表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デリヘル怪談 ▓▓恵美さんを探しています  作者: 瘴気領域


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/108

第69話 盛り塩

 店長から聞いた話。

 前任の店長が退職するということで、新しく店長として任命された。

 引き継ぎは順調に進んだが、ひとつだけ奇妙な業務があった。


「神棚の盛り塩ね、絶対毎日取り替えて。忘れると大変だから」


 何が大変なのかと尋ねても「とにかく大変だから」と繰り返すだけでまともに答えてくれない。今どき事務所に神棚がある時点で古風なのだが、オーナーか大家がよっぽど信心深いのかもしれない。大した手間ではないし、素直に了承しておく。


 こうして新店長としての日々が始まった。

 客入りはよく、スタッフや嬢同士の人間関係も悪くない。多忙な毎日を送る。忙しさにかまけるうち、盛り塩の交換のことをすっかり忘れて数週間が過ぎた。


 ある日、出勤して言葉を失った。

 事務所の壁という壁、家具という家具に黒い手形がびっしりと残されていたのだ。泥棒かと思い盗まれたものがないか確認するが、汚されたものは多くとも盗まれたものはなかった。オーナーに報告すると、警察には通報しなくてよいと言う。


 壊れていたものはたったふたつ。

 ひとつは窓ガラス。派手に割られ、人が通れるくらいの大きな穴が空いていた。

 もうひとつが神棚。床に落ち、バラバラになっていた。犯人に何か思うところでもあったのか、御札がびりびりに破られて、小さな紙片がすべて真っ黒に汚されていた。


 盛り塩をしなかったせいでバチが当たったのだろうか。

 反省した店長は、神棚を新調して毎日盛り塩を交換するようにした。

 しかし、そこで異変が生じた。

 出勤すると盛り塩が真っ黒に変色しているのだ。

 最初はたまたま汚れたのだろうと自分を誤魔化していたが、一週間、二週間と続くとさすがに恐ろしくなってくる。前任の店長に連絡をして事情を話した。


『あー、忘れちゃったんだ。ま、過ぎたものは仕方がない。これからは絶対毎日取り替えて。今度こそ大変だから』


 何がどう大変なのかと食い下がったのだが、


『聞いたらもっと大変になるよ。だから僕は……ああ、ダメダメ。とにかく、絶対毎日取り替えてね』


 と、電話を切られた。

 以来、欠かさず盛り塩を交換し続けていると、だんだん盛り塩が変色しなくなってきた。そして、ある時どうしても地元に戻らなければいけなくなり、オーナーに退職を申し出た。

 後任の店長には、もちろん盛り塩の件を引き継いだ。


「神棚の盛り塩ね、絶対毎日取り替えて。忘れると大変だから」

「毎日ですか? っていうか、大変ってどういう……」

「とにかく大変だから。絶対忘れないでね」


 どう大変だと聞かれても、自分だって知らない。

 後事は新店長に任せ、円満に退職した。

 その後、新店長からの連絡はないという。

 連絡先の交換はしていないので当然なのだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ