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第二百十九章 もう一つの秘密部隊

マリと広美が休みの日に、由美子と太郎も交えて喫茶店で会いました。

広美が、「お母さん、マリさんと私は従兄弟同士だと先日聞きましたが、今日ここで会うという事は、母ちゃんがマリさんのお父様と兄弟だったの?」と確認しました。

由美子は笑いながら、「違うわよ、私の姉が太郎さんと結婚したのよ。姉は交通事故で早死にしましたけれども、太郎さんも、その事故で重症を負い、先日まで植物状態だったのよ。先日太郎さんから電話を頂いて、覚醒したと本人から直接聞きました。姉の葬式の時は都合で行けずに申し訳御座いませんでした。」と謝りました。

広美が、「母ちゃん、自分の姉の葬式にも行けない都合なんてあるの?」とどんな都合なのか不思議そうでした。

太郎が、「あの時、由美子さんは入院中だと聞きました。」と確認しました。

広美が、「母ちゃんでも入院する事もあるのね。」と笑っていました。

由美子は、「そりゃ、私も人間だから体調を崩す事ぐらいはあるわよ。体調と言えば、太郎さん、長い間植物状態だったと聞きましたが、お体のほうはもう良いのですか?」と入院の事は、話したくないようでした。

太郎は、「アメリカや日本の脳外科医でも、私の覚醒は無理だったのですが、世界的名医の内田渚先生に助けて頂きました。あとは、体力の続く限り大丈夫だと言われました。また航空機に乗るのも良いな。俺の人生はこれからだ。」と嬉しそうでした。

マリは、「それは、他のお年寄りと同じで、もう歳なので、あまり無理しないでね。渚ちゃんの説明によれば、いつ死んでも可笑しくない歳だから。」と父親の事を心配していました。

太郎は、「何を言っているのだ。先日ハーケン号を操縦してみろと俺に操縦桿を握らせたではないか。今更それはないよ。」と怒っていました。

マリは、「何も操縦するなとは言ってないでしょう。無理せずに程々にね。」と説得しました。

広美は、「世界的名医の事を渚ちゃんだなんて気安く呼んで、知り合いなの?」と驚いていました。

マリは、「私も父も、渚ちゃんの母親の所にやっかいになっています。渚ちゃんの母親は、梅沢陽子さんで、世界で最初にエスベック病の手術に成功した世界的名医ですよ。旧姓東城と言えば解りますか?今でも現役で芹沢外科医院の院長を務めています。世界でエスベック病の手術ができるのは、芹沢外科医院と大日本医療大学の第一外科だけです。要は陽子さんと渚ちゃんにしかエスベック病の手術はできないのよ。先日父の診察をした渚ちゃんが、父をハーケン号に乗せれば覚醒する可能性があると聞いて、当日は陽子先生に付き添って頂いてハーケン号に父を乗せて、陽子先生の指示に従い、私と紅葉が交互にハーケン号の操縦をして、二人で色々と話し掛けると覚醒しました。その時に少しだけ父にハーケン号を操縦させました。それから父は徐々に快復して、退院するまでに快復しました。」と説明しました。

太郎が、「しかし解らない事があるんだ。何故か次郎は恐がって私達の住んでいる所へは来ないし、陽子先生の近くには柄の悪いのがいて、陽子先生の事を組長と呼んでいるんだ。」と不思議そうでした。

由美子は、「陽子先生の実家は土建業でもしているの?何処に住んでいるの?」と陽子の事を知ろうとしていました。

マリはまずいと慌てて、「何処でもいいじゃないの。所で桜井さん、私が何故あの航空学校を紹介したのか解る?」と話題を変えました。

由美子が、「それこそどうでもいいじゃないの。」と都合悪そうでした。

広美は、「母ちゃん、あの航空学校だと何か都合の悪い事でもあるの?」と不思議そうでした。

由美子は、「別に都合の悪い事なんてないわよ。」と何かを隠そうとしている様子でした。

マリが、「都合が悪くないのだったら、良いわよね。桜井さん、あなたの通っていた航空学校の卒業生で、最優秀の成績で卒業したパイロットの事を聞いた事はない?」とヒントを与えました。

広美は、「ええ、聞いた事あるわよ。他の生徒とは全くレベルが違い、卒業する頃には超一流パイロットと同等レベルの操縦技術だったらしいですが、女性だったらしいです。当時、女性パイロットはまだ認められていなかった為に、その後パイロットの仕事をする事もなく、その後の行方も解らないと聞きました。」と何故ここでその話をするのか理解できない様子でした。

マリは、「そのパイロットの事を調べてみると何故私があの航空学校を紹介したのか解りますよ。そのパイロットは、あなたの近くにいる人です。」と説明しました。

広美は、マリの言った事が気になり、会社が休みの日に航空学校に行って、教官に頼んで当時の資料を借りて調べると、そのパイロットは、桜井由美子と記述されていて、顔写真を見ると母に間違いなかった為に絶句しました。

その様子を見て航空学校の教官は、「桜井くん、履歴書を見ると、君の母親は由美子になっていたので、当時から気になっていましたが、最優秀卒業生の桜井由美子さんは年齢からして、君の母親かね?」と以前から気になっていたようでした。

広美は、「私も先日知人から聞いて、今確認して母に間違いなかったので私も驚いています。」と返答しました。

教官は、「そうか、君の筋が良かったのはお母様の遺伝子なのですか。」と納得していました。

広美は、「それもありますが、私は霧島マリさんの従兄弟でもあります。母の姉の娘さんがマリさんです。これも先日知り、驚いています。」と説明しました。

教官は、「そういう事か。先日霧島マリさんが訪ねて来て、桜井由美子さんの資料を調べていました。通常は個人情報になるので開示できないのですが、ハーケン特別隊として海坊主の捜査をしているのかと心配して開示しましたが、その理由が解りました。」と納得して安心していました。

翌日会社に出勤した桜井は、マリに確認すると、「父から桜井さんのお母様がパイロットのライセンスを持っていると聞いたので、当時の資料を調べると、あなたのお母さんは腕の良いパイロットだったようですね。」と返答しました。

広美は、「それじゃ、今も母は航空機を操縦できるのですか?」と確認しました。

マリは、「先日由美子さんに確認すると、長年操縦桿は握っていないし、年齢的な事から、今は操縦する自信はないそうです。由美子さんの操縦技術からすると、長年ブランクがあっても、暫く操縦すれば、私の父のように操縦可能だと思いますが、本人が嫌がっているので無理にとは言えないわね。親子の絆は大切なので、次回から航空機の事で解らない事は、お母様に聞けばどうですか?航空機の事を色々と話していると、当時の事を思い出して、もう一度操縦桿を握る気になるかもしれません。できれば以前のように同居しないとお母様も一人では淋しいと思いますよ。最愛の夫を飛行機事故でなくして、あなたまでなくしたくなかったので、桜井さんがパイロットになる事を頑なに反対していましたが、最終的にはパイロットになる事を許してくれたのだから、桜井さんもお母様の事を、そろそろ許してあげればどうですか?」と助言しました。

広美は、「一緒に住んでいれば、淋しいのはこっちよ。母ちゃんは海外出張が多く殆ど家にいないんだから。」と不満そうでした。

マリは、「それは昔の事でしょう?その歳でもう海外出張もそんなに多くないのではないですか?しかし由美子さんがそんなに海外出張が多かったとは知らなかったわ。バリバリのキャリアウーマンね。」と何の仕事をしていたのか興味があるようでした。

翌日、上官から連絡があり、「マリ、アメリカ軍には秘密部隊が幾つかありますが、海坊主に対応する秘密部隊は二部隊ある事を知っているか?」とそろそろマリにも説明しておこうと思いました。

マリは、「いいえ、知りませんでした。ハーケン特別隊以外にも秘密部隊があるのですか?それは私の事を信用していないのですか?」と不機嫌そうでした。

上官は、「そうじゃなく、その部隊はハーケン特別隊が結成される前というより、マリがアクロバット飛行チームに来る以前からあり、海坊主と戦っていました。ハーケン特別隊結成時に、統合するかどうか検討されました。マリ達も人間なので、体調不良になる事もあるだろうし、ハーケン号も機械なので、故障する事もあるだろう。そのような時に備えて、ハーケン特別隊が出撃できない時は、その秘密部隊で対応する事になり、その部隊はそのまま活動を続けました。任務は、機械獣以外の海坊主の対応です。マリ達と違い名前は未発表なので護衛はなく、航空部隊のみです。」と説明しました。

マリは、「そうですか。でも、何故今頃になって、その事を私に伝えるのですか?」と不思議そうでした。

上官は、「お前は、相変わらず鈍いな。最近腕の良いパイロットに会ってないか?」とまだ解らないのかと呆れていました。

マリは、「いいえ、会っていませんよ。」と返答しました。

上官は、「桜井由美子さんに会ったのではないか?」と指摘しました。

マリは、「ええ、会いましたが、由美子さんが腕の良いパイロットだったのは昔の事でしょう?航空学校卒業後操縦桿は握っていないと言っていましたよ。」と何故上官が由美子さんの事を知っているのか不思議そうでした。

上官は、「彼女は今でも腕の良いパイロットで、航空学校卒業直後、アメリカ空軍にスカウトされて秘密部隊のパイロットになりました。女性なので、パイロットだとは誰も気付かないので、秘密部隊のパイロットに最適でした。海坊主との決戦は、由美子さんが最前線に立ち、私達の期待に答えてくれました。海坊主は、私達が生まれる以前からありましたが、その時代のヒーローとも言える人が対応して来ました。機械獣が出現するまでは、由美子さんで、機械獣出現からは、マリお前が中心になっている。」と説明しました。


次回投稿予定日は、10月12日です。

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