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諸悪の根源の大司教に天誅を下すことにしました

俺はカジノが燃え上がるのを俺は飛行船のロープを掴んで唖然と見ていた。


飛行船はどんどん上がっていく。

俺は何の気なしに、ひょいと飛行船を見上げたのだ。

本当に悪気があったり、いやらしい気持ちなんかなかったのだ。


俺の上には厄災女がドレスのまま、ロープを掴んでいた。そう、風になびいたスカートの中の白いきれいな足とピンクのパンティがはっきりと見えたのだ。


「えっ!」

俺は思わず声を上げてしまった。


「んっ」

俺の上から厄災女が見下ろしてくれて、俺と目があった。


「キャーーーー、変態、何見てくれているのよ!」

厄災女はスカートを抑えて、思いっきり俺の頭を蹴飛ばしてくれたのだ。


「痛い! やめろ、落ちる、落ちるから」

「痴漢! エッチ! 変態!」

俺はロープで引っ張り上げられる間中、厄災女に喚き散らされて蹴られ続けたのだった……




やっと引き上げてもらって飛行船の艦橋に連れて行かれた俺は針の筵だった。


「本当に最低。私の下僕の分際で、下から私のスカートの中を覗き込むなんて!」

キャロラインは本当に怒っていた。


「いや、悪かったって。わざとじゃないから」

「何言っているのよ。下から見たら見えるに決まっているでしょ! 痴漢、エッチ、変態!」

怒ったキャロラインは俺に喚き散らしてくれた。

「いや、だから」

「ふんっ、絶対に許さないんだから」

キャロラインは膨れてくれた。思わず可愛いと思ってしまった俺がいて、俺は首を振った。

相手は厄災女なのだ。そんな訳はないはずだ。



「俺はトム、このバスターズの会計をしている」

俺に最初に声を賭けてきたトムがキャロラインが無視しているので、仕方無しに自己紹介をしてくれた。

「セドリックだ。セドと読んでくれ」

「判った、セド」

俺達はとりあえず握手をした。


「そして、こちらがこの飛行船、『アマテラス』号の執事をしてくれているダニーだ。」


「ほっほっほっほっ。いきなり、お嬢様の下着を見るなど、積極的な御仁ですな」

ダニーがそう言って手を差し出してくれた。


「ダニー、笑い事じゃないって、俺は危うく、蹴落とされるところだったんだから」

握手を返しつつ、俺が文句を言うと、

「落ちればよかったのよ。変態!」

まだ怒りが収まらないみたいで、キャロラインが言ってくれた。


その横で頷いている侍女の格好をしている女がいた。

「彼女が侍女のエイミーだ」

「セドリック・バースだ」

俺は手を差し出したのだが、なんかとても汚いものを見るように俺を見るとエイミーは主人のキャロラインを真似て明後日の方を見てくれた。

これは親しくなるのに時間がかかりそうだ。

別に親しくならなくてもよいが、今後この傭兵団で生きていく上ではできる限り早く仲良くなるに越したことはない。


「嫌われたもんだな。俺は機関士のリックだ」

中年の親父が俺に手を出してくれた。

「よろしく、リック、セドリックだ」

俺はその手を握り返した。

「あれ、あの胡散臭いディーラーは」

「ああ、あいつは商人のボンズだ。この船には乗っていないが、また会うこともあるだろう」

トムが教えてくれた。あの男はドサクサに紛れてカジノの外に出たらしい。


「で、お嬢様。彼が我がバスターズの騎士になってくれたのですな」

「いや、俺はその女の下僕になったとしか聞いていないぞ」

ダニーの質問に俺が否定すると、


「そうよ。この変態は下僕よ」

俺の言葉に厄災女は頷いてくれたんだけど。


「お嬢様、下僕などと、彼は元剣聖様ではありませんか」

嗜めるようにダニーが言ってくれるんだけど、


「フンッ」

まだ、キャロラインの機嫌は直らないみたいだ。

「いやあ、本当に悪かったって」

「謝って済むなら騎士はいらないわ」

むっとしてキャロラインが俺を睨みつけてきた。


「まあ、良い」

俺は首を振った。


「俺は仲間になるのはやぶさかではないのだが、一つだけ頼みがある」

「はああああ! あんた、自分の立場が判っているの? 私に賭けで負けたんだから私の下僕になったんでしょう。それがお願いって何よ」

ムッとししてキャロラインが文句を言ってきたが、


「いやまあ、そうなんだが、俺は大司教のエインズワースだけは許したくない。今回の横領も元々あいつが黒幕だったんだ。俺はこの後どうなってもいいので、あいつをやっつけるのに協力してほしい。俺はあいつを信じて、せっかく横領のことを教えてくれたフィンズベリーを結果として売ってしまったんだ。あいつには家族もいたはずだ。その家族のためにも仇を討ちたい。頼む。この通りだ」

俺は皆に頭を下げたのだ。


「ええええ! 聖教会の大司教を殺るっていうの?」

「何なら、手伝ってくれるだけでいい。殺るのは俺が殺る」

俺はキャロラインに言った。


「そんな事言ったってあなた無一文じゃない。そもそも、あなた今は私の下僕なのよ」

「まあまあ、お嬢様。剣聖様がおっしゃるのも最もです。教会のトップにあんな薄汚れた奴が居るのは全世界のためにもなりますまい」

ダニーが言ってくれた。


「でも、無一文の奴の依頼を受けるわけ?」

「まあ、今はお嬢様の下僕の位置にいますからな。その地位をかけさせて、騎士に格下げするというのはどうですかな」

ダニーがなにか変なことを言ってくれた。

どう考えても下僕のほうが騎士よりも下だろう。


「ちょっとダニー、なによ、それは! それじゃあ格上げじゃない」

キャロラインは至極当然なことを言った。


「まあまあ、お嬢様。帝国の貴族の中にはお嬢様の下僕になれれば金などいくらでも出すという輩もおりますからな。そいつ等から見たら十分な報酬ではないかと」

ダニーがとんでもないことを言ってくれているんだが……


「いや、これは俺の依頼だから。何だったら借金でもいいぞ」

「何言っているのよ。報酬の借金払いはないわよ」

俺の言葉をキャロラインが否定した。


「俺はセドにかけていいぜ。教会のトップが薄汚れた人間じゃ、よくないだろう」

リックが俺に賛成してくれた。

「まあ、仕方がないですね。足りない分は教会から分捕るということで」

会計のトムがなんか理由のわからないことを言っているが、大司教を殺って、どうやって教会からぶんどれるんだろう?


「えっ、ちょっとあんた達、何言っているのよ」

「お嬢。既にベックマンを殺った件からして、持ち出しです。少しくらい増えても問題なのでは」

トムが笑って言ってくれた。

確かにそうだ。後で聞いた所によると、どうやら、俺が何も出来なかったベックマンをやっつける件は勝手にキャロラインがやってくれたらしい。俺を調べるついでに横領の件を知ったので、

「とっちめようとしたら、斬り掛かってきたから教会もろとも燃やしてやったのよ」

冷静になったキャロラインはさも当然のように言ってくれたんだけど。


「本当にあんた達、馬鹿ね。どうなっても知らないからね」

この時は頭に血が登っていたのだろう。そう言うとキャロラインは怒って出て行った。


「お嬢様!」

慌てて侍女がついて言った。


「良かったな。セド」

トムが声をかけて来た。


「えっ? 俺にはどうなったかわからないんだが」

俺が素直に聞くと、


「多数決で大司教に天誅を下すということになったんだよ」

リックが教えてくれた。


そうか、この傭兵バスターズは厄災女の独裁ではなくて多数決で決まるらしい。

俺はエインズワースに天誅を下せるなら何でも良かったのだ。

まあ、その準備に厄災女にこき使われることになるんだけど、報酬の一部だと思えば安いものだった。


ここまで読んで頂いて有難うございました

続きは今夜です

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