にっちもさっちも。
その後『ヒロ』は『俺』について語った。
■俺がキルをゴブリンの里から助けだし、キルの両親の元へ連れてきたこと。
■『ヒロ』の話の矛盾点より、『ヒロ』の裏切りを察し未然に防ぐ動きをとったこと。
■そればかりか『ヒロ』の裏切りの原因が『家族の誘拐』ではないかと推察したこと。
■そして今は『ヒロの家族救出』の手がかりを得る為、俺が協力してくれていること。
(敵野営地への襲撃作戦を成功させ、黒幕の一人を捕らえた事や、現在も魔法を駆使し『音の都』の敵アジトを絞り込みつつあること)
などを語った。
最後に
■ヒロの裏切りを知った『キルの父』から『名を捨て、音の都より去ること』を条件に生きる事を許されたこと。
■今回の一件は恐らく音族の上層部が深く関わっていると思われること。(この時、野営地で捕らえた黒幕が『セルク』だったと付け加えた。)
を言い添え口をつぐんだ。
俺はヒロの父親に深々と頭を下げられた。
【ヒロの父】「儂の倅が愚挙を犯すのを止めて頂きありがとうございました。その上、孫と嫁の捜索にご協力頂いているとのこと。いくらお礼を述べてもお礼の言葉が足りません。』
そして、それから
頭を上げると『ヒロ』を睨みつけ
「今の今まで此れ程の馬鹿だとは思っても無かった。」と言った。
【ヒロの父】「自分の家族が助かれば、人の家族の事なぞどうでも良いと?
ましてや、『護衛対象の御一家』に仇なすなど。祖先の霊に顔向け出来ん。。
それに部下が果敢に敵を討ちに行った行為を『事情を知らなかった』の一言で済ますなど。。。」
「名を無くし、行き場が無くなったのも
ある意味己の業だと思え。」
吐き捨てた。。。
「それで、『セルク』はどうした?」
【ヒロ】「。。。もはやこの世のものでは。。」
【ヒロの父】「怒りに我を失なったか。。ここまで愚かだったとは。
生かしておけば、使い道もあっただろうに。」
「妻子の見つかるまでは、猶予をやろう。それ以降はこの家に一切立ち寄る事、そして儂の子として名乗る事は一切許さん。名前を捨てて生きよ。」
【ヒロ】「分かりました。」
そう言って『ヒロ』は部屋を出て行った。
俺は『ヒロ』を追いかけようとしたが
考えがあり、留まった。