世話が焼ける
楽器の調達は宿の主人の手を介して
集めて貰うことにした。
結果、太鼓と笛はすぐ調達出来たがリュートは流石に無理だった。
【俺】(まあ、『音の都』なら簡単に調達できるだろう。キルに頼もうか。)
一通り目処がついたので、パーティに呼ぶ面子に招待状を送った。
【俺】(あんな事があったばかりだから、都の近郊とは言え出て来られるかな。最悪3人でのパーティだな。)
しかし結果は杞憂だった。
夕方になると都より指定した店にゲスト達が到着した。
(流石にキル父とヒロ父は辞退したが、代わりにキルの母が来てくれた。)
さて、主役二人を呼ぶか。
店の者に宿への使いをたのんだ。
「必ず二人とも連れて来るよーに。」
念押しをした。
数分をおいて、二人が到着した。
拍手で迎える。
「本日はお忙しい所、私の身内『セイ』の『精霊おろし』成功祝いと、新なる部下『ヒロ』のお披露目を兼ねた会に出席頂きありがとうございます。
また救出に参加頂いた兵士の方も本日は存分に飲み食いして行って下さい。」
大きな歓声が上がった。
酒と料理が山ほど振る舞われ
『セイ』を囲んで輪ができる。
最初は『おめでとう』の祝詞の嵐に
戸惑っていた『セイ』だが、段々顔が和らいできた。
(良かったな。)
盛りあがったころ
俺は『ヒロ』に外へ呼びだされた。
(こいつも面倒臭いなあ)
【ヒロ】「一体どう言うことですか?」
【俺】「新しい地で家をちゃんと手配するから心配はない。」
敢えてはぐらかす。
【ヒロ】「そんな事ではなく、なんでアレが。。。」
【俺】「旦那の門出に妻子を呼ぶのは当然だろう?」
【ヒロ】「私の気持ちは。。。」
【俺】「意気込みは分かっている。男の意地もな。でも、ヒロが守りたかった者は彼らの幸せだろ?彼らもヒロに会いたがっている。下手な我を張らず行ってこいよ。」
頭を下げヒロは戻った。
やれやれ世話が焼けるやつらばかりだ。