かたじけない
逃げる恐れもないので、彼女の縄をほどいてやり食べものを与えた。
だが、彼女は手をつけない。
【俺】「お腹は減っていないのか?」
【娘】「ご主人さまより先に食べますと
お仕置きを受けますので。」
【俺】「後でご主人様とやらに言っておくから安心して食べたら良いよ。」
言い終えた後、驚いた事に娘は床に這いつくばり、ガツガツ食べ始めた。。。
【俺】「。。。。」
「普通にお食べ。」
【娘】「無能な私めにはこの食べ方がお似合いだと、ご主人さまは仰ってました。」
またふつふつと怒りが込み上げてきた。
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しばらくして、ヒロが一人で帰ってきた。
【俺】「ご家族の消息は?」
暗い顔が全てを物語っていた。
【ヒロ】「奴はあくまで末端で、大事な事は知らされていないようでした。
ここまで。。です。
ありがとうございました」
【俺】「まだ諦めるには早い」
『テイムをした二羽』
『保護した音族の娘』
という切り札がまだある。
【俺】「で、黒幕は?」
【ヒロ】「彼は奪ってはいけないものを幾つか我らから奪っていきました。。なので。。」
【俺】「敢えて聞くまい。」
【ヒロ】「かたじけない。」