第二百二十五章 マリ、隠し子に協力依頼
マリと上空に舞い上がった紅葉は、「母ちゃんが交渉していたパイロットは、何故ハーケン特別隊の補欠隊員じゃないの?」と不思議そうでした。
マリは、「海坊主に対抗する秘密部隊は、ハーケン特別隊ともう一つある事を知っていますか?」ともう一つの秘密部隊の説明をして、そのパイロットである事を説明しました。
紅葉は納得できずに、「それじゃハーケン特別隊の補欠隊員は何なのよ。その為の補欠隊員じゃないの?そのパイロットでないと駄目な理由を説明してよ。そんな正体不明のパイロットとはチームを組めないわ。そのパイロットが着任すれば私は降りるわよ。」とマリに迫りました。
マリは紅葉に降りられると困るので、仕方なく隠し子の事を説明する事にしました。
マリは、「解ったわよ。説明するわよ。お父さんには内緒だけれども、あなたのお兄さんにあたる人です。お父さんにばれると厄介なので補欠隊員から外しました。」と隠し子の事を説明しました。
紅葉は驚いて、「えっ!嘘!母ちゃんもやるわね。浮気?所謂不倫の子って事?」と目を丸くして驚いていました。
マリは、「違うわよ。私は不倫なんてしないし、お父さんを裏切ってないわよ。それにお腹が大きくなるし、お父さんは医者よ。隠せないでしょう!お父さんと結婚する前に、アメリカ空軍アクロバット飛行チームのパイロットとの間にできた子供よ。」と説明しました。
紅葉は、「母ちゃんが未婚の母だったとは知らなかったわ。それじゃ、お父さんを騙して結婚したのか・・・立派な結婚詐欺ね。」と今までばれなかった事に納得していました。
マリは、「別に騙してないわよ。結婚詐欺だなんて、人聞きの悪い事を言わないでよ。第一、子供がいないだなんて一言も言ってないわよ。ただ初婚だって言っただけよ。それにお父さんがプロポーズして私は、只それを受けただけよ。」と都合悪そうでした。
紅葉は、「とか何とか言って、初婚だっていえば誰でも子供はいないと思うじゃん。ま、騙したというより誤魔化したって事かな。あっそうだ!テレビドラマのディレクターが今回の件、けりがついたら、“天国よりハーケン号現れる!”と題してドラマ化するって言っていたけれども、伝説の名パイロットは淫らな女だったという事にして、偶に“おもらし”するって言えば、おおうけして、大ヒットするのじゃない?いっひっひ~」とマリをからかいました。
マリは、「一寸待ってよ。これ内緒なのだから、そんなこと言ったらこうだぞ!」と急旋回しました。
紅葉は、「わっ!急に旋回しないでよ!頭打ったじゃないの!」と頭を押さえていました。
マリは、「ぼやっとしている方が悪いのよ、いつ敵が襲って来るのか解らないのだからね!」と笑っていました。
紅葉は、「解ったわよ。私が悪かったわよ。」とからかい過ぎたと反省していました。
マリは、「彼の事を説明したから、もう降りるだなんて言わないわよね。」と引きとめました。
紅葉は、「そのパイロットは私のお兄さんになる訳か。どんな人か解らないので、一度会って一緒に訓練して、その結果で決めるわ。」と慎重でした。
マリは、「私が打ち明けたのに降りるとでも言うの?」と不満そうでした。
紅葉は、「彼の操縦技術がどの程度か解らないので、何とも言えないわよ。ヘボパイロットだったら命が幾つあっても足りないわよ。」と返答しました。
マリは、「彼の操縦技術は私が保証するわ。少なくとも空中で合体できる操縦技術を持っているのは、私の知る限りでは彼しかいないのよ。」と操縦技術は大丈夫だと説得しました。
紅葉は、「空中で合体可能な事が採用の条件なの?」と確認しました。
マリは、「そうね。空中で合体できなければ、作戦会議もできないので、作戦行動が制限されます。空中で合体可能な事が第一の条件です。」と返答しました。
紅葉は、「操縦技術では彼しかいないのか。でも性格はどうなの?作戦会議中にお尻を触られると、落ち着いて作戦会議もできないわよ。」と操縦技術だけでは決められないと強調しました。
マリは、「素っ裸で出撃しようとしていた人が何言うのよ。兎に角、彼と私達は一緒にチームを組むしか、現段階では海坊主に対抗できないのよ。紅葉が彼とチームを組まなければ、海坊主に征服されて紅葉は殺されるわよ。彼とチームを組むか殺されるかどちらが良いの。」と詰め寄りました。
紅葉は、「何とか星人に助けて貰う方法もあるじゃないの。」と隠し子とチームを組みたくないようでした。
マリは、「人に頼っては駄目よ!ハーケン特別隊としての誇りを持ちなさい!」と怒りました。
紅葉も、「解ったわよ。彼とチームを組むわよ。」と海坊主に殺されるよりかは良いかと諦めました。
マリ達が訓練を終えて着陸すると、事務員から、アメリカ空軍アクロバット飛行チームから電話があったと伝言を受けました。
紅葉は、「いっひっひ~、遂に来たね。」とニヤニヤしていました。
マリは、「その件かどうか、解らないでしょう!」とメモを見ながら電話しました。
電話が終わると紅葉に、「決まったわよ。来月から、例のパイロット来るよ。提督に説得されたのだって。」と伝えました。
紅葉は、「やった~、父ちゃん来月から凄いパイロット来るよ。いっひっひ~、楽しみだね、母ちゃん。」とまたマリをからかいました。
新人パイロットが着任して飛行訓練を暫く見て、紅葉と同程度の操縦技術に紅葉は驚きました。
マリは、「私が手塩に掛けて指導したのよ。私の愛弟子ですから当たり前でしょう!」と操縦技術を疑われているようで不満そうでした。
紅葉は、「彼はアメリカに住んでいるのでしょう?いつの間に指導したのよ。」と不思議そうでした。
マリは、「私は、空軍の指導や戦地への出撃の為に、年に数回アメリカに行きましたが、その時に指導していたのよ。」と返答しました。
会議で、このパイロットには父親はいますが、母親が誰なのか解らない事が問題になりました。
事情を知っているマリは、「それは大丈夫です。母親の事は聞いていますので。」と問題ないと説明しました。
紅葉も、「私も聞いています。外部に漏らせない事情があったので。私達を信用して下さい。」とフォローしました。
最後に提督が、「私が身元を保証します。彼の両親ともよく知っています。二人とも信頼できる人物です。」とダメ押ししました。
紅葉はマリにだけ聞こえるように小さな声で、「母親は信頼できるのかな?今の結婚相手を誤魔化して結婚したのでしょう?現に今も、彼の事を知らないのでしょう?」とニヤニヤしながらからかいました。
マリは、「五月蝿いなあ。・・・矢っ張り紅葉に言うのじゃなかったわ。」と呟きました。
紅葉は、「もう聞いちゃったもんね~」と笑っていました。
ハーケン特別隊の責任者は、「確かに彼の操縦技術は、ずば抜けています。航空部隊の指揮官と提督がそういうのでしたら、信用しましょう。」と新人パイロットの採用が決まりました。
補欠隊員は、「何故私達の中から選ばないのですか?」と不満そうでした。
マリは、「あなた方は空中で飛行中に合体できますか?できなければ作戦会議ができない為に、作戦行動に支障が出ます。彼は空中で合体できる操縦技術を持っています。あなた方も彼の操縦技術を見たでしょう。シミュレーション装置でも合体には何の問題もなかったでしょう。ハーケン号を操縦したかったら、まずシミュレーション装置で合体できるようになりなさい。そうすれば私も考えます。」と返答しました。
紅葉が、「空中で合体できなければ、作戦行動に制限が出て、それが生死を分ける事も充分考えられます。第二次世界大戦の特攻隊じゃないので、死ぬ事を前提にした出撃はしないわ。」と付け加えました。
会議終了後、ハーケン特別隊の責任者は、一番若くて口が軽そうな紅葉に、マリや提督には内緒で新人パイロットの事を確認しました。
紅葉は、「私が言ったって事は内緒ですよ。それと父には内緒にして下さい。実は、あのパイロットは母の隠し子、すなわち私の兄にあたる人です。なんか父親は昔、提督の部下だったらしいですよ。」と説明しました。
ハーケン特別隊の責任者は、それを聞いて紅葉に、「解った。この事は私の胸にしまっておこう。」と納得していました。
その後、海坊主が何度か出現しましたが、その都度、ハーケン特別隊が対応して、ハーケン特別隊は再び、世界的なヒーローになりました。
しかし今回は、パイロットの氏名は以前発表されたので、女優の紅葉に事務所を通じて取材しようとしましたが、ハーケン特別隊については、”ドラマを見て下さい。”と取材拒否されました。
マリの主人の霧島外科医にもインタビューしようとしましたが、マスコミの中に海坊主が潜んでいる可能性もあった為に、警備陣に阻止されてインタビューできませんでした。
マリが以前住んでいた住宅街にもマスコミが取材に来て、佳子が親友だとマスコミが気付いて、佳子もマスコミからインタビューされていました。
さらに住宅街に保管されていた、マリが戦場で銃撃戦をしているDVDの事を知り、戦闘機による空中戦だけではなく、陸上での銃撃戦においても優秀な兵士である事を知りました。
次回投稿予定日は、11月6日です。