第八話 初魔法それから[修正版]
フィーリングで行くのは流石に気が引けたので
とっさにイータに尋ねてみた
「どうやって戦えばいいの!?」
「そんなのフィーリングよ!!」
えぇ…いまその考え捨てたばっかなのに
意外と脳筋か?
「あ、一つだけアドバイス、魔法は想像力よ!それが一番大事なこと!魔法の適正があればしっかり出るはずよ」
「わかった!、たぶん…(本当かなぁ)」
「もし適正がなくて、あるいはセンスがなかったら魔力があったとしても魔法は扱えないわ、そん時は頑張ってね!」
そんな結果になるのだけは嫌だな…とつくづく思った
「ケーティ、貴女なら大丈夫よ………、知らんけど」
「最後の一言余計だ!!!」
そうこうしてる間にもう目の前に獣のような人間のような得体のしれない怪物が迫ってきていた
腕にはドス黒い太いブレスレットがはめられている
オシャレにしては似合わなすぎだと思ってしまった
その時、ものすごい勢いで僕に向かって爪を立て飛んできた
「うわっ」
ギリギリで避けたが、何本か髪の毛がハラリと落ちた
「こっっわ、喧嘩なんて一回もしたことない人間が戦えるかよ!」
思わず叫んでしまった、が
相手は容赦なくまた雄叫びをあげながら飛んできた
ヤバい避けられない、そう悟った
ドスッ
鈍い音だ
「ぐっ……」
体が切り裂かれていないことは良かったが、もろにくらってしまった…これはかなり痛い…アザどころではないだろう
腹を抱えてうなだれた
「ケーティ大丈夫!?」
「きつ……い……です、けど、多分大丈夫です」
「良かった」
立ち上がろうとした時また敵は襲ってきた
「ケーティ危ない!」
キンッ
イータが手を前に出したとたん、透明の壁が現れた
防げたように思えたが、相手の勢いは止まらない
「持ち…こたえ…られ…ない…ダン…ガン…なんでしょ…?目覚めて…」
イータが苦しそうだ、それぐらい相手の攻撃力が高いのかもしれない
「ダンガンって知り合い?」
「昔……ちょっとね…アッ」
バリンッ
大きな窓が割れるようなデカイ音がした
「キャッ」
一瞬だった
ザシュッっと目の前でイータの体が鋭い爪でえぐられた
服は破け血が目の前に飛び散る
「イータ!!そんな!」
「ごめんなさい………、油断しちゃった………」
力なく倒れこむイータ
頭に血がのぼる感覚があった
「お前!ふざけるな」
この時もう腹の痛みは忘れていた
「僕が戦わないと、イータを守らないと」
敵は低く唸りながらこちらをうかがっている
一度冷静になれ落ち着け僕、魔法は想像力……
僕の適正は闇魔法……
闇…門の向こうで音がする
次元の扉から無数の手、それで相手を拘束する
何かが頭の中を走った感覚があった
「いける!!」
勢いよく手を前にだし、魔法を出すイメージをした、だが
「ダメだ出ない、こっちに来た!」
イータには目もくれず僕を襲ってくる
また敵は勢いよく爪を立て飛んできた、うまく避けられたが
オマケで飛んできた石まではきにしていなかった
ドスッ
「うぇ……」
またクリーンヒットだ、今度は頭に
「うぅ痛いな……魔法が出ない…技名でも言えばいいのかな…早くしないとイータが危ない」
敵がイータに対し興味を失っているのは不幸中の幸いだった
扉…トビラ…とびら…
「闇の下僕よ奴を拘束しろ」
「ディメンション-ゲート!!!」
その時
地面に目が現れそこから無数に手が伸び敵を拘束していった
「いける!」
技名を言うことで想像が言葉という形で具現化し、現実に現れる、それが左右したのだろうか、魔法は発動した
「そのまま引きずり込め!!」
だが、相手も必死だ
飲み込まれまいと必死でもがいている
敵が手を振りかざした
こちらに斬撃のようなものが飛んでくる
見極めることも出来ずに食らってしまった
「うぁぁぁぁぁ!!!」
近くあった湖に投げ出された
ドボンっと勢いよく水に入った
血が水ににじんでくのが見える
(ここで…終わるのかな…)
(まだ…こっちに来て…少ししか…たってないのになぁ……)
(イータごめん救えそうにない……)
意識が遠退く
(何でこの世界に来たのだろう)
(巻き込まれただけか…)
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狐の、あんたこんなもんじゃないでしょ?
あなた、私に言ったわよね
諦める性格じゃないって、でおしまいなわけ?
違うでしょ
踏ん張って、奴を見返してきなよ
ね!!ケーティ
(誰だ?なぜだかわからないが涙が溢れて止まらない、意識が………)
意識が完全に途切れた
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ケーティが湖から上がってきた
だが、その姿は先程のケーティではなく
真っ白の髪、真っ白の尻尾
身長も伸び体つきも大人っぽくなっている
新雪の様に真っ白で綺麗な姿
だが、耳はいつものネコ耳ではなく
狐のような耳になっている
この世のものとは思えないほど神々しくなっていた
「あなたね、私と、そこのエルフ……いえ……イータさんを傷つけたのは」
敵はまだ拘束の中にいた
「地獄におちなさい」
「ヘル-ゲート」
敵の後ろに地獄の門が現れた
門が開き、耳をつんざくような声が聞こえる
敵は足をもたれ、地面に叩き付けられ縛り上げられた
十字を逆さまにしたような形で縛られた
「さぁ、これでおしまい、さよならね、フフ」
美しくも恐ろしい笑顔を浮かべていた
今まさにトドメをさそうとした、その時、イータが目を覚ました
「これは…一体?」
イータは朦朧としながらも辺りを見回した
「あれは、だれ……はっ!!」
イータは
目をハッと開いた
「ダメ!!!殺してはダメ!!」
「ダンガンを殺さないで!!」
敵は地獄の門に縛り付けられた状態で意識はもはやない、今にも殺されそうだ
「やめて!!!!、お願い!!!!」
ケーティはボーッとしていた
「……………ん、イータ?」
だんだん意識がハッキリしてきた
それと同時に姿もいつものケーティに戻っていた
(まだここまでかな)
「声?」
「………うわっ、何この門、気持ちわっる、キモいキモいなんかうねうねしてるし…えーーーっと、解除?」
敵の拘束が解かれた
「イータ!大丈夫?」
イータに駆け寄ったが、イータはまた意識を失っていた
「どうしよ…」
敵のところへ戻る
「とりあえずこのブレスレットが悪い気が」
勢いよく引っ張ってみた
案外簡単に外れた
「うわっ」
勢い余ってスッ転ぶ
「イテテ、しまらないなー」
ブレスレットを外したとたん
目の前の敵の姿が、みるみる人間に戻っていく
この人がダンガン?