言ったな。
その後、『セイ』と『ドラ』とが互いの真名を交換し契約は無事終了した。
この後小一時間ほど休憩を挟む事となった。
【俺】「『ドラ』と言う精霊と『セイ』は契約を結んだようですが、そんなに凄いこと何ですか?」
若い神官に聞いてみた。
【神官】「『アブシードラ』には及びませんが、上級の精霊です。彼女のような逸材の情報が今まで上がってこなかったとは。。。」
【俺】「『アブシードラ』とは?」
【神官』「『ショウ』さまは他国の方でしたね。我が民の国祖『獅子王ユードラス』が従えていたと言われる『風の精霊の王』の名前です。」
【俺】「音の精霊で一番の精霊ってこと?」
【神官】「そうです。言うなれば『伝説級』っていうところでしょうか。巫女級の能力者ですらここ数百年呼び出せていません。噂に過ぎないかもしれません。」
【俺】「いつか会ってみたいものだな。」
【神官】「そうですね」
こいつなかなか良いやつじゃん。
【俺】「話が変わるが、さっき使用した楽器類は特別なものなのかい?」
【神官】「あくまで象徴的なものなので、普通に市販されているものですよ(笑)」
質問はこんなところか。。。
礼を言い、名前を聞いた。
若い神官の名前は『コロ』と言うそうだ。
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一時間たったが始まる気配がない。
どうやら『キルの父』と『高位の神官』が揉めているらしい。
【キルの父】「はじめに聞いた時には問題無いと言ってたはず。」
【高位の神官】「『サモナ』さまより
『他国の者に国の秘密である『音の魔法』を譲り渡すのは国益を害する』と。。。」
【俺】(『炎の国』に国ごと譲りわたす方がよっぽど害する行為だと思うが。。。?)
「俺が引く事で収まるなら、今回は引きます。」
【高位の神官】「そうして頂ければ助かります。」
【キルの父】「儂の顔が立たぬだろう?」
【高位の神官】「先程の少女の代金はいただきません。それで如何でしょうか?」
キルの父を困らせる気は毛頭ないので、それで手を打つことにした。
【俺】「俺が『ここで見聞きした事を再現して勝手に呼びだす』ならいいですよね?」
驚いた顔をした後、『高位の神官』は小馬鹿にした感じで言った。
「いいでしょう、出来るならね。」
【俺】(言ったな。)