳ぐそうです。私たちは、帰りましょう」
エミ「そうだね」
エミと、看護婦は、ホテルをあとにした。
プールでは、秘書が、愛を見ていた。
愛のほうは、お気楽にリクライニングに寝ていた。
愛「ん?」
ロッカーの入口に。
愛は、ロッカーの入口の方へむかう。
秘書も、向かう。
女「大丈夫、皆同じだから」
愛「中坊(中学生)か」
愛は、右目を閉じ、茶色い瞳の左目を開いた。
痩せた女子中学生が、真っ裸にされても、まだ恥ずかしがっているようだ。
プールサイドまで引っ張り出されて観念したか、母親と歩き始めた。
それでも、左手であるかないかわからない胸を右手で局部を隠していた。
桜(女子中学生)「あっ。…えっ」
桜は、愛の局部を見つめる。
愛「あれぇ、そんなに私の珍しい? 自分は、しっかりかくしてるのに」
桜は、てをどける。
愛「これが、女子中学生のか? 勇子は見せてくれなかったからな」
秘書「あーいーさーま」
愛「秘書の秘所」
秘書「やめてください愛様。いくら女どうしになったからって、女の部分を見つめられたら恥ずかしいです」
愛「ごめんなさい」
愛は、再びリクライニングで横になる。
秘書が、隣のリクライニングに座る。
秘書「愛様、そろそろ5時になります」
そこに、桜が、まだ恥ずかしそうにしつつも、やってきた。
桜「あの、今日泊まるんですか?」
愛「じいじに言えば泊めてくれるかも?」
桜「私、お父さんは、本当のお父さんじゃないんです」
秘書「えっ」
いろいろ話を聞いてるうちに。
秘書「五時になりました。この子さえよければ、愛様のお祖父様の部屋で話の続きを」
桜「いいんですか?」
秘書「大丈夫だと思います」
愛 = eye という意味ではありません。
偶然です。