夜の女王の娘8 女優退場
時間は、退院後に戻って、桜は、元の生活に戻ります。
桜は、家に帰った。
戸籍上の父親は、かつての笑顔は消え失せたが、自分のしたことを悔いて、桜には、なにもしなかった…………………
学校には、急病で倒れて入院していたことにした。
元の生活に戻った。
だが、来栖路可の手術の代償は、説明を受けて、わかっていたつもりだったが、想像を超えたものだった。
担任「桜さんは、できる子のはずなんですが、まったくやる気がないように見えるんです。一度、婦人科の病院でみてもらった方がいいかもしれませんね」
桜は、家に帰れば、ベッドに寝転がりなにもしなくなった。
サクラママ「桜、またそんなことしてる。そんなことしていると、勉強遅れていくばかりだよ」
桜は、この原因がなにかわかっていた。
わかっていたからこそ、婦人科の診察を拒んできた。
無理やりつれていかれた。
婦人科医師「触診しますから」
既にパンツは脱いでいるので。
婦人科医師「なんの手術をしたんですか?」
桜、答えない。
婦人科医師「子宮の位置ですね」
婦人科お約束の拘束具を外す。
婦人科医師「直腸の中を触診します」
桜の中に、婦人科医師の指が入れられた。
婦人科医師「やはり子宮がない」
婦人科医師「しっかりと外科の技術を持った者に、子宮、卵巣、いわゆる赤ちゃん穴が切除され、ふさがれ、○○○○さえできない身体にされてます。娘さんの症状は『更年期障害』です」
次の日、桜が学校から帰ると、サクラママは、現金と、貴重品と、いくつかの着替えを持って家を出ていったあとだった。
桜の戸籍上の父親は、家裁に、「悪意の遺棄」で調停をおこし、認められ、離婚が成立した。
話しは、桜と、来栖路可の会話に戻る。
ルカ「救ってください てどういう意味かな?」
桜「私の身体から、子宮と、卵巣と、赤ちゃん穴を取ってください」
ルカ「更年期障害って知ってる」
桜「はい」
ルカ「普通は、老化現象でホルモンていうのが出るのが少なくなるの」
ルカ「あなたの場合、完全に無くなるの」
ルカ「しかも、あなたは、これから大人になろうとしてるの。大人の更年期とは違うの。猫だって、子猫の時には、不妊手術はしない方がいいと言われてるの」
桜「大人になってからでは、遅いんです。だって早い女の子は、中学生の内に初体験をすませてしまうんですよね?」
ルカ「早い女の子は、そんなもんだね」
桜「男の人を知れば、私は、夜の女になってしまう。夜の女になれば、母と同じか、もっとひどいことをしてしまう」
桜「仮に優しい男の人に結婚してもらったとしても、間違いなくその男の人の子供を産んだとしても、私は、いい母親には、なれないはずです」
ルカ「夜の女王の娘、夜の女リリムの宿命には、抗えないと?」
桜「はい」
夜の女王の娘
完
何故か、ここにくるまでがキツかった。
続編、新章は、新連載という形になります。
「女優退場」は、『銀英』からです。




