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第48話 天井の顔
女の子から聞いた話。
古いラブホテルでの仕事中だった。
客は自称「テクニシャン」の若い男で、ベッドで仰向けになっている彼女の股間に顔を埋めてがんばっている。
男が頑張っている間、適当にあんあんと鳴いているだけの仕事だ。楽だが暇である。天井の模様をぼんやり眺めていると、あることに気がついた。
天井には古風な木目調だったのだが、それがところどころ人間の顔に見えるのだ。暇なものだから、顔に見える模様を数え出す。
これは小さな女の子。これはおじいさん。こっちは結構イケメンだな。あっちの人は猿っぽい。わ、あっちはめちゃくちゃ鼻が長いや……
行為が終わるまでに見つけた顔は合計六つ。
男に名刺を渡し、部屋を出ようとしたときだった。
ひとり足りないよ
背後から客の声がした。
振り返ると、男の顔が別人のように変わっていて、木目みたいにしわくちゃの顔で笑っていた。
それ以来、人の顔に見えるものがあっても決して数えないようにしているという。




