精霊おろし
『音の神殿』で『精霊おろし』の準備が整うまで数日かかるとの話しであったので、俺は屋敷掃除をする事にした。
【俺】(『キル一家を救う為』と言う名目はあったが、流石に全ての窓を割ったのは調子に乗り過ぎだよな。)
ガラスはこの世界では高価なものであるらしく、破片を全て集め再利用すると聞いたので
ガラス掃除から始めた。
キルの父親は『使用人にさせるから良い』と
言ってくれたが、ケジメはケジメだしね。
全ての作業が終わったのは
丁度、音の神殿より準備が整ったとの連絡が入る数時間前だった。
【俺】(今後何かの機会に弁償しよう。)
俺は心に誓った。
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『キルの父』に連れられ、音の聖堂に入る。
外観はヨーロッパの聖堂に似た佇まいだが、
中は『風の精霊』をモチーフにした銅像が壁に狭しと置かれており、入ったとたん一斉に誰かに見られている様な錯覚を覚えた。
フードを被っている彼らが、儀式執行人と
言う訳か。
彼らの目が俺に注がれている。
【俺】(『風の一族』の俺が『音の精霊』と『契約』なんて、無礼だと思われているんだろうな。完璧『アウェー』だ。。。』)
【神官】「では、お一方ずつ契約の儀式をとり行います。先ずは『セイさん』貴女から。『真名』を扱う為、関係ない方は退出願います。』
こうして『精霊おろし』の儀式は始まった。