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天照、本気出す?

今日は、高天原一大イベントである集会の日だ。


この日は、普段前に出ない天照が、自ら前に出て、今までの八柱会議で決まったことなどを伝える。


高天原に住む神々で集会に出席しないものは多くない。

皆必ず来るのだ、そう。天照大御神の御姿を一目見ようと、その御声を拝聴しようと。

その命を狙おうとー




「明日集会を開く。皆正装で来るように」




神様会議の最後にそう伝えられた。天照が大衆に声を挙げている時、月夜見含む八柱は横に控えている。天照から向かって右に3左に5だ




「着替えるのめんどいなぁ・・・」


「私がやろうか」


「ほんま!?」


「うん!」



風鈴が思った事を口にする、稲荷神がそれに対して風鈴を甘やかす。

恵比寿は和やかに二柱を見守り、道真は稲荷神をたしなめる



「ほほほ、よかったのぉ」


「あまり風鈴を甘やかさないように・・・」


「いいじゃん、これくらい♪」


「いいじゃーん!」




次の日、真っ白なドレスのような着物に、羽衣、天照の属神であるという印の天照の冠に似た冠を付ける。髪型はいつもの三つ編みお下げ・・・ではなく、女将さんスタイルだ




「うむ、揃ったな。では参ろうか」




一度、会議室に集まってから集会場に行く。まずは八柱が入る。そして最後に天照。会場に入ると既に、高天原に住む神々は集まっている。遠い先まで神で埋め尽くされていた




風鈴、風神、 稲荷神の女神達は手を前で束ね目を閉じる。

月読、火雷、八意、恵比寿、道真の男神達は手を後ろにし、足は肩幅に顔を上げ目を光らせていた



やがて、天照の御言葉がここら一体に響き渡る


話し始めてしばらく経った刻



(いるね)


(どうする?)


(様子を見ましょう)




稲荷神が何かを感じ取ると、思念で二柱に話しかける。

集会に集まるのは皆天照に夢中、という訳では無い。反対勢力はもちろんの如くいる。そのような不届き者は天照が公に姿を現すのを狙い、殺そうと企てるのだ。


天照は滞りなく、話を続ける。



(男の子達が目を光らせてるから大丈夫だとは思うけどぉ)


(でも毎回手口が巧妙になってないですか?)


(正面からやなくて、これは暗殺やな。臆病者め)



八柱の間にピリピリと張り詰めた空気が漂い始めた。

八柱がすぐ側に控えているのはこういう事だった。今まで成功した例はない。全てこの神達の前では無策に等しいのだ




(火雷だ、正面に1つだな)


(八意、奥に3つと左側1つ)


(顔に見覚えがありますね、きっと集団でしょう。ざっと10名は潜んでいるかと・・・あ、道真です)


(風鈴、建物内に2つ)




八柱間で情報共有が始まった。気配を見つけた者から次々と報告が上がる。

風神が何かを感知したようだ。




(む、神力の流れを感知。姿隠しの術を施してますね。恵比寿、視えますか)


(視える者もおるが、ふむ・・・この違和感はなんじゃろうか)




天照と月夜見以外の全員が意識を集中させる。探っている事を悟られないように、殺気を漏らさないように




(毎度毎度懲りずに・・・あと何回殺せばええんやろね)


(気を抜くな)


(はいはい・・・・・・・・・あ、)



八意に諭された次の瞬間、風鈴の脳天に重い衝撃が走った。グラリと視界がズレ風鈴は前方に倒れる。

気配が月読の方へ移ったのを感じた。




「月様伏せて!!」




風鈴は頭から血を流している、案の定月夜見を狙っていたようだが、風鈴が叫んだ事により未然に防がれた。


攻撃は見えず、気配を感じ取れなかった。何故なのか思考を巡らせる。

何か鈍器のようなもので殴られた。

風鈴に傷を付けられる神は限られているが、その神達は今目の前で、静かに天照の話を聞いている。


となると、それが可能なのは霊具と呼ばれるものを持つ奴らだ。



「ふうちゃん!大丈きゃっ!?」




隣に立っていた稲荷神が我慢できず、倒れた風鈴を起こそうとしゃがむ寸前、稲荷神の首に、何かが飛んできた。

それは首輪のようなもの、首に繋がれる。

火雷神も短い悲鳴をあげた、向こうも首輪に繋がれたようだった。


力を抜けていく。引っ張っても取れないどころか首輪は締め付けがきつくなっていく。

火雷神が首輪に炎を纏わせた



「きゃあ!?」



すると稲荷神の首輪も同時に燃えた。これはまずいと思った火雷神は、慌てて火を消した、大事には至らなかったがどうやら連動しているようだ。



今度は風神に氷柱が飛んできた。それを軽く風で弾く。流石の風神も目を開けざるを得なかった



「気をつけろ、相手は霊具を持ってるぞ!!」



霊具とは、持つ者の力を格段に飛躍させる道具であり、あの天照にすら傷を負わせる事が可能な代物だ。


八意が周りの健在な神に注意を呼びかける。しかし、次の瞬間、菅原道真 そして 恵比寿も風鈴と同じく見えない奇襲を受けて倒れてしまった。




「残ってるのは、私と八意、そして月夜見様。相手は霊具持ち・・・一体どこで仕入れたのでしょうか。我らを倒せる程の霊具を・・・・・・探る必要がありそうですね・・・」



唯一、天照含む九柱に特別効く攻撃がある。

それは霊具での攻撃。天照含む九柱には、そこらの霊具では効かないが、高い神性を誇る霊具ほど、上位の神に相対せる。


そのような代物は簡単に手に入る物でもないし、数も多くは無い




「姉さんを守ります。2人に任せても?」


「任せてください」


「背中預けましたよ、八意」



「うっ・・・みん・・・な・・・・・・・・・今回復・・・を・・・」



二柱が刺客を相手取っている間、風鈴は這いずって倒れた菅原道真と恵比寿に近づく。

風鈴は癒す事も得意なのだ、しかし霊具のせいか傷の治りが遅い


道真と恵比寿の手に触れる。二柱の傷を癒すが依然として回復が遅い。

そんなこんなしてる間に八意と風神がやられてしまった




「天照様・・・・・・月夜見様っ・・・・・・・・・逃げて」


「すみません・・・・・・予想以上に敵が多い・・・・・・まるでハエのようですね・・・」



稲荷神も火雷神も使い物にならない。

恵比寿も菅原道真も風鈴が回復しているものの、風鈴自身も怪我を負っている為か追いつかない。




「志那津比古!八意!!」




天照をただ一柱で護るため結界を張っている月読はそこから動けない。

二柱が倒れた事により、高天原ナンバー2である月夜見の結界すらも容易く壊し、頭部を霊具で殴る。

月読は、倒れそうになった所を片膝をついて耐えたが、かなり辛そうだった




「・・・・・・・・・すまぬ、皆の者。ワシの話を静かに聴いてくれて感謝する。一旦話を止める。」



後ろで戦闘が繰り広げられていても気にしなかった天照が八柱が倒れた事によりいよいよ口を止めた




「姉・・・さん・・・・・・」


「ほう、この八柱を戦闘不能にしたか。中々やるなぁ?しかし霊具を使わねば倒せんと・・・?

片腹痛いわ、己が実力で来いって、霊具に頼るしか脳がないやつめ」



天照は、八柱全員に回復を施す。あっという間に元気になる




「ありがとうございます!!天照様!」


「感謝はよい。その首輪も外しておいたぞ」


「ありがとうございます・・・不甲斐ない・・・」


「あとは我々に」


「よい、我がやる」



その言葉に八柱は驚きを隠せない

恵比寿がつい声を上げる。



「しかしそれはっ!」


「久しぶりに頭に来たのでのう。それに牽制にもなるしな」



集会に来た神々もザワザワし始めた。

天照が怒ることなど中々にない。高天原を治める方の実力が見れると、皆目が輝いている


天照が手を前に出すと、一気に会場が静寂に包まれた



「臆病者共め、姿を現せ。この我が直々に相手してやろう、光栄に思え」



天照から言霊が発せられる、相手の意志など関係なく姿が露わになった。八意と志那都比古が削ったとはいえざっと20程いるか




「ふん、我も舐められたものじゃ・・・この程度手を煩わせる程でもない。我らに仇なした罰だ」




目をカッと開き紅い目が輝いた、刹那に不届き者共は火を上げて燃えた。

皆何が起きたか分からない




「ひぇ・・・」


「・・・・・・」


「ぴぇぇぇ」


「コホン・・・」


「お見事です、姉さん」


「・・・・・・オレシラネ」


(心臓キュッ・・・)


「こえぇ・・・」



「では、続きを始めようか」



くるりと向き直る、軽く謝罪をした後何事も無かったかのように話を続けた。民衆もみな肝を冷やしたに違いない。

だって八柱ですら冷や汗をかく程なのだから


そして、八柱もまた、二度と同じような事が起こらないよう、油断はしないように心がけた。


今日集会で起きた事は、高天原中に知れ渡ることになる。これで天照の命を狙う不届き者は減ったに違いない

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