事実は事実●
キルは俺に近づくと
抱きしめてきた。
えっ?
ポタリ、ポタリと涙がたれる。
【キル】「今まで、私の、、、私の都合ばかり押し付けてゴメンなさい。
『ショウも』いえ『ショウの方が』
もっと大変な状態だったのに。。。
気づいてあげれなかった。。。
異世界に言葉も分からず、
ひとりで放り だされて、
それでも生きて来たなんて。
寂しかったでしょうし、心ボソかった
でしょう。私『ショウ』が 可哀想で。」
【俺】(事実は事実だけど.、なんか違うな。
客観視すれば『可哀想』なんだろうが
少なくとも俺はそう思っていない。
『生きる』という事だけで精一杯だったから。寂しいとすら感じる余裕もなかったし。
でも、この娘は『俺の為に泣いてくれている』んだよな?
それだけで、なんかこれまでの事が報われた気がする。)
【俺】「でも俺の事、不気味に思わないの?
だって異世界人だぜ?」
【キル】「『ショウ』は『ショウ』でしょ?
なら問題ないです。
薄々勘付いていましたし。
あまりにも、この世界のこと知らなすぎですよ。」
【俺】「期待されているような、英雄ですらないよ?」
【キル】「『ホブゴブリンの村から私を助けだし』、『悪者の手のうちから助けだしてくれ』、『生死不明とされた両親の行方を掴み』
そして今は『私を守ろうとしてくれている』
そんな人を私は、『ヒーロー』って言います。
私は、今後『ショウ』を絶対一人ぼっちにはさせません。例えこの世界がすべて敵に
回ろうとも。」
【俺】「ありがとう。気持ちは受け取っておくよ。 今の『キル』の気持ちとしてね。」
なんか無性にムズかゆく、
そして無性に嬉しかった。