第88話 ネット地図
店長から聞いた話。
とある悪戯に悩まされたことがある。
予約を受けて嬢を派遣すると、その場所が空き家や更地で誰もいないのだ。
受付時にはネット地図でどんな場所かを確認しているのだが、住宅地のデータ更新は遅い。数年前に物件が取り壊されていてもすぐに反映されるわけではないし、反対に、データ上は更地であっても新築が建っていることもある。地図の確認だけでこの悪戯を防ぐのは難しい。
着信履歴に折り返してみるのだが、「おかけになった電話番号は現在使われておりません」となる。まったく用意周到な悪戯で、対策のしようもない。
そういうことが何度も続くうち、あることに気がついた。
その悪戯が起きるのは、ある送りさんが出勤しているときだけなのだ。
なんでだろうね、と何の気なしに本人に聞いてみると、
「お、俺は関係ないですから。本当ですよ。俺は何にもしてないです。本当ですからね」
青い顔をして、震えながら答えた。
翌日から送りさんは出社しなくなり、それきり悪戯もなくなった。
そういえば、彼は以前に不動産関連の仕事をしていたらしい。
それと何か関係があるのかもね、などと店長は語っていた。
しかし、もう一言付け加える。
「でもさ、一回行き先が墓地だったことがあるんだよね。それもずいぶん古い。俺が地図を見間違えてたのかなあ」




