十五郎流 アリとキリギリス
むかーしに自分でホムペを持っていた頃にアップしたやつです。
アリさんは働き者でした。
冬を越すためにと言う理由で、夏の暑い日からせっせと食料を集めています。
反対にキリギリスさんはいつもいつもお得意の音楽を奏でているだけで、全然餌を集めようとしません。
アリさんたちは仲間と一緒には心配になってキリギリスさんを説得しようとしました。
するとキリギリスさんは少しだけ悲しそうな顔をして、
「僕にはその必要はないよ。この音楽が役に立つからね」
と言いました。
それを、たった一匹のアリさんを除き、ほかの多くは馬鹿にされたと感じました。
秋が来ました。
キリギリスさんを唯一心配しているアリさんが、もう一度彼の巣を訪ねました。
するとそこには彼と彼の恋人がいました。
アリさんはその様子を見て
「おめでとう」
と言いました。
キリギリスさんはまた悲しそうな顔をして
「ありがとう」
と言いました。
その次の日キリギリスさんは一人で散歩に行きました。
その途中でアリさんが騒がしく集まっていました。
嫌な予感をしたキリギリスさんはアリさんの群れの中心に飛んで着地しました。
そこには、最後まで彼の心配をしていたアリさんが倒れていました。
まわりのアリさんに訊ねると、みんなは顔を背けます。
倒れたアリさんが最後の力を振り絞ってキリギリスさんに声をかけました。
「私は寿命なんだ。もう死ぬんだ。最後にキミの歌を聞かせてくれない?」
キリギリスさんは涙をこらえながら、笑顔で音楽を奏で、歌を歌いました。
アリさんは笑顔で逝きました。
その様子を見たほかのアリさんは
「アリとしての誇りを失ったひどいヤツだわ……」
と言って巣穴へと帰っていきました。
キリギリスさんはアリさんの身体を背負って自分の巣へと帰りました。
そしてキリギリスさんは自分の恋人にとあるお願いをしました。
そして冬が来て、春になり、また、夏になりました。
アリさんたちは働いています。
キリギリスさんはのんびり歌を歌っています。
アリさんたちはキリギリスさんの怠け癖を注意しました。
するとキリギリスさんはアリさんの前へ来て
「僕も手伝うよ」
と言いました。
アリさんたちは驚いています。
だって、キリギリスさんたちの怠け癖は伝説的なのですから。
それなのに目の前のキリギリスさんは手伝ってくれました。
お礼にアリさんは冬の間の食料を分けてくれるといいました。
しかし、キリギリスさんは彼の親のように悲しそうな顔をしてその申し出を辞退しました。
アリさんたちは不思議でなりませんでした。
ある日、アリさんたちは歌を歌わないキリギリスさんを目撃しました。
それはメスのキリギリスさんです。
変わった人も居るものだと納得したアリさんたちでしたが、大きな身体をしたメスのキリギリスさんをすこしだけ怖いと思いはじめました。
やがて秋が来ました。
もちろんいつものキリギリスさんはアリさんたちといっしょに食料を集めていました。
そこにメスのキリギリスさんがやってきて、オスのキリギリスさんを呼び止めました。
「そろそろ時期よ」
それを聞くとオスのキリギリスさんはアリさんたちに
「ごめん。明日からキミたちを手伝えなくなってしまった。本当に、ごめん」
その様子を怪しいと感じた数匹のアリさんは、ひっそりとキリギリスさんたちの後を追いました。
そして彼の巣につきました。
そこでアリさんたちは、メスに食べられるオスのキリギリスさんを見てしまいました。
彼女達はキリギリスさんたちの言葉を思い出します。
彼らは餌を集めるのを怠けていたのではなくて、餌を集めても意味がないことを知っていたのです。
アリさんたちはキリギリスさんたちに会うたびに声をかけます。
「キミたちはきれいな歌が歌えて良いね」
キリギリスさんたちはアリさんにお礼を言います。
「ありがとう。でも、キミたちが『雪』を見れることにあこがれるよ」
それをアリさんは笑顔で返します。
「私達も全員が雪を見れるわけじゃないのよ。私も雪なんて見たことないもの」
だからキリギリスさんは、夏の厚い日差しの中を働くアリさんを見つめるのです。
そして彼女達の疲れを癒すために夜の間歌い続けるのです。
いつか二人で雪を見れることを願って歌っているのです――
「にじファン」が閉鎖されて、それでも二次小説を投稿してみるという小さな反逆精神。
英雄譚の二次創作物としてFateシリーズがあるのだから、古い作品からの二次制作っておもしろいはずだよー。