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怒りの剣聖視点 急遽呼び出されて小国に行く事になりました

俺は聖教会で懸命に働いていた。


大聖堂跡地で、それももっこで石や建材運びだ。


どこの剣士がもっこ運びを人夫としてやるところがあるんだ。


江戸時代の旗本の3男の夜なべ仕事、アルバイトじゃないんだぞ!


このままだと剣が錆びる。


その剣で石を切れとアシュビー司祭に言われた時は、


「はああああ? それは神に背く行為ではないのか?」

と流石に切れた。


「何を仰るのですか? 聖剣は神がこの世に授けしものです。神のお住いの大聖堂の再建に使って何が悪いのですか」

そう言われて俺は反論できなかった。


「おりゃーーーーー」

次々と魔術師によって飛ばされて石を俺が設計図通りに斬っていく。


こんな石屋みたいな仕事をしている剣聖がどこにいるんだ?


こんなの1日に金貨1万枚以上の仕事をしているだろうが。


ついでに斬った勢いで積んでいけだと、そんなの積めるか!


しかし、魔術師達と共同で、何とかずんずんと積上がっていったのだ。


やっている俺本人が唖然としたが……


「神はこの大聖堂を再建させるために剣聖をこの地に派遣されたのです」

アシュビーのボケナスは言ってくれるが、絶対に違う。


神は悪事に手を染めたエインズワース大司教を断罪するために俺を派遣してくれたのだ。


そして、悪の象徴とした大聖堂を厄災女に完膚までに破壊させたのだ。


それをアシュビーらに細々と再建させようとしていたに違いない。


なのに、俺がこんな事をして良いのか?


と思わないでもなかった。


まあ、俺はトムみたいに弁が立つわけはないので、反論できず、アシュビーに良いように使われていた。アシュビーが悪事に手を染めなければよいが。


苦労は自ら進んでしてこそ苦労なのだ。

判っているのかと俺は言いたかった。



そんな時だ。俺はいきなり仕事の途中で厄災女に呼び出されたのだ。


すべての仕事をすっ飛ばしてもすぐに来いと。


まだ、仕事は半分しか出来ていなかった。


アシュビーにその旨を言うと言ってもいいが、1日に1分の利息をつけると言われた。


まだ半分しか過ぎていなかったから、金貨5千枚。

一分ということは1日50枚だ。

おいおい、待てよ! 

10日で500枚。

5日延長されるじゃないか。

どんな高利貸しなんだよ。

俺は1日5厘に値引きしたのだ。


後でトムに

「何引っかかっているんですか。帝国ではそんな高利取ったら、捕まってしまいますよ。

普通は利子は取れて1年間で2割です。それでも高利貸しだと睨まれますよ」

計算したら1日0.5厘で済んだそうだ。10倍も高利をふっかけられていた。


なんとかしてくれと言っても

「受けてきたのはセドあなたでしょう。教会相手に私も強く言えません」

と言われてしまった。


「で、緊急って何だ。すぐに現場に帰りたいんだが」

俺か言うと、

「いやあ、古代竜が暴れていましてね」

トムが言ってくれた。

なんでも、帝都の前で厄災女が攻撃したが、逃げていったらしい。


「やはり、セドがいないと仕留められなかったのよ」

全然残念でなさそうな顔でキャロラインが言ってくれた。

どういう事だ?

こいつ逃がしたことを全然悔しく思っていないぞ。


なんでも、古代竜は怒り狂ってオールドリッチ公爵領を破壊して進んだそうだ。

「オールドリッチってどこかで聞いたことがあるぞ」

そう、何かで聞いた。


「私の元いたところよ」

ブスッとしてキャロラインが言った。

そうだ。キャロラインの親元だ。

親元ではひどい目にあっていたらしい。

うーん、逆にいじめていたと俺は思うんだが……


こいつ、帝都でわざと失敗したんじゃないのか?

親元を攻撃させるために。


帝国との契約では帝都防衛が優先だったそうで、それは達成したとのことだ。

帝国から金貨1万枚くすねたそうだ。

宰相は泣いて喜んだらしい。

その前に一個師団が消滅していたからそれほど大変だったらしい。


怒り狂った古代竜の前にオールドリッチの領地は大打撃を受けて現在逃走中だそうだ。

絶対にこいつわざとだ。

俺は確信した。


「貴様の故郷で倒すのか」

俺がかまをかけて聞くと、

「そんなのするわけ無いでしょ」

やっぱりそうだ。


「その先のシュバイツ王国から討伐の依頼がきたのよ」

「シュバイツ王国? なんか聞いたことがある名だな。でもそんな国あったか?」

「小国ですが、一応ありますよ。はるか昔、帝国の皇子が起こした国です」

「ああ、思い出した。年貢が取れ高の6割と、とても高くて有名な国だよな」

俺は思い出したのだ。


「そうよ。そこの国の国王から頼まれたのよ」

キャロラインは笑ってくれたが、何故かその笑みが胡散臭く見えたのは俺だけか?


絶対にまた碌でもないことを考えているに違いないと俺は確信したのだった。


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