1話 召喚された勇者
とある学校の教室、今日も俺は昼寝しようとしていた。
「今日も絶好の昼寝日和だ」
「トウくん、もうすぐ授業なんだから寝ちゃだめだよ」
頬をぷくぅと膨らませてそう言ってくるのはこの学校で唯一の友人で幼馴染みの佐伯由花だ。因みに超がつくほどの美人である。
で、何故俺に友人がいないか…それは俺の髪型に理由がある。
中学卒業のとき突然由花が「トウくん高校入る前に顔隠れる位髪のばして」とお願いしてきた。
俺は由花のお願いを聞いて魔法で瞬時に髪をのばした。勿論、由花に精神魔法をかけ魔法を不思議に思わないようするのは忘れなかった。
そして、その長い髪といつも寝ているせいで暗い奴というイメージが俺に染み付いてしまった。
更に由花が俺以外の男に関心を示さないため俺は男子から恨まれ、由花の友人の女子からは“何でこんな奴が…”みたいなことを言われている。
と、先生が来たようだ。まあ、結局寝るけど
「はい皆さん席について下さい。っ!誰ですか床にこんなに大きな落書きを描いたのは!」
ここにいる全員が思ったそんなもの描いてないと。
床に描いてあったのは教室を覆うほどの巨大な魔法陣だった。
それを認識したときにはもう遅く俺を含めてその場にいた全員が意識を失っていた。
◇◇◇
目が覚めるとそこは真っ白な空間。そして俺の前には綺麗なブロンドの髪と碧眼をもった美女が立っていた。
それはとても見慣れた光景で安心感さえ感じられた。
「久しぶりだな。ティア」
彼女は女神エンティア。勇者召喚の管理をしている神で俺が勇者をしているとき世話になった人だ。
「あなたも元気そうで何よりです。トウカ」
ふふっ…とティアが微笑む。
「で、また前みたく魔王を倒せばいいのか?しかも今回は俺だけじゃないようだし」
「ああ、やりたくなければ別にいいですよ。今回はトウカと一緒に32人も召喚されてますから」
俺としては正直嬉しい勇者といってもラノベなどの様にはいかず訓練の毎日で楽しくなんてないし俺の場合魔王倒したら即座に他の世界へ強制転移させられる。だから異世界で勇者しかしたことのない俺にとっては勇者から解放されるというのはとても魅力的なことなのだ。
「そうか、じゃあ俺は念願の異世界を楽しむよ」
「そうですか。ではお気をつけて」
そして俺の視界は光で埋め尽くされた。
◇◇◇
目を開くと周りにはクラスメイト達と鎧を着た兵士、ローブを着た魔法師、そして王族がいた。
そんな中世に迷い混んだかのような感覚を俺はとても懐かしく思った。
「おい、どうなってんだ!」
「ここどこ…家に帰りたい」
「皆落ち着いて!」
混乱している奴等は皆その声を聞いて落ち着きを取り戻した。
彼は御守勇人。クラスのリーダー的存在でイケメンだ。
「僕は御神勇人といいます。あなたが代表の方とお見受けしますが、僕達は何故この様な場所に招かれたのでしょうか?」
この状況でこうも冷静な判断を下せるとは中々だな。
「我はリアレイド王国国王のアレス・リアレイドだ」
なっ!リアレイド王国だと…ということはこの世界にはあいつらが…
「この世界には危機が訪れている。魔王が50ぶりにこの地に君臨し魔人族以外の種族を侵略しようとしているのだ。魔王の力は強大で我々では太刀打ち出来ん。そこで神により与えられた勇者召喚を執り行ったという訳だ」
50年、少なくとも俺がいなくなってからそんなに経つのか。
「そんな事情があったんですね……分かりました僕達で魔王を討伐します!」
周りの奴等は「御神くんについていこう」とか「勇人の言うとおりだ」とか言ってる。
そんな軽い気持ちで魔王なんて討伐出来るのだろうか。
「そうか、感謝する。早速だが君達の力を見よう。『ステータスオープン』と言って見てくれ」
すると周りで歓声が巻き起こった。
「おお!勇人殿のステータスは素晴らしい!」
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名前:御神勇人
性別:♂
種族:人間
職業:勇者
lv:1
MP:2000/2000
筋力:1000
物耐:820
魔力:900
魔耐:1100
俊敏:700
【スキル】
<光魔法lv1><剣術lv1><身体強化lv1>
【称号】
<勇者>
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この世界では相当な強さを誇るステータスだ。
参考にはならないと思うが俺のステータスはこうなっている。
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名前:暁灯夏
性別:♂
種族:始祖
職業:万能神、勇者
lv-------
MP:∞/∞
筋力:測定不能
物耐:測定不能
魔力:測定不能
魔耐:測定不能
俊敏:測定不能
【固有スキル】
<万物創造><万物破壊><万物吸収>
【スキル】
<全属性魔法lvMAX><総合武術lvMAX><空間魔法lvMAX><時間魔法lvMAX><全属性耐性lvMAX><全状態異常無効><即死無効>etc…
【称号】
<始まりの者><神になりし者><勇者><創造せし者><破壊せし者><英雄><不死者>
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ほんと参考にならないな。もうステータスがバグだな。
おっと、次は俺のステータスを見る番か………ステータスをいじってっと、これでよし。
偽装でステータスをこの世界の俺と同年代の奴の平均くらいにしといた。
「………うむ、あまり気を病むでない。」
なかなかいい人だな。この人のところだったら由花も安全だと思う。
「国王様、一つお願いがあります。俺に城の外に出る許可をくれませんか?……俺はこのままここにいても足手まといになるだけです。なので俺はここを出て世界を見てまわりたいんです」
「…そうだな。よかろう許可してやる。幾らかの金貨と装備を持ってこさせる、待っておれ」
数分後、兵士が金貨5枚と装備を持ってきた。
「国王様ありがとうございました。それでは俺はこれで」
由花には魔法をかけてあるからついてくることはないだろう。
―――そして俺は城を後にした。