表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/52

剣聖と近衛騎士が模擬戦をすることになりました

な、なんで、皇太子がここにいるのよ!


私は叫びたかった。

それにあいもかわらず、歯の浮いた台詞言ってくれているし。

ここにいるということは碌なことではない気がする。


「お会い出来て光栄ですわ」

私は理性を総動員して、言ったのだ。

顔がひきつっていたと、後でトムが言ってくれたけど、そんなの当たり前でしょ!


皇太子は手を差し出してきたんだけど……

ええええ! 私をエスコートしてくれるって言うの?

こんなの他の貴族令嬢達に知られたら、なにされるか判ったものではないじゃない。公爵家から追い出された私と政略結婚しても仕方がないし、何がしたいんだろう?

一番考えられるのは、美人局だ。初な私に優しい言葉をかけて、騙して婚約させて、ゲームのように婚約破棄。私を公爵家に引き渡して、公爵家に恩を売って、そのついでに今売り出し中の傭兵バスターズを取り上げる。私がいなくても、皆優秀だから、帝国の1個師団くらいの役には立つ。こんなところかしら。

ゲームにはなかったけど、私は悪役令嬢なんだから、皇太子が代わっても、フラグはありそうだ。

私はムッとした。いくら箱入り娘だからって、皇太子の胡散臭い笑みには騙されないわよ!


私は咄嗟に後ろにいた、セドの手を取ったのだ。

「さあ、セド、行きましょう」

「えっ、お前は、皇太子にエスコートされたら、ギャー」

余計なことを言うセドの足を思いっきり踏んでやったのだ。


「お、お前! 後で覚えていろよ!」

「良いから、今は私をエスコートして!」

涙目で文句を言うセドに、私が襟首を掴んで引きつけて必死に頼んだのだ。

「それが人に物を頼む時の態度か?」

セドが怒って言ってくれるが、

「あなた、女の子の弱みに付け込んでそんな事言うの? 最低!」

そう涙目で言ってやったのだ。


これは効果てきめんだった。セドには良くは思われていないと思うけれど、私もオレオレ詐欺のかけ子で色々演技を磨いたのだ。いくら嫌っていても可愛い女の子の涙目は、多少セドにも効果があったらしい。

セドは眉を下げたが、

「えっ、でも、皇太子はとても不機嫌そうだぜ」

と言ってきた。皇太子がなんで機嫌が悪いか私も良く判らなかったけれど、元々この皇太子は何を考えているか良くわからないのだ。

なにか弱みを握って私からこの傭兵バスターズを取り上げるつもりなんだろう。


「前の皇太子の廃嫡に私が噛んでるから、何か仕返しがしたいのよ」

私は適当に理由を見繕った。

「本当かよ?」

「私とちゃんとやってくれたら、私に対して無礼な態度取った事を全部許すわ」

信じてなさそうなセドに、取引条件を持ち出す。

「えっ、でも、それはこの前大聖堂治すのでチャラになったんじゃ」

そうだった!

でも、ここは誤魔化すのよ!


「それはスカートの中を見たことよ」

「おい、ここで余計なことを言うな」

なんか皇太子の目が鋭く光ったのを見て、セドは私の口を塞ごうとした。私が笑ってかわす。


「その彼は誰かな? キャロライン嬢」

皇太子が鋭い視線をして聞いてきたのだ。


「彼は私の好きな人、いえ、婚約者なんです」

私は最初は彼氏だと言おうとしたが、ここは貴族社会だ。婚約者にしたほうが良いだろう。


それを聞いて皇太子が固まった。

「「「ええええ!」」」

全員ガン見で私とセドを見るんだけど、団員は皆変な顔をしている。

やばい!

ここはエイッとセドの足をまた思いっきり踏んだ。


「ギャッ」

足を抑えてセドが叫ぶ。

私は必死にセドに合図する。

「お前な! 後で覚えていろよ」

セドが呟いているが今は無視だ。それに後でなんて、都合の悪い事を覚えている訳ないでしょ!


「そんな、セドとキャロライン様が付き合っていたなんて」

涙目のエイブがいるが、ここは皇太子フラグを折るためには、仕方がないのよ。エイブには後で謝ることにして、


「殿下。彼が我が『傭兵バスターズ』のエースのセドリック・バースですわ」

私が皇太子に紹介したのだ。

「我が別荘へようこそ、セドリック」

皇太子はセドに手を差し出した。セドがそれを握る。

「私はあまり記憶が良くなくて、バースというような貴族家が、この大陸にあったという記憶がないのだが」

皇太子は何か嫌味を言ってくれた。

私はその言葉に完全にプッツン切れたのだ。

傭兵は地位名誉よりも、全ては実力なのだ。

帝国のボンボンの軍隊じゃない。


「殿下。我が傭兵団に身分は関係ないですわ。力が全てですから。彼の能力はあなたの後ろに付いているお飾りの近衛10人分以上の実力がありますわ」

やんわりと私は皇太子に言ってやったのだ。


「何だと」

「生意気な」

途端に後ろの近衛連中がいきり立つのが判った。


「殿下、その後ろの元剣聖と是非とも勝負させて下さい」

近衛騎士達が声をあげ始めたのだ。


これは良いことだ。


「良いですわよ。我が傭兵バスターズのエースが帝国の近衛風情に負けるわけはありませんから」

私は大見得を切ってやったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

私の二番人気の作品はこちら

『【電子書籍化決定】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


8/26コミックシーモア様で先行配信決定です。
表紙画像

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://ncode.syosetu.com/n6878ix/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ