第二百二十三章 陽子、勉強会を開催する
全国大会から帰った秋山先生は、陽子達とチビッコ達の勉強会を開催していました。
陽子はチビッコ達に、生物の性について説明していました。チビッコ達は、「全ての生物は雄と雌に分かれるの?」と例外はあるのか疑問に感じていました。
陽子は、「二つとは限りません。二つ以上の性、例えば四つの性を持つ生物もいますし、もっと多くの性を持つ生物もいますが、必ず二つ以上の性があります。でないと、子孫ができませんので。」と説明していました。
チビッコは、「性が二つと四つとではどこが違うの?」と不思議そうでした。
陽子は、「異性とめぐり合う機会が増えるのよ。二つの場合、出会った相手が異性である確率は五十%でしょう?四つの場合は、七十五%になります。つまり性が多いほど繁殖力があるのよ。でも面白い生物として、雌雄同体というのがあります。雄でもあり、雌でもあり、相手に子供を産ませる事も可能ですが、相手の子供を産む事も可能です。この生物は何だと思いますか?ヒントは体の形を変えられます。」と生徒達に質問しました。
しかしこの時、陽子は、“ん?・・・この生物って、テレジア星人に似ているな。”と思いました。
チビッコ達は、生物図鑑などを見ながら、色々と考えましたが解らず、「先生、そんな生物、本当にいるの?」と陽子を疑っている様子でした。
陽子は、「もう降参ですか?いるわよ。答えは“かたつむり“です。でんでんむしの歌は、知っているわよね?歌からも体の形が変わる事が解りますよね。」と返答しました。
そして、陽子は、”そう言えば、母も私も渚も、塩味が苦手で、海で泳げないのは、テレジア星人の遺伝?まさかテレジア星人の弱点は塩?“と感じました。
あるチビッコが、「そうか人間は男性と女性に分かれるから、全てそうだと思っていました。」と図鑑を見て納得していました。
陽子は、「それは、あなたがそうだと思い込んでいるだけです。そこで、面白い課題をだします。みんな緑虫は動物か植物かを図鑑で調べて下さい。」と課題を出しました。
チビッコ達は夫々、自分が持って来た図鑑で「虫だから、動物ではないの?」と他のチビッコ達と相談しながら調べていました。
チビッコ達は、図鑑により、動物だったり、植物だったり説明が異なっていた為に驚いて、「先生!これはどういう事なの?」と不思議そうでした。
陽子は、「植物には葉緑素があり、光合成をする事は知っているわよね?植物と記述している図鑑は、光合成をするかどうかで、動物か植物かを区別しています。しかし、虫というだけあって動きます。動物と記述している図鑑は、自立動作つまり自分で動くかどうかで動物か植物かを区別しています。緑虫は光合成を行う動く生物です。」と説明しました。
そして、陽子は、”テレジア星人も動く植物?テレジア星人はかたつむりと緑虫との合体生物?そういえば、物体を確認するのは意思波の反射?こうもりは超音波ですが、似ている。テレジア星人はかたつむりと緑虫とこうもりの合体生物?“と思いました。
あるチビッコが、一円玉が一杯入っている鍋ぐらいの大きさの入れ物を見付けて、数え出したので陽子は、「僕、それ全部数えるつもり?時間が掛かるわよ。」と指摘しました。
チビッコは、「ここに、いくらぐらいあるのかな?と思い、数え出しましたが、時間が掛かりそうだから辞めようかな。」と諦めた様子でした。
陽子は、「正確な数ではなく大体の数で良ければ、もっと早く数える方法はあるわよ。」と教えました。
そのチビッコは、「どうするの?そんな数え方はないよ。」と不思議そうでした。
陽子は、「一寸工夫すれば良いのよ。その横に小さなコップがあるでしょう。そのコップ一杯に一円玉を入れて数えるのよ。そのあとで、その大きな入れ物の中にある一円玉は、コップ何倍分あるのかを調べて、掛け算すれば大体の数が出るでしょう。」と教えました。
チビッコは、「あっ、そうか、そうだよね。」と納得していました。
陽子は、「皆も良く覚えておいてね。一寸工夫をすれば、不可能も可能になる事があるのよ。」と説明しました。
チビッコが、「先生、それは一寸オーバーじゃないですか?」と笑っていました。
陽子は、「決してオーバーではないわよ。例えば、戦国時代、武田の騎馬隊は天下無敵だった事は知っていますか?丁度その頃、種子島に鉄砲が入って来ました。当時の鉄砲は火縄銃で、一発撃てば、火薬を詰めて、玉を込めて、一発撃つという事を繰り返しました。要は連続で撃てませんでした。一発撃ってから、暫くは撃てませんので、その間に刀で切られるので、何処かに隠れて闇討ちする事はできても、戦場では役に立たないと、当時の武将は全員考えていました。しかしその鉄砲を工夫した武将が一人いました。それは誰か知っていますか?」と質問しました。
チビッコの一人が、「確か鉄砲は織田信長が使ったと聞きましたが、何か工夫したのですか?何故他の武将は使わなかったのか解らなかったのですが・・・」と不思議そうでした。
陽子は、「そうね、武将は正解です。工夫は、織田信長は連続で撃てなかった為に、鉄砲隊を三列に並べて、最初の一列が撃ったあと、二列目と三列目が撃っている間に、火薬や玉を込める事により、連続発射を可能にして、天下無敵の武田の騎馬隊を破りました。その他、船の闘いでも、当時は全て木製で、やっと鉄砲が種子島に伝わった頃でしたので、大砲はありませんでした。わら等に、油を染み込ませて、火を着けて、ハンマー投げの要領で敵の船に投げ込み燃やす方法が主流でしたが、少しくらいの金属でしたら沈まないと判断した武将は船に薄い鉄板を張り、敵を倒すなど、一寸した工夫で勝敗を左右する事もありました。その武将も織田信長です。ですから、皆さんの日常生活も、一寸した工夫で大きく変わるかも知れませんよ。」と説明しました。
このように、勉強会は直接学校の授業に関係なく、皆が興味のある事などを質問形式で説明して行きました。
教科書の内容を質問しても良いし、質問せずに学校の宿題をして、解らない所を質問しても良く、何でも良い事にしました。
教科書を説明すると、学年により、習っている事が異なる為に、皆を同時に教える事ができませんので、陽子や渚や秋山先生が時間のとれる時だけこのような方法により無料で教えて、開催日時は柔道の練習の時に伝えていました。
親には、このような勉強会である事を伝えて、「学校の成績を上げたり、受験勉強したりする勉強会ではなく、色んな事に興味を持ってもらう勉強会です。」と説明しました。
ただ、子供達は飛行機にも興味があり、その時には、マリに応援を頼んでいました。
ある日、マリが雲について説明した後で、「“百聞は一見にしかず“です。一度飛行機で雲の中に入ってみようか?今度の土曜日の午前十時に、ここに弁当持参で集まれますか?集まった人だけ飛行機で雲の中に、ご招待します。」と伝えました。
当日数名が集まり、一見やくざには見えない組員に運転させ、ベンツ数台で空港まで移動して、マリの自家用機でマリが雲の説明をしながら、雲の中に入ったり、近くを飛んだりしました。
ある日、秋山先生が、「チビッコ柔道のメンバーに海外遠征の話がありますが、どうしますか?両親とよく相談して下さい。」とチビッコ達に連絡しました。
チビッコ達が帰った後に陽子は、「秋山先生、海外遠征は、のんびりと行く海外旅行とは異なり、ハードスケジュールのようですが大丈夫ですか?代わりに私が行きましょうか?」と秋山先生を心配していました。
秋山先生は色々と考えて、海外遠征は陽子に任せる事にしました。
陽子は秋山先生を組員に任せて、海外でチビッコ柔道の交流後、帰路に着きました。
ハードスケジュールでしたので、帰りはのんびりと船で帰る事にしましたが、その船が海坊主の残党に狙われました。
太平洋の真ん中で船を攻撃されて、沈没は時間の問題になり、その様子を海坊主がテレビ電波を通じて全世界に放送して、「降伏しないと船の乗客は死ぬ。そして今後も同じ事を繰り返す。救助隊は攻撃して救助不可能にする。タイムリミットは船が沈むまでだ。今迄は残党だと思っていたようだが、それが大きな間違いだ。お前らがボスだと思って逮捕したのは雇われボスで、本物のボスは我々のボスだ。もう諦めろ。」と脅迫しました。
陽子は、救助隊は攻撃するが、私達を攻撃するとは言ってないし、パニック状態で避難している様子を撮影したいようなので、攻撃されないと判断して、避難する事にしました。
チビッコ柔道のメンバーや他の乗客達が我先と救命ボートに乗り込んで行くなか、チビッコ柔道の子ども一人が、「船が沈む!」と焦って、船の上へ登って行った事が判明して、陽子が捜しに行きました。
陽子は船の中を必死で子どもを捜しました。そして、やっと子どもを見付けましたが、もう船は沈没寸前で、降りて行く時間がありませんでしたので、咄嗟に、上から子どもを投げて下にいる組員が受け止めました。
陽子は組員に、「あなた方は私より若いので、生き延びて。私はもう間に合わないので、沈没の渦に巻き込まれないように、早く逃げて。さようなら。皆、元気で・・・・」と死を覚悟しました。
今回、テレジア星人は、海坊主の基地が宇宙にもある可能性があったので、アヤメもコスモスも油断して陽子達のそばを離れて、宇宙へ出ていました。
テレジア星人の弱点が塩でしたら、私も海水などの塩に弱いのでは?と直感しました。
陽子は、“私の人生もこれで終わりか。”と諦めて、今回海外に行くので、携帯は衛星を使用するタイプに切り替えた為に、繋がるかな?と期待して、修に電話しました。
“ただいま、電話に出る事ができません。”とメッセージが流れた為に陽子は、「修ちゃん、先に行きます。御免ね。天国で待っています。こんなやくざ者の私を愛してくれてありがとう。佳子さんにも宜しく伝えてね。」と伝言を残して、一筋の涙が頬を伝いました。
次回投稿予定日は、10月27日です。