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闇呼びの声  作者: 小路阿須
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侵食されていく日常



「おっそーーーーーーい!」

 着くやいなや詩歌は雅に叱られた。

「うう、ごめん~~」

「ほら!佐羽さんをご覧なさい!プンプンだよ!」

 佐羽を見ると、三十分以内に食べるとタダの超大盛りエビピラフを二皿テーブルに並べて、もくもくと食べているところだった。

「……………」

「佐羽がここのエビピラフを二皿注文するのは怒ってるっていうアピールなんだよ!」

「そ、そうなの?」

「ま、冗談はさておき」

(冗談!?)

「私は食べないで待ってたんだからね!偉いでしょ~」

 雅はふふんと胸を張った。

「雅が胸を張ると自慢しているようにしか感じない。どうせわたしは貧乳…。そして友達も待てない食いしん坊…。雅は高確率で遠まわしにそう言っている」

 食べる手を止めて佐羽はジトッとした目で言う。

「そ、そういうつもりじゃないってば~」

「雅なんて知らない。それより詩歌、注文は?」

「あ、うん、そうだね。パスタセットにしようかな…。あと、遅れたお詫びにケーキ奢っちゃう!」

 詩歌がにこっと笑うと、言い争っていた雅と佐羽は嬉しそうに一緒にケーキを選び始めた。

「は~、美味しかった!詩歌、ケーキご馳走様」

「ご馳走様」

「いえいえ、どういたしまして」

 昼食後、三人は近くの公園のベンチに腰掛けた。

(公園といえば、あの女の人どうなったのかな)

 喉が裂けたさきほどの女を思い出し、詩歌は顔を曇らせる。

「詩歌、顔色悪い」

 佐羽は詩歌の顔を覗き込んで言った。

「へ?そんなことないよ~」

詩歌は慌てて否定する。友人に心配をさせたくなかったのだ。

「そんなことある。ね、雅」

「えぇっ、ううううん!だよね!一か月前から顔色悪かったよね!うんうん!私もずっと気付いてたよ!」

「…………」

「な、何よその目」

「はぁ~~~」

「な、何よそのため息」

「もういい。とにかく詩歌は顔色が悪い。喫茶店に来た時から思ってた」

(どうしよう。佐羽って妙に鋭いし、簡単に言い逃れできる相手じゃないし…)

「あ!いっけない!私用事あったんだった!じゃ、また明日学校でね!」

 詩歌はまくし立てると、早足でその場を去った。

「逃げられた」

「ね」

「雅」

「なーに?」

「詩歌は頑張り屋さんだから、少し心配」

「私も心配だけどさ…。何かあったんなら、きっといつか話してくれるよ。話づらいことだってあるだろうしさ」

「でも、友達なのに」

「友達だから、心配かけたくないってあるっしょ。ま、私たちは普通にしてるのが一番!それに、まだ何か悩みがあるとか決まったわけじゃないよ!ランチ食べ過ぎて具合悪くなったのかもよ?あそこのランチ美味しいし…ね?」

「…うん」

「そうそう、それまでは詩歌を見守り隊でも作って優しく見守ろうじゃないか」

「ひどいネーミングセンス…」

 詩歌が去ったあとの公園で二人はそう話し合った。


 夜。

 詩歌は明日の支度を整えて、ベッドに入り、電気を消す。

(う~。なんだか怖いなカゲノちゃんも夜に気を付けろって言ってたし)

 静かな部屋に自分の鼓動だけが響く。

(大丈夫、大丈夫。カゲノちゃんがくれたお札もちゃんと貼ったし、残ったお札も枕元に置いてあるし)

 詩歌は腕を伸ばして札に触れる。相変わらずほんのり暖かくて、それは詩歌を安心させた。

(カゲノちゃんの温もりなのかな)

 そう思うと一気に心強くなる。詩歌は札を握りしめたまま眠りに就いた。


 トン…。

 トン、トン…。

 トン、トン、トン…。


どこからか音が聞こえる。何の音だろうか、何かを叩いているようだった。

「…ぅん」

 詩歌は寝返りを打つ。


 トン、トン、トン、トン…。


「んん…」


 トン、トン、トン、トン、トン…。


「…ん?」

 詩歌はようやく目を覚ました・


 トントントントントントントントントントントントントン。


「な、何の音!?」

 一気に覚醒する。


 トン。


 窓の方からだ。カーテンに閉ざされた向こうから音が聞こえる。

「やだ、なんなの…」


 トン、トン。


 詩歌は布団を頭から被り体を丸めるが、音は鳴りやまずにずっと聞こえてくる。

(どうしよう、どうしよう…。そうだ!)

 詩歌はいつの間にか手放していた札を手探りで探すと、ぎゅうと手に力を入れた。

(これがあれば大丈夫。それにカゲノちゃんの力になるって気めたんだ。こんなことで怖がってちゃダメ!)

 決意を胸にベッドからガバッと起き上がる。音は相変わらず聞こえている。詩歌は札を握りしめ、窓に一歩一歩近づいた。カーテンに手を掛ける。その途端に音が止まる。目をぎゅっと瞑って一思いにカーテンを開けた!

「…………」

 少しずつ目を開けて外を確認する。

 何も、いない。

「はぁー、よかっ…」

 安堵と共に目線を下に落としたことを詩歌は後悔した。

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああ」

 ソレは窓の下にトカゲのように張り付いていた。眼孔は刳り貫かれたかのように黒く、口は顔の半分を埋めるほどに大きく開かれている。髪は長いが男とも女とも取れない容貌だ。だたわかるのは、絶対に人間ではないということだけだ。恐らく悪霊であろう。

「いや、いやぁ…」

 詩歌は腰を抜かして後ずさりする。


 トン。


 窓の下から汚れた手が伸びて硝子を叩く。


 トン。


 「お願い、やめて…」

 詩歌は祈るように指を組んだ。


 ……。


 音が止む。しかし詩歌は窓から目が離せない。見たくないのに、目が離せない。

「…………うぅ」

 震える自らの肩を抱きしめる。音が止んでから少しの時間が経つ。ぬっと窓の下からまた手が伸びた。

「…!」

 違う。今度は手ではなかった。顔だ。窓の下にいたあいつが窓の外から顔の半分だけを出してこちらを見ている。

「ひっ」

 詩歌は思わず床に手をついた。その時手に何かが触れる。カゲノから貰った札だ。詩歌はすぐにそれを一枚持って立ち上がる。

「これがあれば…」

 札をかざすように窓の外に向ける。

(あれを窓の外から祓って!)

 そう思いを込めて札を投げつける。軽いはずの札は落ちることなく真っ直ぐに飛び、窓の前で止まった。

(お願い!)

 詩歌が思いを強めたのと同時に、札からヤマタノオロチのような黒い影が生まれて『シャアァァァァァァァッ』と威嚇の雄叫びを上げた。窓の外にいた悪霊はそれを見て慌てたように頭を引っ込めて見えなくなった。ほどなくすると、札から生まれたヤマタノオロチも消えた。

「……助かった」

 詩歌は念のため窓の下を見たが、もう何もいなかった。

「ありがとう、カゲノちゃん」


 ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ!


「えっ!?」

 安心した詩歌の耳にまた不可解な音が聞こえる。

「どうして!?どこから!?」

 窓の外よりは遠い。でも確かに聞こえる。裸足でフローリングを歩く音…。そこまで考えて詩歌は自分の考えにハッとした。

「フローリング!?家の中にいる……!どうして!?ちゃんとお札は貼ったのに…」

 一階も二階も窓にも扉にも貼ったはずだった。

「どこから…。もしかしてトイレの小窓…?」

 縦横十五センチほどの小さな小窓、数センチくらいしか開かない小さなものだ。詩歌が思いついたのはそこだけだった。そこには札は貼っていない。

「あんな小さなところから、まさか…!」


 ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタッ!

 足音が走る。しかも段々と近づいてきている。


 ペタン、ペタン、ペタン…。


 かなり近い。

(階段を上がってきてる…!)


 ペタンッペタンッペタンッペタンッペタンッ!


 思うが早いか、足音は走って詩歌の部屋へと駆け寄ってきた。

「どうしよう…どうしよう…!」

 

 カチャ。


 部屋のドアノブをひねる音がした。そしてドアが少しずつ開く。

「来ないでーーーーーーーーーーーーっ!」

 手当たり次第に物を投げつける。クッション、雑誌、スリッパ、黒い札…。最後に投げたものがドアに貼り付く。その途端バタンと音を立ててドアは閉まった。

「あ、またお札が…」


 ガチャガチャガチャガチャ。


 何度がドアノブをひねる音が続き、詩歌は肝を冷やしたがしばらくすると音は止み、ペタンペタンと階段を下りる音がした。

 難は去ったが、詩歌はその夜一睡もできないまま朝を迎えた。


 通学路には女学生たちの明るい声が響く。詩歌はその声を背に重い足を引きずって学校へ向かった。

 教室では、おはよう、というクラスメイト達の挨拶に笑顔で返す。

「詩歌!おはおはおっはよーーーー!」

 一際大きな挨拶をしてきたのは雅だ。

「おはおはおはよ…」

 詩歌もそれに返す。元気がないのに雅はすぐに気付いたが、笑顔で続ける。

「今日の一時間目は自習だよん。まったり寝るもよし、ゆったり寝るもよし、がっつり寝るもよし、だよ!」

「全部寝る選択肢なんだ…」

「目の下のクマさんが眠たいよ~って言ってるからね」

 雅は詩歌の目の下のクマを指先でつついた。

「くすぐったいよ~」

「ふふっ。佐羽には言っとくから、ゆっくり休んでね」

 雅は手をひらひらと振って去っていく。詩歌は優しい友人に感謝しながら机に突っ伏して目を閉じる。

(はぁ、今まで気が張ってたのかな。急激に眠たくなってきちゃった)

 詩歌はそのまま薄い眠りに就く。クラスメイト達の騒がしい声が徐々にボリュームを落とすように小さくなっていく。小さく、小さく、ヒソヒソ話のように小さく…。


「ねぇ、知ってる?」

「なに?」

「峠の女の話」

「あ~、私は知ってる~」

「どんな話?」

「ある人がね、夜中に峠を車で走っていたんだって。もう対向車もいなくて、街灯もないし真っ暗。頼れるのは自分の車のライトだけ。ちょっと怖いな~、と思いながらも車を走らせていると、前に白いワンピースを着た女の人が歩いてたんだって」

「やだ、怖いよ~」

「車の人も、怖いな~と思ったんだけど、よく見たら体が透けてるわけでもないし、両足もちゃんとある。バッグも持ってるし、幽霊ではなさそうだ、って安心したの。峠だから、道がうねうね蛇行してて、カーブの度に女の人の姿が消えてヒヤっとしたらしいんだけど、車もカーブに入るとちゃんと前にいるから気にしなくなったらしいんだけど、運転手は途中であることに気付いたんだ」

「わかった!その女の人が後部座席に乗ってたんでしょ!」

「違うよ、女はちゃんと前にいるの」

「なんだ~」

「でも、それが変なんだよ」

「どういうこと?」

「こっちは車、向こうは歩き…。なのに少しも距離が縮まらないの。いくら蛇行してるからって、歩いてる人に車が追いつけないわけがない。車のメーターをみると、それでも三十キロ~四十キロは出てる。女の人が走ってるようにも見えない。それなのに少しも追いつけない。運転手はそのことに気付いてしまったの」

「………」

「運転手は怖くなって車のアクセルを思い切り踏んで女を追い越すことにした。五十キロ、七十キロ…車はスピードを上げて、ついに女を追い越した。その瞬間!車はガードレールを越えて崖下へと落ちていった…」

「………」

「『うわあああああああああああ!』運転手は大きな悲鳴を上げる。でも…。『あれ?』想像した痛みも衝撃も感じない。目を開けると、車は峠の路肩に停まっていた。『なんだ、夢か…』運転手はいつの間にか車を停めて眠ってしまったのだろうと、倒れていた座席を起き上がらせた。『!』その瞬間運転手は息を飲んだ。車の目の前にあの女がいる。女はゆっくり振り返りながらこう言ったの」

『いつまで寝てるの?』


「きゃあああああ!」

 詩歌は耳元で聞こえたその声に飛び起きた。急いで辺りを見渡すと、クラスメイト達は不思議そうな顔で詩歌を見ている。

「佐伯さん?どうしたの?」

「い、今、誰か怖い話してなかった?」

 詩歌が言うと、近くにいたクラスメイト達は顔を見合わせた。

「してないよ?佐伯さんったら寝ぼけたんじゃない?」

「は、はは。そうかも。えへへ…」

 そう言うと周囲から笑いが起きたが、詩歌の顔色は悪い。それを遠くから佐羽と雅は見ていた。

「やっぱり、詩歌、変」

「うん…」

 詩歌は二人の視線に気付き、照れたように笑いながら二人の傍にやってきた。

「えへへ、やっちゃった…」

「詩歌…」

 佐羽は悲しそうに言う。

「佐羽ちゃん?どうしたの?」

 詩歌は佐羽の様子に心配気に首を傾げる。

「…ううん。なんでもない。詩歌がドジで悲しくなっただけ」

「うう、辛辣だなぁ。ね、それよりも今日カゲノちゃん見なかったかな?」

「カゲノ…。霧咲カゲノ?」

「霧咲さんかぁ、そいや今日は見てないかも」

「そっか。ありがと。どこかにいるかもしれないからちょっと探してくるね」

「あ、ちょっと詩歌…」

 雅の声は届かず、詩歌は教室を出て行った。

「詩歌、前も霧咲さんを気にしてた」

「そうだっけ?」

「高確率で怪しい」

 佐羽はぎゅっと眉間に皺を寄せる。

「ちょっとちょっと、怪しいてどういうこと?」

「詩歌をいじめているのかも」

「ええ~。それはさすがに邪推ってもんだよ、佐羽さんや」

「でも、怪しい。今度から二人の様子を見張ることにする。雅も協力して」

「いじめてるとは思わないけど、詩歌は心配だからね。いいよ、了解」


 詩歌は校舎中をカゲノを探し歩き、ようやく屋上で彼女の姿を見つけた。

「カゲノちゃん!」

 詩歌は何故かとても嬉しくなって、カゲノに駆け寄った。

「佐伯詩歌、ひどい顔色だな」

「うん、ちょっと…」

「まさか、もう倭文子が仕掛けてきたのか?」

「うーん、どうなのかな。幽霊に驚かされているだけなのかもしれないんだけどね…」

 詩歌は昨日、カゲノと別れてから起こったことを説明した。

「なるほどな。実際に私が遭遇したわけではないから断言はできないが」

 と、前置きしたうえでカゲノは続ける。

「子どもを探していたのはただの霊だろうな。危険性が感じられない。それに引き換え夜に家に来たという方は執拗だ。一度札の力でその場を引いたにも関わらず家の中にまで入って来るとはな…。しかし、私はお前に家中の窓と扉に札を貼れと言わなかったか?」

「う…。うっかり一か所忘れてて…」

「まあ、無事ならばそれでいい。だが、参ったな」

「どうしたの?」

「恐らく夜の出来事は倭文子が低級の悪霊を操ってお前のところへやったのだろう。まさかこんなに早くに行動に出るとは思わなかった。力の戻る早さが思った以上だ。どんなに精神を弱らせられようと心だけは強く持て。さもなくば、操られ命を落とすことになる」

 カゲノの言葉に、詩歌はアンキの部下たちの死にゆく姿が目に浮かび身震いする。

「とは言ってももう随分参ってるようだな。だから低級霊にからかわれたのだろう」

「からかわれた?」

「お前が今聞いた怖い話というやつだ。低級霊たちは人が驚くのを喜ぶ」

「はは、私からかわれたんだ」

 自分が情けなくて詩歌は乾いた笑い声を出す。

「からかわれるぐらいならいいが、それで精神的に参っていては笑い事ではないぞ」

「うん…」

「…。一応言っておくが私は怒っているわけではない」

「…心配してくれてるってこと?」

 詩歌の言葉にカゲノは腕を組んで冷たい目で見る。

「調子に乗りました、ごめんなさい…」

「心配していないわけではない。お前が死ねば倭文子に力が多く戻るからな。そうなれば厄介だ」

「…そっか」

「何故私からどう思われるかを気にする」

「それは、やっぱりカゲノちゃんと仲良くなりたいから、かな」

「以前も言ったがそれはお前の中の白神の、アンキへの想いがあるからだ。霧咲の血が流れている私に似た想いを抱くのも無理はない。だからそれはお前の想いではない」

「血とか、前世とかって関係あるのかな」

「何を言っている」

「確かに私の前世は白神かもしれない。最初にカゲノちゃんが気になったのも白神の想いがあったかもしれない。でも、今は違うよ。私は白神じゃないし、カゲノちゃんはカゲノちゃんだよ。何度も私を助けてくれてる、今目の前にいるのは過去の人でも何でもないカゲノちゃん自身なんだよ」

 二人の間にすぅっと風が吹く。互いの髪が風に舞い、視線が絡む。

「お前の言うことは理解できない」

 先に口を開いたのはカゲノだった。

「でも…」

「私が想わずとも、お前を想ってくれる者はいるだろう。お前の中に私の存在の必要性はない」

「そういうことじゃないよ!」

 詩歌は思わず声を荒げる。

「高澤雅、五百雀佐羽」

「え?」

「ずっといるぞ」

 カゲノが目線をずらした先に、屋上のドアの隙間からバレバレにこちらを覗き込む雅と佐羽の姿があった。

「二人とも、何してるの…」

「お前はお前を想う者のことだけを考えていればいい。私はもう行くぞ。倭文子の居場所を一刻も早く突き止めねばならない」

 カゲノはそう言うと屋上のドアを開けた。雅は懸命に知らない振りをして佐羽はじっとカゲノを睨み付けていたがカゲノは全く気にかけずに階段を下りて行った。その姿を見送ると、二人は詩歌の方へとやって来た。

「詩歌、大丈夫?」

 佐羽は心配そうに聞く。

「へ?何が?」

「霧咲カゲノにいじ…」

「たぁーーー!ストップストップ!」

 言いかけた佐羽を雅が大声で遮る。

「いじ?」

 詩歌は不思議そうに首を傾げた。

「いやぁ~、霧咲さんっていーじーいーじー…良いじいさんに人気ありそうだよねって話してたの!」

「良いおじいさん?」

「そ、そ!」

 強引に話を捻じ曲げた雅の袖を佐羽は恨めし気に掴んだ。

「なんで邪魔するの」

「詩歌を見守り隊を結成したでしょ!こっちから余計な口挟まないの!」

 小声で何やら揉めだした二人を横目に、詩歌は切なげな表情で空を見た。

(カゲノちゃん…)







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