ゼッフル粒子
「そんなの簡単だ
ゼッフル粒子を作りればいい」
「ゼッフル粒子?」
「知らないのか。
かのジークフリード・キルヒアイスが同盟軍首都星ハイネセン守護にも
使われているアルテミスの首飾りを一掃したゼッフル粒子を」
「キルヒアイス?」
「知らないのかあの名作を」
「なんだ、また銀英伝か」
「政治家なら見ておくべきだ。
民主主義のあり方が詰まっている」
「30年前のアニメだろう?」
「甘いな。
今また週刊ヤングジャンプで連載されている。
それだけ、ファンが多いんだ」
「藤崎~」
太田はうんざりしたのを表にして言った。
「真面目に話しているんだぞ~」
「だから言っているだろう。
名探偵にお任せあれ、と」
藤崎誠は名探偵である。
看板にも『名探偵藤崎誠事務所』と描いている。
与党政治家の太田といつものバーで飲んでいる。
二人は官僚時代の同期だった。
「あのなあ、藤崎~
どうやってあのテロリストの、原理主義の国を鎮圧するかだ」
太田は日ごろ頭を悩ましているテロ問題を藤崎にぶつけた。
「だからゼッフル粒子を開発するんだ」
太田は顔をしかめた。
「ところでゼッフル粒子ってなんだ?」
「気体爆薬だ。
ストーリー上ではゼッフル粒子を充満させると銃火器は使えなくなるんだ。
もし使うとその気体が爆発するんだ」
「銃が使えない?
じゃあ、どうやって戦う?」
「昔に戻るんだ。
トマホークを振るって、殺し合いをする。
結構凄惨でもう地上波じゃあ放送できないかもな」
「でも、そんなモンできるのか」
太田は首を傾げた。
「今の技術力ならできるだろう」
「じゃなんでアメリカが作らないんだ?」
太田は怪訝な顔をした。
「儲からなくなるだろう。
銃火器が売れないと。
そんなもの軍産複合体が開発するわけない」
「お前、俺を殺す気か?
バレたら暗殺されるかもしれない」
太田は藤崎を睨んだ。
「でも・・・」
太田は微笑んだ。
「もし成功したら、ノーベル賞が取れるな。
命を懸ける価値があるかもしれない」
太田は天井を見上げた。
いやもっと上、はるかに遠い天空を見つめていた。
ヤンジャンを読んでいたら、思わず書いてしまった・・・