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神なのにカリスマ皆無!?~祓い神総括の風鈴ですが、今日も仕事は完璧です~【上】

神の上に立つ神は、人間の上に立つ人間のようにもちろんカリスマ性が備わっている。天照なぞ言わずもがなカリスマを持っていた。祈られ、称えられ、羨望される存在ーー


神様会議に出席する八柱はもちろん皆、壮絶なカリスマを持っていた。廊下を歩けば黄色い悲鳴。出陣しても黄色い悲鳴。演説なぞしようものならほとんどの神々が集まる。


しかし、風鈴。こいつだけは何故かカリスマ性がないらしい。



「・・・」



ある日、風鈴はいつも通り誰よりも早く神様会議の場である会議室に来ていた。

しかし何処か不機嫌そうに見える、机に顎を置き頬を膨らませ、むすっとした顔をしている。そこへやってきたのは、八意(やごころ)、天気の神だ。

不機嫌そうな風鈴を見るや否や



「どうした、不機嫌そうじゃないか」



椅子を引き、席に座りながら問いかける。風鈴は頬を膨らませたまま答えない



「・・・?」


「なんで」


「お?」


「なんでうちだけモテへんのやーーーー!!!!」



ようやく口を開いたかと思えば、そんなことを言う。しかも足をバタバタさせながら。八意も思わず笑ってしまった。



「何わろてんねん」


「そんなことか。と思ってな」


「深刻だぞ!!」



腹を抱えて笑うその姿さえ絵になる八意は、もちろん壮絶なカリスマを持っている。例えば・・・



「きゃ!見て見て!!八意様が今日は高天原に来てるよ!」

「え!?どこどこ!?・・・あ!ほんとだぁ!今日も麗しい・・・」

「会議かしら?真剣に討論している御姿ッ!・・・はぁん!ス・テ・キ」

「あ!八意様が行っちゃう・・・」



高天原に来るだけでこんな会話は当たり前



「あ、あの!八意様!」


「なんだ」


「これ、作ったのでよろしければ!!お、お口に合うとよろしいのですが・・・」


「くれるのか?ありがたく頂戴する」



頬を染めて八意に自作の食べ物を差し出す女神。これも日常茶飯事な光景だ。笑顔はないものの、その言葉に偽りはないので、それにトキメク者が多いらしい。



「なんでなん・・・なんでやねん・・・」


「よしよし」


「こんにゃろう」



キッと睨む、そんな事をしているうちに次は宇迦之御霊神(うかのみたまのかみ)が来た。豊穣の稲荷神だ。



「あぁ!!!八意ぉ!ふうちゃんを虐めてるな!!ゆるさん!」



稲荷神は手に力を込め力を凝縮する。気合玉のようなものが完成し、八意めがけて発射した。



「まてまてまて!誤解だ!」



慌てて弁明する八意、しかし一度放たれたものは戻らない。寸でのところで障壁を展開し、なんとか防いだ。稲荷神はチッと舌打ちをする。



「じゃあなんなんですか」


「まあ聞けよ。風鈴がモテないって嘆いてるんだよ」


「こいつッ!」



稲荷神は、きょとんとした顔をした。しばらくすると笑いがこみあげてきてケラケラ笑う



「えー?ふうちゃんがモテないなんて事はないよぉ!ふうちゃん可愛いし、かっこいいからモテモテだよ!」


「うかちゃぁん・・・しゅき・・・」


「私もふうちゃん好き~!」



二柱で抱き合う。まるで女子高生のような会話の軽さだ。稲荷神は風鈴に抱き着きながら、八意にどや顔をかます。しかしこの稲荷神こと宇迦之御魂神も壮絶なカリスマを持っている。例えば・・・



「おい!宇迦之御魂神さまだぞ!!今日も愛らしい・・・」

「あの御耳に触れたい・・・」

「可愛い・・・好き、最高・・・」

「え!?今絶対こっち見た!見たって!!」

「私も狐になりたい」



は当たり前で



「ねぇねぇそこの君!これ良かったあげる~」



と、なんとなく持ってきた菓子を差し出せば、相手は喜びのあまり気絶する。それに気づいた風鈴は勢いよく稲荷神から離れた



「ウカチャン・・・モテル・・・」



どこか悲壮な空気を漂わせる、稲荷神は素直に嬉しそうだ。そうかな?と言うのでそうだよ!と返せば少し頬が火照りさらに嬉しそうにした。こういう所なのだろうと心の中で思った。


次に来たのは恵比寿と火雷神(ほのいかづちのかみ)だ。恵比寿は漁業や幸運の神。火雷神は雷と武の神だ。いうまでもなく壮絶なカリスマを持っている。



「うっわ」


「なんだ会って早々うわ。とは」


「ほほほ、何か悩み事かな?」



恵比寿にはお見通しだ。またもや面白がる八意が説明をする、二柱も笑う。



「わーらーうーなー!!」


「心配せんでも、お前はしっかりカリスマがあるぞ」



笑いながら頭ポンポンをしてくる火雷神。その手をバシンと払い除けると、再び不貞腐れた。

ガチャンと扉が閉まる音がした、皆一斉に振り返る。志那津比古神(しなつひこのかみ)と、菅原道真だ。志那津比古は風神、道真は学問の神である。



「どうしたんです。皆揃いも揃って」


「あらあら、ふうちゃんがしょぼくれてる~どうしたのかにゃ~?」



頬をツンツンと突く。風鈴はさらに膨れていく。二柱も状況を理解するところころと笑うのだ。



「そんなの杞憂ですよ、ねえ志那津比古」


「えぇ、貴女は祓い神統括なのですから」




やがて天照と月読も揃い、会議は幕を開けた。

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