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新皇太子視点 キャロラインを皇室の別荘に招待しようとしました

「はああああ」

俺は盛大にため息をついた。


ドン

その俺の前にアロイスが大量の書類の山を積んでくれた。

「殿下、ため息をついている暇は無いですよ」

「お前は鬼か?」

俺はムッとして、側近を睨み付けた。


「元はと言えば叔父上が、キャロラインを俺の婚約者にしてくれると聞いたから、俺は皇太子になったんだぞ!」

俺はムッとして、アロイスを睨み付けた。


「それが蓋を開けたら、キャロラインはいないわ、仕事だけさせられるわ、親征すると言えば拒否されるわ、どう言うことだ!」

「まあまあ、殿下、色々と言いたい事もおありでしょう。しかし、我々の思いは往々にして思い通りにはいかないものなのです。とくに皇族ともなると、我を通すのは難しくなるのです」

横から訳知り顔の宰相が言ってきた。こいつはアロイスの父でもある。

親子して、宰相を継ぐつもりなのだろうか?

言うことがうるさい!

しかし次の言葉はいつもとは違った。


「陛下にしたところで、元々、キャロライン様のお母様に心を寄せていらっしゃったのです」

「それは本当の事なのか?」

俺は慌てて宰相に聞いていた。


「左様でございます。しかし、オールドリッチ公爵に横から拐われましてな。その時の陛下の顔がいまだに、忘れられません」

「そうか、叔父上はオールドリッチ公爵に負けたのか。それで公爵に辛く当たっているのだな」

「まあ、左様でございますな。陛下はしばらく公爵に対して含むところがございましたから。でも、陛下は皇太子の婚約者にキャロライン様を希望されたのです」

「そうなのか? でも、皇太子の婚約者はその妹のニーナだったはずだが」

「キャロライン様が嫌がられたときいております」

「なるほどな。まあ、ジークフリートは女ぐせも悪かったからな。普通は嫌になるよな」

俺がキャロラインに同情した。


「その後、陛下は嘆いていらっしゃいました。どちらかと言うと、公爵よりも陛下の方がキャロライン様を気にしていらっしゃるのではないですか?」

「じゃあ、俺の婚約者にキャロラインをしてくれれば良いじゃないか」

俺が宰相の尻馬に乗って言うと、

「だから、それは断られたのではないのですか? あなた様自身が行かれて」

「それはだな」

俺は気にしているところを宰相に突っ込まれてムッとした。

そう、キャロラインがサディ伯爵家の後妻になると聞いて、それを止めに俺はわざわざ俺自身が駆けつけたのだ。

なのに、キャロラインはあまりの事に切れたのか、自分の親と妹を燃やして逃げていったのだ。

そして、キャロラインの怒りを買ったサディ伯爵は消し炭となっていたと報告を受けていた。

俺のキャロラインに手を出すなどもし俺が知ったらその後、市中引き回しの上公開処刑してやったのに!


元々、サディ伯爵は良くない噂があった。俺が捜査を着手しようとした矢先にキャロラインが乗り込んでくれたのだ。


その功もあり、サディ伯爵領はキャロラインの領地としたのだ。


そもそも俺の所に回って来たキャロラインとサディ伯爵の婚姻届けなど、見た瞬間、俺がプッツン切れてその場で燃やしてしまったのだ。


後で宰相とアロイスの二人がかりで説教されたが……


俺が認めるわけはないだろう!


俺がどさくさに紛れて出した俺とキャロラインの婚姻届けは宰相によって却下されたが、元々、俺はキャロラインと婚約できると思って皇太子を引き受けたのだ。

それが出来ていないのに、何故皇太子をやらないといけない。


俺も皇太子を廃嫡されたいくらいだ。


「そうだ。文章偽造で廃嫡してくれ」

そう、宰相に頼むと、

「殿下。それでなくても忙しいのです。オールドリッチ公爵からは今回の古代竜の損害賠償請求がきているのですぞ」

「倍にして返してやれ。元々、失敗したのはキャロラインではないか」

「そんなことしたら公爵はキャロライン様に請求しますよ。また、皇太子殿下の株が下がると思いますが」

俺の発言にアロイスが反論してくれた。


「それもそうか」

俺はそれを聞いて机に突っ伏した。


「殿下、高々一人の女に相手にされないくらいで落ち込まないでくださいよ。女ならいくらでもいるではないですか」

アロイスが言ってくれたが、


「要らん。キャロライン以外の女など興味もない」

俺はブスっとして呟いた。


「そう言えば、殿下、バーミリオン湖に幽霊が出るそうですぞ」

宰相がいきなり話題を変えてくれた。


「それがどうしたのだ?」

俺は突っ伏したまま流した。

「いや、あのあたりには皇室の別荘があったなと思い出しまして」

「休みを取っても良いのか」

俺は本当に興味がなかった。

この書類の山の前に休みが取れるとも思わなかったし、休んで何になるのだ?


「いやあ、バーミリオン湖は避暑地ですからな。なんでも傭兵たちもよく遊んでいるとか。そう言えば近くでアマテラスを見たという報告が上がっていたような」

「本当か」

俺はそれに食いついた。


傭兵バスターズの飛行船アマテラスがいるならば、キャロラインもいるはずだ。

俺は絶対にキャロラインに会いたかった。

それに今回のシュバイツ王国の不始末を処理してくれたのもキャロラインだ。

会う理由はいくらでもあるだろう。


「判った。この書類をすべて処理すればいいのだな。徹夜してもやり上げる。アロイス。傭兵バスターズの面々を何としても別荘に招待するのだ」

俺は俄然やる気になったのだ。


キャロライン、待っていろよ。今度こそ絶対にお前をものにしてやる。

俺は心に決めたのだった。



ここまで読んで頂いて有難うございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
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