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第二百三十一章 辻本、脱走し陽子を襲う

ハーケン特別隊は、可能な限りテレジア星人の手を借りずに、海坊主と戦おうとしていました。

海坊主の幹部が逃亡していた為に、テレジア星人の科学技術資料を現在も解析している可能性があり、直ぐに辞めさせないと、更に強力な武器を作成する可能性がありました。

海坊主の大ボスと幹部を世界各国に氏名手配して、捜していましたが、発見できませんでした。

今回、ハーケン特別隊は、原点に戻るというコンセプトで、海坊主の基地を徹底的に再調査する事になりました。

その第一弾として、最小人数で各基地を調査して、再調査の必要があるかを調べる事になりました。

陸・海のそれぞれの部隊から一名ずつ選抜して、航空部隊の二名の計四名で今迄に発見された海坊主の基地を陸・海・空の夫々の立場から調査する事になりました。

海坊主の基地を調査して、再調査が必要な場合や、基地に複数人数、海坊主のメンバーがいる場合ば、闘わずに、その位置を本部に連絡して、その基地は専門家や戦闘部隊に任せて次の基地へ向かうというものでした。

ハーケン特別隊航空部隊指揮官である霧島マリは、隠し子と任務に就きました。

皆には、「簡単な任務ですが、時間は掛かります。ハーケン特別隊以外の仕事を持ってない二人で対応可能です。」と説明して、沖縄空軍基地に発進して行きました。

沖縄空軍基地でハーケン号に、陸上部隊員と海上部隊員を一名ずつ搭乗させて、出撃して行きました。

ひょっとしたら海坊主が、テレジア星人の科学力でさらに強敵になっている可能性もあった為に、女優でマリの娘でもある、航空部隊員の紅葉を外しました。

陽子が、「母の菊枝が、宇宙空間での特訓を終えて、やっと戻って来たかと思えば、今度はマリさんが長期間不在になったわね。平和になり、全員揃うのはいつになるのかしら。」と呟きました。

ある日、警察から陽子に緊急連絡がありました。

以前陽子が新婚の頃に人命救助して、辻本が殺人犯である事が証明されて、死刑判決を受けましたが、刑の執行が決まり、刑が執行される前日に刑務所を脱走したとの事でした。

辻本は、刑務所の中で陽子に復讐すると、務所仲間に告げていた為に、刑務官が警察にその事を連絡しました。

陽子は、「アヤメさん達が帰ってから急に忙しくなってきたわね。」と辻本襲撃に対応した組員配置を検討していました。

渚が、「警察が丸東組の組長を護衛するの?」と疑問に感じました。

陽子は、「そんな事、ある筈がないわよ。刑事には裏口を教えておいたので、もう直ぐ刑事が来るわ。この裏口は勉強会の子供達もよく出入りしているので、刑事が来ても問題ないでしょう。」と渚の疑問に答えました。

警察は陽子に、「辻本は梅沢さんに復讐する可能性がありますので、刑事が身辺警護しますが、梅沢さんも身辺には充分注意して下さい。」と忠告しました。

陽子は、「もう、四十年程昔の事ですよ。その間、辻本は私に復讐する事だけを考えて刑務所に服役していたのですか?他に考える事がないなんて可哀想な人ね。」と呆れていました。

刑事は、「確かにそうですね。辻本は根に持つタイプで、腹の虫が収まらず、死刑執行決定が一つの引き金になったようですね。」と説明しました。

陽子は、「死刑判決が下されてから、刑の執行までそんなに時間がかかるのですか?」と不思議そうでした。

刑事は、「懲役刑などでしたら直ぐに執行されますが、死刑だけは慎重ですね。」と返答しました。

辻本は盗難車で陽子を轢き殺そうとしましたが、身辺警護していた刑事が陽子を庇って、覆面パトカーで追跡しました。

辻本は全速力で逃亡した為に、事故を起こして、一般人が犠牲者になる可能性があると判断した刑事は追跡を断念して、車両ナンバーと走り去った方向を無線で連絡しました。

直に非常線が張られましたが、辻本は途中で車を乗り捨てて、バイクを盗難して最寄りの駅まで行き、電車で逃亡した為に非常線にも引っ掛からず、発見できませんでした。

乗り捨てられた車両を警ら中の警察官が発見して、警察が車両を調べると、辻本の指紋が発見された為に、辻本の犯行に間違いなく、陽子の身辺警護は続けられました。

警察はホテルなどで聞き込みをしましたが、潜伏先は不明でした。

辻本は、陽子の周囲には刑事が張り込んでいた為に、襲うのは困難だと思いましたが、どうしても陽子に復讐したい辻本は、陽子の家族を狙おうとして家族構成を調べると、娘がいる事に気付きました。

辻本は、“娘の渚を殺して、思い知らせてやる!“と暫く渚を尾行して、襲う日を決めようとしていました。

陽子は念の為に、家族に辻本の写真を見せていた為に、渚は透視力で辻本が周辺をうろついている事は解っていました。

陽子にその事を告げて、「辻本をからかっても良いでしょう?そのつもりで、毎日、人気の少ない道を通っています。いつ襲ってくるのか楽しみにしていますが、まだ襲って来ません。母ちゃんがくれば、刑事も来るので来ないでよ。」と楽しみにしていました。

陽子は、「解ったわよ。私は行きませんが、私の時のように車で襲ってくるかもしれませんよ。」と助言しました。

渚は、「大丈夫、母ちゃんが車で襲われたので、車では襲いにくい階段のある道を通っているのでね。」と説明しました。

陽子は、「解りました。但し、渚の護衛の組員を増員させます。辻本に気付かれないように護衛するように伝えておきます。」と伝えました。

渚は、「解ったわよ。でも辻本には本当に気付かれないでね。私の楽しみを奪わないでよ!」と不満でしたが了承しました。

その三日後、渚は陽子に意思波で、「辻本が鉄パイプ持っているよ。どうやら、今から襲ってくるみたいよ。組員には手出しさせないように指示しておいてよ。この時を楽しみにしていたのだからね。」と連絡しました。

陽子に、組員からも携帯に連絡があり、「辻本が鉄パイプを持っています。押さえますか?」と確認しました。

陽子は、「今、渚から連絡があり、辻本が鉄パイプを持っている事は知っています。“手出しするな!“と言っていたので、暫く様子を見ていて下さい。」と指示しました。

辻本は、鉄パイプで渚を襲いましたが、渚は辻本を一本背負いで投げて、「私がオリンピック柔道の金メダリストだってことを知っていますか?それに襲う時は声を出せば、ばれて反撃されますよ。辻本さん。」と笑顔で忠告しました。

辻本は、「五月蝿い!このガキ!死ね!」と鉄パイプで襲って来ましたが、渚の空手チョップで鉄パイプはくの字に折れ曲がりました。

辻本が曲がった鉄パイプを見ながら、「そんな馬鹿な!」と驚いていました。

渚は、「あっ、そうそう言い忘れていましたが、私は柔道以外に空手もできるのよ。さあ、どうしますか?何処からでも掛かって来なさい。」と手招きしました。

辻本は、「わーっ」と渚に体当たりしましたが、テレジア星人の血を引く渚の体重相手ではどうにもならず、簡単に突き飛ばされて、尻餅を着きました。

辻本は、「お前、キャシャな体型をしているのに、なんて馬鹿力なのだ!」と驚いていました。

渚は、「体型と力とは関係ないわよ。さあ、次はどうするの?あれ、もう終わり?あなたが私を尾行していたので、あなたが襲って来る時を楽しみに、態々人気の少ない道を毎日通って楽しみにしていたのに。ホラ!もっと掛かって来なさいよ。」と再度手招きしました。

辻本は、「お前は俺が狙っていた事を知っていたのか!」と周りを確認していました。

渚は、「心配しなくても警察はいないわよ。いるのは組員だけよ。」と伝えました。

辻本は、「組員?それはなんだ!脅しのつもりか!誰もいないじゃないか!」と渚を睨みました。

渚は、「なんであんたみたいな腰抜けを脅さなければならないのよ!顔を洗って出直しなさいよ!」と辻本に迫りました。

辻本は、「覚えていろ!」と逃げようとしていました。

渚は、「こんな楽しい事は忘れないわよ。」とからかいました。

辻本は、「馬鹿にしやがって!」と逃げました。

渚は、「あれっ?逃げちゃった。本当に顔を洗ってから出直すつもりかしら。詰まらないな。」と諦めました。

渚が帰宅して、話を聞いた陽子は、「少ししか楽しめなくて残念でしたね。しかし、辻本も情けないわね。一寸投げられたり、突き飛ばされたりしたくらいで逃げ出すなんて。ひょっとして、渚がオリンピック柔道の金メダリストだなんて言うからじゃないの?黙っていればもう少し楽しめたかもしれないのにね。渚が顔を洗って出直せだなんて言うから、顔を洗いに行ったのじゃないの?」と笑っていました。

渚は、「辻本は武器を持っていて、私は何も持ってなかったのよ。刑務所まで脱走した辻本が、まさかそんな一言で逃げ出すような腰抜けだなんて思わなかったのよ。」と残念そうでした。

辻本は、渚が柔道オリンピックの金メダリストで闇討ちしても全く敵わなかった為に、今度は母親を狙おうとして、菊枝を尾行して行動パターンから襲う時間と場所を決めようと考えていました。


次回投稿予定日は、12月1日です。

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