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オワリの話  作者: jeris
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オワリの話 ハジマリ

 「動物の心臓が一生のうちに鼓動する回数は決まっている」


こんな話を聞いたことがある。ネズミは体が小さいくて鼓動が早いから体が大きく鼓動もゆっくりなゾウより早く死ぬ……ということらしい。

こんな話をすれば、じゃあ長生きしたければなるべく運動しないで安静にしてるのがいいのでは?という人がいるだろう。これについては日ごろから運動してる人は普段の鼓動がしてない人に比べてゆったりだから結局同じなのだという。


 じゃあ例えばゆっくりになる間も与えないでひたすら激しい運動をしたら人間は死ぬのか?

 まぁなんでこんな話をしたかというと……



今ボクは、今というよりさっきからずっと全力疾走しているのだ


心臓の鼓動はまるでスピードコアのバスのようだし、息をするたびに喉と肺に刺すような焼けるような痛みが走る。というか息もロクにできなくなっている。おそらく一生分の半分くらいの鼓動の回数に達している。走っただけでなにを大げさな……という人がいたらお前もやってみろと言ってやりたい。普段からの運動不足はまぁ否めないが……


 じゃあ止まればいいじゃん!って思ったキミ!甘いぞ!

 人間には走るのをやめられない状況が二つあるのだ

一つは親友セリヌンティウスとの約束を果たさんとするメロスのような場合

二つ目は何かから追いかけられている場合


正直ボクに一つ目のような状況になり得るような人徳はない

まぁつまり二つ目の理由でボクは走り続けている


 ソレは数日前に突如として現れて、世界中の人を喰った。生き残りは少ししかいないと思う。

ソレは欲望に忠実で貪欲でどこまででも追いかけてくる。

ソレから逃げる唯一の方法は標高の高い場所へ行くこと。

これはたまたまボクの住む町が標高の高い場所だったからだ。そしてボクの住む場所より標高の高い場所は世界でもいくつかしかないのである。


 さて今ボクがなぜ走るハメになっているのかというと、山の下に仕事に行ったからである。

分かりやすくいえば、サンプルの回収をしに行ったわけで、サンプルとはソレのサンプルであり、大人のソレからサンプルを取るなど到底無理な話である。つまりボクはソレの死体を見つけみ行ったのだ。

そしてさきほど運よく見つけたのだが、ボクも見つけられてしまったようで……

っとこんな話をしてる間にもうすぐゴールだ。


 鬱蒼と茂っていた森が消え、視界に空が飛び込んでくる。

ここがボクたちの住むトコロだ。

ボクは疲労と安心とで倒れこんだ。やべ……息ができん……死ぬ……

まぁ、これから村の生き残りから賞賛の嵐なんだろうからな。まだ死ねないぜ!


「オウ、遅かったな」

「なにばててるんだ貧弱なやつめ」

「早くサンプルを渡せ」

「あら?どこ行ってたの?」

「おかえりー」


労えよ!!!!!いや、助けろよ!!!!!

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