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第二百三十章 菊子の最後

その後、直ぐにフジコが来たので陽子は驚いて、何故、地球にいるのかを確認しました。

フジコは、「アヤメ達は帰ったの?相変わらず何も解っていないのだから困った人ね。」と海坊主の事しか見てないのだからと思っていました。

陽子は嫌な予感がして、「ひょっとして、海坊主が攻めてくる兆候でもあったの?」と不安そうに確認しました。

フジコは、「そんなに心配しなくても、海坊主の本拠地は壊滅したばかりだから、直ぐには攻めて来ないわよ。いくら海坊主でも体制を整える時間が必要でしょう。海坊主とは全然違うわ。陽子さんはテレジア星人の事をあまりよく理解していないと思うので解らないかもしれませんが、女神ちゃんまで気付かないとは情けないわね。先日女神ちゃんから聞きましたが、悪徳詐欺師と間違えられて、菊子ちゃんと取っ組み合いをして互角の勝負だったのでしょう?菊子ちゃんは、陽子さんのお婆さんにあたる人ですので、陽子さんより、四倍テレジア星人の血が濃いのよ。普通でしたら、菊子ちゃんは片手で簡単に陽子さんを撃退可能ですが、それが互角の勝負だったのは、陽子さんが強くなっているのか、菊子ちゃんが弱くなっているかのどちらかなのよ。いくら陽子さんがやくざの世界に生きて格闘技の練習を猛獣としていても、菊子ちゃんには適わない筈です。菊子ちゃんが弱くなっている可能性が高いのよ。」と説明しました。

陽子は、「それはどういう事なのですか?菊子さんは病気なのですか?」と心配していました。

フジコは、「テレジア星人は病気にならないのよ。地球人の血が半分混ざっている為に、病気にならないとは言わないけれども、その確率は低いと思います。と考えると、菊子ちゃんは相当弱っています。恐らく菊枝さんを出産した時に誰にも相談せずに、自分一人で処置したので、その時に相当、体に負担がかかったのだと思います。」と推理しました。

陽子は、”マーガレットさんも病気になったので、菊子さんも治る病気であって欲しい。”と願って、「病気かも知れないのよね。」と確認しました。

フジコは、「残念ですが、先日一寸心配になり、菊子ちゃんの様子を見に行きました。菊子ちゃんはもう長くないです。菊子ちゃんには地球人の血も流れている為に、近い日に私と一緒に菊子ちゃんの所へ行って頂けませんか?」と説明しました。

陽子は驚いて、アヤメに連絡しようとしました。

フジコは、「もう少しはっきりしてからの方が良いと思いますよ。今、知らせると、あの馬鹿大騒ぎして収集がつかなくなるのでね。その為に、陽子さんの力をお借りしたいと思っています。」と陽子を止めました。

数日後、フジコと陽子が菊子を訪ねると菊子は驚いて、「二人お揃いでどうしたの?」と不思議そうでした。

フジコは、「海坊主との争いも一段落したので、一寸様子を見に来ました。」と挨拶しました。

菊子は、「そう言えば、海坊主が完全に壊滅したとニュースが流れていましたが、その関係ですか?」と聞きました。

陽子は、「そうね。菊子さんも知っていると思いますが、ハーケン号の亡霊の正体は私達です。」と耳打ちしました。

菊子は、「そうか。だいだいの見当はついていたけれども、だから地球の裏側まで数秒で行けたのね。」と納得していました。

フジコは、「そうですけれども、母親の女神ちゃんが顔を出さないとはね。偶には菊子ちゃんの様子も見に行きなさいって女神ちゃんにも伝えておくわね。」と菊子の余命の事で、アヤメが慌てて会いに来ても不自然にならないように、先手を打っておきました。

その後、菊子は陽子と雑談して、陽子達は帰って行きました。

帰宅後、菊枝と渚を呼んで陽子は、「矢張り、私も博士と同意見です。テレジア星人の血が混ざっている為に元気そうに見えますが、あと数ヶ月だと思います。博士も医者のライセンスをお持ちなのですよね。博士は、どう思いますか?」とフジコの意見を聞きました。

フジコは、「そうね。早ければ一ケ月以内かもしれませんね。」と菊子の状態を説明しました。

この事をアヤメとサクラに連絡するとテレジア星から、サクラ、アヤメ、コスモス、ヴィーナスそれと、宇宙旅行中のモミジが来てアヤメが、「おい!博士!菊子の話は本当なのか?私が地球に滞在中、菊子の所へ行っていたのか?何故、黙っていた!ぶっ飛ばしてやる!」とフジコに襲いかかろうとしました。

サクラが間に入って、「何故、女神ちゃんはそうなの?あなたは直ぐにそうなるから、本当の事が調べられなくなる為に、女神ちゃんに相談できずに、陽子さんに相談したのでしょう!今回はっきりしたので、連絡したのじゃないの!それより女神ちゃんは、偶に菊子ちゃんの様子を見に行って。そして博士、あなたの大型探査艦で、菊子の意思波を受信して増幅して、ここへ送信すれば、ここで菊子ちゃんの様子を確認できない?」と今後の事を相談しました。

騒ぎは収まり、取り敢えず、その方向で行く事になりました。

モミジが、「サクラさん、もう地球に来ても大丈夫なのですか?」と心配していました。

サクラは、「テレジア星で検査を受けて来ましたが、もう大丈夫だと診断されました。」と安心させました。

モミジが、「そうか、それで地球に来たのね。二人の喧嘩も直ぐに納めて、相変わらず取り仕切るのが上手ですね。」とサクラがいればチームワームは保てると安心していました。

数日後フジコが、「菊子ちゃんの意思波が急に弱りました。」と全員に告げたので、菊子の所へ向かいました。

菊子の最後は、住宅街の住民も含めて全員で見守りました。その後、ヴィーナスとモミジとアヤメが、「菊子ちゃんと私達だけにしてくれない?」と人払いして、身内と親友だけで語り合い、その後モミジは地球を離れました。

菊子の遺言で、政府からの礼金は、地球の恵まれない子供達に寄付されて、墓は地球に立てられ、テレジア星の菊子が住んでいた衛星に分骨しました。

菊子が亡くなった事で、テレジア星と、この住宅街との関係はなくなった為に、アヤメは菊子が渡した通信機や火星に着陸させている戦闘艦などを回収して、「もう皆さんとお会いする事はないと思います。それではお元気で。」と挨拶してテレジア星へ帰って行きました。

しかし、海坊主の事が心配でしたので、コスモスを丸東組に住まわせる事にしました。

住宅街では、陽介の子孫が庭に出て、菊子が育てていた菊が、元気に咲いているのを見て、テレジア星人の血が半分流れていた菊子さんは、若々しく元気で、子供達と一緒によく遊んでくれましたよね。もう寿命がない事を、フジコさんや陽子さんは、気付いていたようでしたが、菊子さんは知っていたのかしら?陽子さんは、名前からして日本人のようですが、菊子さんとはどういう関係で、どこに住んでいる人なのかしら?等と、菊子の事を思いだしながら泣いていると、体に激痛があり、確認すると、背後から心臓を一突きされて、胸から飛び出していました。“えっ?”と思いましたが、直ぐに意識を失いました。

一方テレジア星では、アヤメが住宅街に着陸させているUFOは、自治会で使用しているUFOだけだと思い、残り全てのUFOを火星に着陸させていると勘違いして、家の庭先に着陸させていたUFOを見落としていました。その中に肉食のペットが潜んでいるとは夢にも思いませんでした。矢張りアヤメはドジで間抜けでした。

菊子の遺品や、菊子のペットをどうするのかを話し合っていると、ペットの数が菊子から聞いていた数より一匹少ない事が判明して、宇宙戦艦や戦闘艦の中を捜しましたが見付からず、念の為にサクラの大型多目的艦に透明シールドを張って、地球に向かい調査した所、矢張りペットを一匹地球に置き去りにしていて、菊子が住んでいた住宅街は全滅していました。

通信機を回収して、コスモスが地球に残っている事は、住宅街の住民には知らされていませんでしたので、連絡できなかったようでした。

サクラは直ぐにペットの捜索を生命反応で探査しました。その結果UFOを見落として、ペットのみを回収していました。

テレジア星に帰る前にコスモスに連絡して、「あなたは何をしていたの?気付かなかったの?さすがドジで間抜けの女神ちゃんの娘だけの事はあるわね。」と何の為に地球に残ったのかわからないと不満そうに、ペットを連れてテレジア星に帰って行きました。

コスモスは、海坊主の事を頼まれただけで、そんな事知らないわよと不満そうでした。

かつて菊子達が住んでいた住宅街の住民は全員、体が引き千切られていた為に、警察が捜査しましたが迷宮入りして、正体不明の化け物が住んでいると噂が広まり、誰も近付こうとしませんでした。

更に、朝の九時になると何処からともなく柵が現れて、翌朝六時になると消えている事も人離れの要因になりました。

勿論、学者が現地で調査しましたが、原因不明でした。

まさか菊子が家の庭先に着陸させていたUFOから自動制御されているとは気付かずに、このUFOは透明シールドを張っていた為に、地球人には発見できず、怪現象のみが起こっていました。

テレジア星に帰ったサクラは、その事を全員に報告して(住宅街に着陸させている小型UFOはサクラも気付かなかった為に報告されませんでした。)、これで地球にはテレジア星人について知っている人は、菊子の子孫だけになりましたが、テレジア星人の血も薄くなっている為に、問題ないだろうという事になりました。テレジア星人は、これで本当にテレジア星と地球との関係は、丸東組だけになったと思いました。


次回投稿予定日は、11月28日です。

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