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力なき正義
【俺】「俺?」
【ヒロ】「あなた様なら、何とかできる
筈です。」
【俺】(何故『あなた様?』まあ、それはどうでもいいか。
俺には確かに『奴隷契約を消す事』ぐらいなら喜んでやる奴が周りにいる。
でも、多少縁が出来た人、可哀想な境遇にある人、一人一人全て助けるってなるとどうなんだろう。
『俺に全て支え切れるか?』
答えは『NO』だ。
奴隷商売を生業にしている商人や
生きる為に子供を売る両親
それぞれいろいろな事情があるはず。
全て支えきる自信がなければ
生半可に手を出すべきじゃないんだ。
『力なき正義』は混乱しか招かない。
断わろう。)
【俺】「断る」
絶望が娘に広がるのが分かった。