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第97話 バスルーム
女の子から聞いた話だ。
その日の客先は広いバスルームが売りのラブホテルだった。浴槽は二人で入っても余裕があり、ジャグジー機能などもある。ロングの客で時間の余裕もあり、アメニティの入浴剤を使って泡風呂にして戯れていたときだった。
すうっと、バスルームの引き戸が開いた。
ぎょっとするが、開いた向こうに誰かがいるわけでもない。
一体何だったんだろう、建て付けが悪いのかもね、そんな話をしながらドアを閉め直して長湯の続きを楽しむ。
バスルームから出て、息を呑んだ。
バスルームの出口から、カーペットの上を濡れた足跡がベッドに向かって点々と伸びている。ベッドは泡まみれで、掛け布団が不自然に大きく膨らみ、ゆっくりと上下していた。
彼女と客は顔を見合わせ、一言も発せないままチェックアウトしたという。




