ダルダロス
ダルダロスの質問は続いた。
【ダルダロス】「ところでお前には何か特技はあるのか? 以前どんな職業についていたんだ?」
矢継ぎ早に質問をされる。
【俺】(まるで面接を受けているようだ。)
「何故、そんな事を尋ねるんですか?」
【ダルダロス】「もちろん、能力を持った奴隷はそれなりに優遇されるからさ。高くアピールできれば、同じ奴隷の身分でもそれなりの処遇を受けられる可能性がある。
ましてや、お前は『風のシャーマン』の一族だからな。
今回の件、人ごととは言え、同じ一族の仕業だから、多少罪悪感はあるのさ。ドワーフがみな、あんな奴ら(オルガ)のようなもんだとは、思わないでくれよな。」
どうやら、俺の行く末を心配してくれているらしい。奴隷の身分は変えられないまでも、少しでも良い条件を受けられる様に交渉してくれるようだ。
【俺】(現代人としての知識はコッチじゃあまり通用しそうにないし。。
向こうじゃ働かなきゃ、手にスキルは持てなかったから。あとあるのは。。。コッチで培ったスキルか。)
正直に答えた。
「前いた土地では、学徒であり、知識を習得している途中であった。ゆえにスキルなぞ無いです。
森に住んでいた時には、
獲物を弓で狩ったり、薬草を採取したりしていたので、弓の技術と狩りの技術、草の種類の知識は人並みにはあるかと思います。
魔法はこんな外見ですが出来ません。
習えたらとは思いますが。」
【ダルダロス】「正直だな。自分ができる事、できない事をきちんと把握してる。細かく聞いて良いか?」
【俺】(何を聞かれるんだろう?弓の腕か?)
意外にも食いついてきたのは
『学徒』の一言であった。
【ダルダロス】「と言うことは、算術など出来るのか?」
【俺】「レベルにもよりますが。普通の算術なら苦労はしません」
ダルダロスはニヤリと笑った。
【ダルダロス】「実はだ。お前が奴隷として
贈られた『セツ』と言う貴族だが、炎の国
の者では 無い。炎の国と同盟を結ぶ
『地の国』の外交使節のトップだ。
あの国には奴隷制度はなく、
ゆえに、あまり奴隷制度について
快く思っていない。
ただ、同盟国の制度を批判しない程度の
良識は持っているがな。
そのお屋敷で、雑用する下男が倒れた。
で、代わりを探していたようだが、
他にも子供用に『家庭教師』もまた探して
いると聞く」
「何を言いたいか分かるか?」
「。。。。」
「お前を『家庭教師』として勧めておく。」