第51話 本物志向
生成AI、タルパ、イマジナリーフレンドと紛い物にまつわる話が続いて、反対の話を思い出した。
きらりの話だ。
複数の客から総額一千万円以上の婚約指輪を貢がれ、死んだ客からプレゼントされた人形を特級呪物と称してネットオークションで売り払う彼女の話である。
「本物志向」を謳う高級店で働いたことがあるという。
何が本物かというと、コスプレの衣装である。
「■■女子学園」というよくある店名なのだが、オーナーのこだわりで嬢に着せる衣装をすべて本物の女子校の制服にしたのだ。
ラインナップは一流のお嬢様学校ばかり。
どうやって集めたのかと言うと、フリマアプリやネットオークションでこつこつと買い集めたらしい。店を立ち上げたオーナー曰く、「ブルセラショップは偽物ばかりだからダメ」とのこと。どうやって見分けていたのかは知りたくもない。
普通、デリヘルのオプションサービスとして提供されるコスプレ衣装は量販店で買ったペラペラの偽物だ。ところがこの店では、正真正銘本物の衣装で楽しめるということでマニアの間で話題となった。
開店早々、引きも切らない人気店になったそうである。
が、半年ほどで潰れてしまった。
理由を聞くと、コスプレ衣装を保管している待機所で、毎日のように知らない女の霊が目撃されたらしい。それも一人ではなく、何人も何人も。これは、目撃者が何人もいたという意味でもあるが、幽霊が何人もいたという意味でもある。
働いていた女の子の中には、制服に袖を通した途端様子がおかしくなって、白目を剥いて倒れたり、客に暴力を振るったりする者もいたという。
そんなわけで、人気に反してあっさりと潰れてしまったというわけだ。
「なんでだろうね?」ときらりに尋ねると、
「お嬢様学校に通ってた子が、思い出の制服を売らなきゃいけないって相当じゃん。そんなものばっかり集めてたからじゃないの?」と答えた。
ちなみに、仕事中にきらりが着ていた制服は自前だったそうだ。




