第19話 ■■■サービス
インスタントカメラでの撮影オプションがある。(■■■サービスと呼ばれているが、こういう話で商標名を出すのは気が引けるので伏せ字とする)
デリヘル嬢の写真撮影は基本的にNGなのだが、このオプションを購入すると嬢の写真を撮って持ち帰れるのだ。もちろん手で顔を隠したりはする。
嬢だけで撮る客もいれば、ツーショットで撮る客もいる。
私は写真が嫌いなので受け付けていないのだが、さしたる手間もかからず追加の稼ぎになるので積極的に営業している女の子も多い。
女の子から聞いた話。
ツーショットの■■■に奇妙なものが写っていて、客と一緒に悲鳴を上げた。
寄り添わせた肩にかぶさるように、小さな人の形が透けていた。
ぽちゃっとした胴体。
短い手足にむくんだ指。
ふやけてしわくちゃの顔。
泣き叫ぶように開いた歯のない口。
腫れぼったいまぶたで閉じた、ダチョウみたいに大きな眼球。
嬰児のようだった。
真っ先に水子を連想するが、彼女に堕胎の経験はなく、男の方も心当たりがないという。
恐ろしくなった二人は連絡先を交換し、連れ立ってお祓いを受けに行った。店外デートは禁止されていたが、事情が事情だけに店も了承した。
どういう巡り合せか、それがきっかけで二人は交際を開始し、結婚することになった。嬢と客の結婚は珍しいことではあるが、まったくないわけでもない。
幸せな新婚生活だったが、妊娠し、予定日が近くなった頃から男が豹変した。
暴力を繰り返すようになり、せっかく授かった赤ちゃんも九ヶ月で死産してしまったという。
それをきっかけに離婚して、結局この業界に復帰してきた。
「この男には近寄るなって、赤ちゃんが未来から警告してくれてたのかもしれない」
涙を浮かべながらしみじみ語る彼女に、「そもそも赤ちゃんが写らなければ結婚しなかったんじゃ」とは言えなかった。




