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プロローグ

ありがとうございます!

これから頑張るのでよければ応援してください!

人はこの世の中を生きていく上で、様々な選択を迫られると思う。



どの大学を受験するのかとか意中の女の子に告白するかしないか……なんて人生を左右するようなものもあれば、家を出る時右の靴から履くか左の靴から履くかなんて至極どうでもいいものもある。



しまいには猫派か犬派か、究極の二択なんて呼ばれるものまで存在する。俺が今決断を迫られている選択も、そんな究極の二択の一つなのかもしれない。



俺はそんなことを現実逃避気味に目の前にあるドアの前で考えていた……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺こと白峰子羽(しらみねしう)は現在16歳で高校二年生だ。今は実家を離れて一人暮らししてる。



今日は終業式で午前授業だった。

で、一旦家に帰ったんだけど冷蔵庫開けても何にもなかったから、仕方なくコンビニに弁当買いに出かけた。



そこまでは良かったんだよ。



近所のコンビニに入って適当に500円くらいの唐揚げ弁当を掴んで、会計を済ませてコンビニを出ると目の前に…………ドアが現れた。辺り一面真っ黒の空間にポツンと佇むドアと俺。



もともとそこにあったはずの道は無くて、嫌な予感がして後ろを振り返ると、さっきまで俺のいたコンビニすら綺麗に消滅していた。



ここで場面は冒頭に戻る。


「どうしてこうなった……」


あまりに突然の出来事に理解が追いついていない。目を疑うというのはこの事だろう。信用出来るのは手元に残った唐揚げ弁当ぐらいだ。



こういう時は焦らず現状把握するに限る。



「今取れる手段は主に三つ。一つ目はドアを開けてみる。何が起こるかわからないからあまりやりたくはない。二つ目はここでしばらくじっと待つ。こんな真っ黒な場所でじっとしてろとか何の拷問だよ……。三つ目は取り敢えず唐揚げ弁当を食べる事。うん、三つ目だな」



そうと決まればビニール袋から弁当を取り出し、食べ始める。



数分ですべて平らげたが、目の前のドアにも周りの様子にも特に変化がなかった。


「どうする……選択肢が一つ減ってしまった……。開けるか待つか……。うん?」


さっきまでは気が動転していて気づかなかったが、ドアのすぐ側の地面に何やら小さく文字が書かれているのを発見した。



『このドアの先に進みたいならドアノブを右に、元の場所へ戻りたいなら左に捻ってください』



うん、もうちょいわかりやすい場所に書いて欲しかった……。



さて、どうするか。普通だったら迷わず左へ回すだろう。



「でも、直感が右に回せって言ってるんだよな……」



自慢じゃないが俺はかなり直感に自信がある。生まれてこの方じゃんけんで負けた事ないし、何なら直感に命を救われたことまである。今まで直感を信じて失敗した事がないのだ。



「よし、決めた」



少し迷った後、俺はドアノブを()に回した。心の中にあった不安を好奇心と直感に対する信頼が上回ったからだ。



ドアを押していくと、予想していたよりもすんなりと開いていく。



「あら、久しぶりね。このドアを開いた子は」



ドアの先に居たのは緑の髪が特徴的な絶世の美女だった。よく教会のシスターさんが着ていそうな修道服をはち切れんばかりの胸が押し上げている。榛色の瞳が俺を捕らえて離さない。



「えっと……ここは一体……」


「ここは……そうね。アストラとチキュウをつなぐ中間地点と言ったところかしら」


「アストラって?」


「ああそうよね。そこから説明しなきゃいけないわね。ちょっと長くなるけれど聞いてくれる?」


「あ、はい」



取り敢えず聞かなければ始まらないだろうと、話に耳を傾ける。



どうやらアストラっていうのは地球とは別の場所にある異世界のことらしい。普段なら鼻で笑うところだけど、ファンタジー的なことは既に一つ体験済みだったため、受け入れるのに時間はかからなかった。



どうやらアストラでは異種族間での戦争が長く続いており、このままでは絶滅してしまう種が出るかもしれないらしい。そんな状況をこの女性は嘆き、異種族間の和解、交流のきっかけになれるような人物を探していたようだ。



「でもどうして俺なんですか?適任者はもっと沢山いると思いますけど」


「まずあのドアが一つね。未知の世界に飛び込もうとするだけの勇気がある人ってすごく少ないの。殆どの人は帰ることを選ぶしね」


「あのドアで選別してるんですか?でもあんなドアを見たって人は今まで聞いたことないですけど……」


「そりゃそうよ。あのドアはね、今から5分以内に死亡するって人の所にしか現れないの。死ぬ予定の無い人の前には現れないわ。それとある程度の若さが必要ね。」


「……てことはあれですか?もし左に回してたら……」


「ええ、貴方は死んでいたでしょうね。ドアがある空間は時間が止まってるから事故にしろ何にしろタイミングがずれることもないし」



ゾッと背筋が寒くなった。もしあのまま元の場所に戻っていたら、交通事故か何かに巻き込まれたのだろうか。ここまで直感を信じて良かったと思ったのはこれで二度目だ。



前にもこんな事があった。いつもなら右の道を通って学校に行くのに、その日に限って左に行かなければいけないような気がした。右の道で工事現場の鉄骨落下事故があったと知ったのは、学校から帰った後だ。時間的にドンピシャだったのは言うまでもないだろう。



「そうですか……」


「それで……どうかしら?アストラへ行ってくれる?」


「ここで断ったらどうなるんですか?」


「その時は元の場所に戻ってもらうしかないわね……」


「でも戻ったら死んじゃうんですよね?それとも死ぬっていう未来を知った後ならその未来を回避する事は出来るんですか?」


「無理ね。一度ぐらいなら回避できるかもしれない。それでもそう遠くない未来に貴方は死ぬことになる」


「そう……ですか。もし行くって言ったらどうなるんです?」


「その時はこの後起こり得たであろう通りに、貴方はチキュウで死んだことになり、異世界に行ってもらうわ」


「……………」



人生は選択の連続だ。



人生を左右する重大なものから、至極どうでもいいものまで色々ある。



「改めて聞くわ。アストラへ行くか、チキュウで死ぬか、選びなさい」



究極の二択なんて呼ばれるものもある。



今、俺はそんな選択を迫られているのかもしれない。



「俺は……」



イエスと言えば、辛く過酷な未来が待っているかもしれない。



戦争なんてしている世界だ。危険なことでいっぱいだろう。もしかしたら、元の世界に戻るよりも惨たらしく死ぬかもしれない。



ノーと言えば、予定調和のような死が待っているのだろうか。



死ぬと言われた、分かっていても死ぬと。逃れられない死というのは、とても……怖い。



「決めました」



俺はこんな時いつもどうしていた?



直感を信じていた。なら今回も信じよう。



直感が言っている、選べと。



だから俺は、



「行きます」



榛色の瞳を強く見つめながらそう返した。



しばらく見つめあった後、ふっと女性の相好が崩れる。



「そう言ってもらえると助かるわ。あ、そうだ。そう言えば貴方の名前を聞いていなかったわね。教えてもらってもいいかしら?」


「俺は……白峰子羽って言います」


「シウね?私はアストラの輪廻を司る女神アウラ。覚えていてくれると嬉しいわ」



女神。女神ときたか……まあ予想はしてたけど。



「ってことは他にも神様っていたり?」


「ええ、いるわね」


「アストラでは神って一般的なんですか?」


「一応存在は知られているけど、神に会ったという人はいないと言って良いわ。加護を与えることは稀にあるけどね」


「加護……ですか?」


「ええ、私たち神々の加護を受けることでステータスに補正を受ける事ができるわ」


「ステータスって……なんだかゲームみたいですね」


「げぇむというのが何か分からないけれど、気になるのなら自分のステータスをチェックしてみればどうかしら?」


「え、そんなことできるんですか!?」


「ステータスオープンと唱えてみて」


「えっと、ステータスオープン!」



俺がそう唱えると、目の前に文字と数字の羅列が書かれた透明な板みたいなものが出てきた。何に支えられるでもなく宙に浮いている。少し触ってみると、どうやらスマートフォンの画面の様にスクロールや拡大したりできるようだ。



白峰子羽

種族:人族

年齢:16

lv:1

生命力:10/10

魔力:26/26

筋力:10

敏捷:10

器用さ:12

耐久:10

賢さ:20

精神力:15

運:50


スキル

[直感] max

[超直感]max

[料理] 6


称号

[王の選択]

直感系スキルを極めた者に与えられる。

直感系スキルが発動しそれに基づいて行動した場合、能力値に補正がかかる。



うん、何これ?



「へえ、シウって料理するんだ」


「いや気にするところそこじゃないでしょ!?何ですか王の選択って!?」


「また珍しい称号を……こんな称号見たのいつぶりかしら」


「そんなに珍しいものなんですか?」


「ええ。だってまず[直感]のスキルですらスキルレベルmaxまで行ってる人がほとんどいないもの。戦闘職を生業としてる人で持ってる人はそれなりにいるけどね。[超直感]は[直感]のスキルレベルがmaxになって初めて解禁されるスキルだけど……これもmaxにするなんて相当難しいことだわ」



どうやらスキルの横にある文字や数字は、スキル自体のレベルらしい。



「maxってレベルいくつぐらいなんですか?」


「50よ」



50!?てっきり10か20ぐらいかと思ってた……。そこそこ料理には自信あったんだけどな。それでレベル6って、直感のスキルレベルどんだけ高いんだよ。



「でもまあ、普通の人はどれだけ頑張っても30くらいが限度でしょうね。50まで行けるのなんてごく一部の限られた人達だけだわ」



どうやら俺は限られてしまったらしい。いや、そうじゃなくて。



「他のステータスは客観的に見てどうですか?」



「うーん、平均より少し上ぐらいかしら。筋力は少し低いけど、魔力と賢さが高いわね。魔法使いタイプかしら?後は運の数値が異常に高いのが気になるくらいね」



俺の運の数値は異常らしい。うん、今はそんなことはどうでも良い。



魔法。思春期真っ只中の少年少女なら一度は妄想するだろうファンタジーの代名詞。



ステータスに魔力っていう箇所があった時点で少し期待していたけど、本当にあるんだ魔法……。はっきり言ってめちゃくちゃ使ってみたい。



「魔法って俺でも使えますか!?」


「ええ、使えるわよ。魔法もスキルの一部なの。まあ使うにはそれ相応の努力が必要だけどね」



魔法のためなら努力は惜しまない。だって魔法だもの。みんなの夢だもの。



「何か他に聞きたいことはある?」


「もう少しアストラのことを聞きたいです。どんな種族がいるんですか?」


「そっか、その説明もしなきゃならないわね」



そう前置きすると、アウラは何かを思い出すかのように右上に目をやった。



「まず人族。これは多分貴方の想像通り人間を指すわ。数が多いのが特徴ね。個人個人の能力は他の種族に比べて低いけど、それを数と道具で補ってるわ」



人族……俺の種族のところにもそう書いてたし、これは普通の人間って事で良さそうだ。まあファンタジーな世界だし、俺の普通が通じるかわからないけど。



「次に亜人族。ここでは亜人と一括りにさせてもらうけれど、実際は多種多様な種族がいるわ。森人族、小人族、獣人族……とにかくたくさんいるわ。彼らの特徴は仲間意識が強くて種族ごとに得意不得意がはっきりしていることね。代表的な例で言うと、獣人族は身体能力は秀でているけれど、魔力が低くて魔法は不得意とかね」



森人族っていわゆるエルフだよな?獣人族も一部の界隈で絶大な人気を誇る猫耳に会えるかもしれないのか。不安なところもあるけど、期待もしちゃうな。



「最後に魔族。彼らはとても好戦的な性格をしているわ。身体能力、魔法共に秀でている。ただ数がとても少ないわ。個人の能力はすごく高いけどね。種族に関しての説明はこのくらいかしら」



魔族に関しては……今はまだよく分からないな。それにしても本当にたくさんの種族がいるみたいだ。



「他にはある?」


「俺はこのままの姿で行くんでしょうか?それともどこかの赤ん坊に転生するんですか?」


「転生よ。あ、もしかして今のままの姿が良かった?」


「いえ、大丈夫です。少し気になっただけですから」



転生かぁ、格好良い見た目だと良いな。



「他には?」


「もうないですね……あ、やっぱり一ついいですか?」


「何かしら?」


「俺……戦闘とか全然出来ないんですけど、その辺り大丈夫ですか?」



はっきり言おう、チートが欲しいと。



「あーそれもそうよね、分かったわ。称号を一つと私の加護を与えるわ。加護はもともと与えるつもりだったしね」



もうちょっとこっちに来てと言われたので、アウラに近づく。すると俺の額にアウラの手が置かれた。一瞬触られている部分が温かくなったかと思うと、手がどけられる。



「ステータスを開いてみて?」


「はあ……ステータスオープン」



言われた通りにステータスを開く。すると、



白峰子羽

種族:人族

年齢:16

lv:1

生命力:20/20 (+10)

魔力:26/26

筋力:10

敏捷:10

器用さ:12

耐久:10

賢さ:20

精神力:15

運:50


スキル

[直感] max

[超直感]max

[料理] 6


称号

[王の選択]

直感系スキルを極めた者に与えられる。

直感系スキルが発動しそれに基づいて行動した場合、能力値に補正がかかる。


[無限の可能性を持つ者]

全てのスキルが習得できるようになる。


加護

[輪廻の女神アウラの加護]

輪廻の女神アウラに気に入られた者に贈られる。生命力が元の値の2倍になる。



おおっ増えてる!この生命力2倍っていうのは結構すごいんじゃないか?



それに比べて称号の方はいまいち凄さがわからないな。



「称号の凄さが分からないって顔ね?」



なんでそんなピンポイントで分かるんだよ!?エスパーか!?あ、女神か。それならあり得る……のか?



「ええ、これってどう凄いんですか?」


「よく言うでしょう?人には向き不向きがあるって。スキルもそうなの、本来なら(・・・・)ね。この称号を持つ人は全てのスキルに適性を示すの。どう?少しは凄さが伝わったかしら?」



それは……凄いなんてものじゃない気がする。努力さえすれば何だって出来て、何にだってなれるって事だ。



「それは……凄まじいですね」


「納得して頂けたようで何より。これでアストラへ行く前にやっておかなければならない事は全部終わったかしら」


「あれ、そう言えば俺って転生するんですよね?ならステータスって全部意味なくなるんじゃ……」


「ああ、それなら安心して。スキル、称号、加護は転生しても転生後の肉体に受け継がれるから」


「ああ、それなら安心ですね」


「ええ。あ、そうそう私の加護を持っている人は神殿で祈りを捧げる事で、私と会話することが出来るわ。もし何か困ったことがあれば、神殿に行きなさい」


「それは助かります。もしもの時はそうさせて貰います」


「よし、これで本当に最後ね。少し待ってね、今転生の準備するから」



アウラがそう言った後、掌を地面に向ける。するとそこに魔法陣が現れた。



「後はここに乗ってくれれば転生できるわ。さ、乗って」


「はい!」



そう答え、俺は魔法陣に乗る。すると、段々身体が透明になっていく。そこで俺はもう一つ聞きたいことを思いついた。



「そういえば転生先ってどんな身分になるんですか?」


「え?あーごめんなさい、そこまでは分からないの。奴隷とかそんな身分ではないわよ………多分」



その言葉を聞き終えた時点で俺は殆ど透明になっており、奴隷がいるのかとか何で分からないんだとか色々言いたい事はあったが、真っ先に俺の口から出たのは、



「最後に多分ってつけるの不安になるからやめろぉぉぉっ!!!」



その言葉を最後に、俺はその空間から消失した。

ありがとうございました!

勢いで書いたので、後々色々変更するかもしれません。

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