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Primula  作者: 澄葉 照安登
第七章 聖夜に灯れ
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それは、誰かの苛立ち


 彼女は後悔していた。こうなってしまった理由は、きっと自分にあるのだと。

 自分があの時あんなことを口にしなければ、今頃二人は幸せだったはずなのにと。

 もう、見ていられなかった。

 誰から見ても両想いの二人が共に居ることの叶わない現状を。誰も何かできるすべを持たない現実を。目を伏せどうにもできずにいたあの空間を。もう、見ていられなかったのだ。

 誰も踏み出せない。いや、ほかの誰も踏み出すべきではなかった。

 うまくいかないはずがなかったのに、どうしてこうなってしまったんだろうと。その理由を誰かに求めようとしても、出る結論はいつだって自分自身に矛先が向いていたから。

 今動くべきなのは誰なのか、それは彼女自身が一番理解している。ならばもう、憤っても仕方ないと、諦めたようにため息を吐いて踏み出すのだ。

 わざわざそんなことをするつもりではなかったけれど、それでも彼女はそうするのだ。自分のしてしまったことを、自分が作ってしまった今を変えるために。

 もう見ていられないから、見せられたくないから。

 彼女が魅了させられたものはそんなものではなかったから。

 だから彼女は、失恋を演じて見せるのだ。


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