キル回想
■□【キルの回想】■□
音の都の郊外に到着したのは一昨日の深夜だった。『ハリアー』を林の中に隠した後、城門の番屋を訪ねたがこの時間開いている訳がなく閉まっていた。
(さて、どうしよう。)
父親の体調を考えると、城門の開く朝まで待つと言う選択肢は無く、『ハリアー』を使って街中に入る事にした。
街中の庭園まで『ハリアー』で飛び、見つからないようリリースをした。
【キルの父】「番所には明日朝にでも届ければいい。今日は屋敷に帰り休むぞ。」
その言葉に異論があるはず無く屋敷に帰り眠る事にした。
屋敷に着くと、何故だか門柱に明かりがついており、鐘を鳴らすと見た事の無い?雇い人が慌て出てきた。
【キルの父】「誰だ。『ルイッシュ』ではないのか」
【屋敷頭?】「こんな夜遅くどなた様で?」
【キルの父】「ここは儂の屋敷だったはずだが?」
【屋敷頭?】「伯爵様で?城門の門番より、お着の前触れが無かったので失礼いたしました。」
【キルの父】「普通のルートを通らず来た故、門番には会っておらん。明日にでも届けるつもりだ。」
【屋敷頭?】「と言いますと、貴族用の隠し通路をお通りで?こんな夜更けだと
灯りにも乏しかったでしょう。」
【キルの父】「その様な通路のこと良く知っているな。灯りが乏しいどころか人っ子一人会わなかったぞ。」
【屋敷頭?】「とりおさえろ。その男女は逃すな。そこの女も動くな。余計な事をすると、お前の『ご主人様』達に害が及ぶぞ。」
父、母は別々の部屋に連れられ、私だけが残った。
【傭兵】「この女はどうします?やってしまって良いですかい?」
【屋敷頭】「まあ待て、間も無く旦那様が見えられる。判断は旦那様次第だ。
おい下女、我々の言うことを聞いている限りは、『ご主人さま』とお前に手をださない。ただ、変な素振りをしてみろ。奴らにお前を自由にさせるからな。」
『襲われる』その後暫くは生きた心地がしなかった。
それから暫く経った後、玄関の鐘がなる音がした。
【屋敷頭】「お出迎えしろ。粗相の無い様にな。」
入って来たのは。。。
なんと叔父の『イルト』だった。