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第14話 人形①
女の子から聞いた話。
その日に呼ばれたアパートの一室は、大小さまざまの美少女フィギュアでいっぱいだった。
みんなベッドに視線を向けていて、さすがに気味が悪い。
お客さんにお願いをして、棚にタオルなどをかけて隠してもらった。
行為の最中、一体のフィギュアからタオルが落ちた。
高さ50cm以上の大きなものだ。
二次元を無理やり立体化した大きな瞳がこちらを見つめる。
客はため息をつき、フィギュアの頭を反対に捻った。
女の子はぎょっとして「いいんですか?」と尋ねた。
客は「いいのいいの、推し変したから」と気にした風もない。
帰り道、送りの車が追突事故に遭った。
むち打ち症になってしまい、1ヶ月ほど仕事を休むことになってしまった。
「恨む相手が違うでしょ……」
復帰した女の子はしきりにそう愚痴っていた。




