お主もなかなか。
簡単な打ち合わせを
『ヒロの父』とし、
俺は『セイ』とともに屋敷に行くことにした。
【俺】「『セイ』力を貸してくれ。」
【セイ】「お役に立てるなら。」
【俺】「しばらく『キル』と言う少女を演じて欲しい。『セイ』が巻き込まれている一連の事件の渦中に彼女もいる。』
こうして俺は『セイ』に役割を語った。
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『ガランガラン』
屋敷の通用門にある鐘を鳴らした。
『ガランガラン』
誰かドアの覗き穴から覗く気配がした。
『どなたですか?』
聞き慣れた声がする。
(キルだ。)
【俺】「私は『ショウ』というものです。音の都より、この家の子女である『キルさま』をお連れ致しました。男爵夫人にお取り次ぎいただきたい。』
【キル】「『キルさま』のお帰りですか?
少々お待ち下さい。」
【俺】(キルが話を合わしてくると言う事は、まだキルが本人と敵には悟られていないと言うことか。よし。)
【キル】「お待ち下さい。今ドアを開けます。」
【男】「遠路はるばるご苦労であった。私が男爵家屋敷頭の『マルチル』である。ここの管理を男爵より任されているものだ。」
【俺】「男爵夫人にお取りつぎ願いたいのだが?」
【男】「ここにはいらっしゃらぬ。私の方で『キルさま』は責任を持ってお預かりする。褒賞なら後で宿に届けさせる。宿名を言ってさっさと帰れ」
【俺】「断る。屋敷頭風情が何を偉そうに言っているんだ。俺は『キルさま』に叔母様の所へお届けすると約束したんだ。そうだよな『キル』?」
【セイ】「は、はいっ。約束して下さいました。」
【俺】「なので叔母君と連絡をとって欲しい。若しくは男爵の屋敷へこちらから伺わせてもらう。」
【セイ】「『ショウ』叔母様の屋敷へは私が案内致します。参りましょう。叔父様の屋敷頭に迷惑をかける訳にはいけません。屋敷頭、ご苦労様でした。」
【男】「お嬢様の手を煩わせる訳にはいきません。使いをやって主人の都合を伺って参ります。」
セイもやるなあ。