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12:肝試しの話①

 俺、肝試しって今までに3回やってるんだ。

 よりにもよって、霊感が目覚めてから3回。


 初めは小4の頃に、夏休みで子供会のイベントだったかな?

 近所のお寺の墓地を一周するだけなんだけど、もちろん俺は嫌だったよ。

 でも、俺の霊感のことなんか周りは知らないから、肝試しをマジで嫌がる俺をビビリって囃し立ててさー。


 で、売り言葉に買い言葉で、ビビリじゃねーからやってやるよって言ってしまって、後で後悔した。


 でもその肝試し、ペアを作って回るんやつで、そのペアに羽柴がなってくれたんだよ。

 羽柴は参加しないって言ってたのに、俺が心配だからって参加してペアになってくれたんだ。


 嬉しかったよ。

 もちろん、今でも感謝してる。

 ……ただな、一緒に回ってる間は正直すげー怖かった。


 霊じゃなくて、羽柴に恐怖感じてたわ。


 だってさ、俺がちょっとぞくりときて、あ、なんかいるわって思ったら、「うるさい」とか「邪魔」とかを羽柴が呟くんだよ。

 で、羽柴が呟いた瞬間、霊の気配が一気に消えて辺りはサイレントモード。


 ……お前はこの辺り一帯の墓の霊に、既に恐怖を刻みつけて調教してんのかよ。

 さすがに調教まではその頃は思わなかったけど、似たようなことを思って恐怖を感じたわ。


 で、2回目は林間学校でのイベントだ。

 5人くらいでグループになって、そのグループで山の中の細い道の奥にお地蔵さんがあるから、そこまで行ってお供えをして帰ってくるってやつをやったんだ。


 それもぶっちゃけ嫌だったけど、学校のだから子供会のとは違って不参加は出来なかったよ。

 でも羽柴が、肝試しの回るグループは違うけど順番が俺より先だから、何も起こらないようにあらかじめなんとかしておくって言ってくれたんだ。


 その気遣いはすごく嬉しかったけど、俺は去年の事を思い出して、羽柴のグループとその山道に出る霊、頑張れとか思ったよ。


 んで、結果を言うと、幽霊は出てこなかった。

 でも、肝試しは途中で中止。

 理由は、脅かし役の先生を羽柴が回し蹴りというかソバットを延髄に決めてしまい、ノックアウト。

 羽柴さん、やりすぎです。


 しかもそれはビビりすぎてとっさにやっちゃった事故ってことになってるけど、後で羽柴本人に聞いたら、羽柴の奴、幽霊じゃなくて生きた先生だとわかってて延髄蹴りを決めたらしい。

 俺のことを抜きでも、怖がって本気で嫌がる子がいるのに強制参加させた挙句、さらに怖がらせるのが気に食わなかったそうだ。


 気持ちはものすごくよくわかるけど、羽柴のおかげで来年から肝試しはなくなったらしいけど、でもやっぱり延髄蹴りはやりすぎだと思う。

 泡吹いて白目で気絶してタンカで運ばれる身長180越えの体育教師をみたら、やっぱり羽柴に恐怖を感じたわ。


 そして最後が、去年。

 これは肝試しというより、探検か?

 友達に騙し討ちで、強制参加させられたんだよ。


 何か近所で噂の幽霊屋敷に行こうぜーって言われて、俺はずっと断ってたし止めてたんだよ。

 でも、あのアホは俺の言うこと全然聞かなくてさー、自分の家の猫がその幽霊屋敷に逃げちゃったから、一緒に探してくれなんて嘘をついて俺を巻き込んだんだよ。


 そんな嘘を真に受けて、一緒に行った俺もアホだけどさー。

 途中でネタばらししてきたときは、本気で絶交を考えたな。


 まぁ、夜中じゃなくて夕方くらいだったし、霊の気配もなかったからそのままそいつが満足するまで探検して、そろそろ日が沈むから帰ろうとした時、扉が開かなくなったんだ。


 鍵なんてとっくの昔に壊れて意味がなくなってるのは入る時に確認してたのに、扉がビクともしなくなって、開かない、出れないってわかった途端、急に子供の笑い声が響き渡ったよ。

 俺だけじゃなくて友達にも聞こえてたみたいで、ヘラヘラと大丈夫大丈夫としか言わなかったあいつが泣き出して大変だったわ。


 で、その子供は姿を見せないんだけど、俺たちに「遊ぼう、遊ぼう。ずっとここで遊ぼう」とか言うから、これは帰す気ねーなと思って、どうしようかなーと割と呑気に思ってたな。

 その頃にはだいぶ霊体験に慣れてたから、タチは多少悪いけど悪霊というほどの霊じゃなくて、本当に遊んで欲しいだけってのがなんとなくわかったから、呑気でいられたんだけどな。


 遊んでやれば満足して出してくれる可能性は高かったけど、その満足がいつかわからなかったし、パニくってる友達がうざかったしで、どーしようかなーって思ってたところで電話が鳴ったんだ。

 電話の相手は羽柴で、羽柴は「もしもし、ソーキさん? 電話した?」とか聞いてきたよ。


 俺は電話なんてした覚えはなかったけど、その頃はキッズケータイをスマホにしてもらったばっかだったから、多分どっかで操作ミスかなんかでワン切りかなんかしちゃったんだろうな。

 まぁ、いいタイミングだったから、そのまま現状を説明してアドバイスを求めたよ。


 そしたら羽柴、何かスマホを声が聞こえる方に向けろとか言い出して、俺は首をひねりながら言われた通りにやってみたんだ。


 ここで羽柴が呪文やお経でも唱えたら正統派除霊なんだろうけど、あいつは電話で屋敷の子供の霊に向かって言ったんだよ。


「開けなさい。さもなければ、地獄に落とす」


 言われた瞬間、子供はひっ!! って短い悲鳴をあげて、それから気配が綺麗さっぱり消えたんだ。

 扉もちゃんと開いたよ。


 それで羽柴にさ、扉が開いたこととその礼を伝えるついでに、もしかして羽柴も一度くらいこの屋敷に来た? って聞いてみたら、やっぱり羽柴も一回友達に付き合わされて、それでだまし討ちした友達ごとここの霊をしばいておいたらしい。


 羽柴にしばかれても懲りてなかったんかい。

 ある意味すごいガキだな。


 まぁ、そんな感じで割とあっさり解決して、俺と友達は無事に帰ることが出来たよ。

 あのアホは喉元過ぎたら全部忘れて、どうせならもっと探検しておけばよかったとか言い出してたけどな。

 やっぱこいつ一発くらいブン殴ろうと思っていたらさ、「ソーキさん!」って呼ばれたんだ。


 羽柴だった。

 羽柴の奴、ちゃんと扉が開いて出れたって電話で言ったのに、それでも俺のことを心配してくれて、来てくれたんだ。


 俺、スッゲー嬉しかったよ。感激した。

 俺を騙して幽霊屋敷に連れ込んだアホに感謝するぐらい、嬉しかったよ。


 ……まぁ、そのアホは羽柴に「危ないことに他人を巻き込むな!」って言われて、みぞおちに膝蹴りを決められて悶絶してたけど。

 そのせいでちょっとやっぱり、俺は羽柴に恐怖を感じた。


 そうやって何故か羽柴に感謝しつつも恐怖を感じる肝試しをやってきたわけだが、……明日、オカ研で肝試しすることになっちゃった。


 何か俺が肝試し嫌な理由が、霊怖いじゃなくて羽柴怖いになってきてるのが嫌だ。

 今度は何をやらかすんだよ、羽柴。



 * * *



『もうここまでいくと、れんげちゃんがどうのこうのと言うより、そんなれんげちゃんが好きなあんたはマゾじゃないかが不安になってくる』


 次回は、なんか笑える霊体験スレが元ネタの話です。

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