変態伯爵に魔封じの首輪を嵌められて、魔術が使えなくなってしまい、危機に陥ってしまいました
危機一髪のキャロライン。
どうなる。
続きは明日。
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ミラーで反射して父と継母と妹を黒焦げにしたと言っても元々妹が攻撃してきた魔術だ。
それも妹は私と違って魔力もほとんどない。
可愛いものだ。
多少黒焦げになった程度で全然大したことはない。
しかし、私は後で、
厄災女は些細なことに激昂して、実の家族を黒焦げにしたとか、焼き尽くしたとか、挙句の果てには巨大くーレターを残しして消滅させたとか、めちゃくちゃ書かれ出すんだけど……
私は単にミラーで反射しただけなのだ。
今回、元々悪いのは妹だ。
妹がヒロインで私が悪役令嬢なゲームの設定は判るけど、これほど酷いことを言われる筋合いはない。
確かに皇太子の時は私が髪の毛を燃やした。
でも、今回は私からは何もしていないのに……
まあ、良い。私は元々悪い星の下に生まれてしまったのだ。
まあ前世でオレオレ詐欺をしていたのが悪かったんだろうと思う。
でも、思うに妹や継母、それに父ももっと酷いことを前世にしているに違いないと日頃の行いから私が思うのは決して悪いことではないと思う。
両親を丸焦げにして父の護衛騎士たちが怯む隙に、私は飛行船『アマテラス』に乗り込んだのだ。
「リック、発進して」
私は機関士兼操縦士のリックに命じていた。
白い巨船はゆっくりと我が帝都のタウンハウスを発進したのだ。
その時に騎士の一団が我が屋敷の中に入ってくるのが見えた。
「お嬢様。騎士達の先頭に皇太子殿下がいらっしゃるようにお見受けしましたが」
執事のダニーが言ってくれた。
「皇太子って髪はあるじゃない?」
私が上から見下ろして男を見て言うと、
「それは前皇太子殿下です。こちらは新しく皇太子殿下になられたハルムント殿下です。お嬢様と同じクラスに在籍されていた」
「ああ、あのきざったらしい男ね。どうせ、用なんて碌でもないことだと思うから無視していいわ」
「さ。左様でございますか? ハルムント殿下は前皇太子殿下と比べれば、月とすっぽんでとても出来た方だと思いますが」
ダニーが言ってくれるが、私はその言葉には頷けなかった。
良い殿下イコール私にとって良い方かどうかはまた別の問題だ。
頭の回る殿下の場合は色々と無理難題を言ってくる場合も多いのだ。かえって気を使わねばなるまい事も多いと思うし。まあ、今後帝国のために頑張ってほしいとは思うがそれだけだ。
なにか空に向かって叫んでいる皇太子を無視して、我が『アマテラス』号はゆっくりと領地を離れたのだ。
私は今将に冒険に出ようとしていた。
生まれ故郷の帝都を立とうとしていた。
心浮き立つものがあった。
999の鉄郎みたいな気分だった。
頭の中にはアニメソングがリフレインしていたのだ。
まあ、行き先がどうしようもないサディ伯爵のところだと思うと心は沈んだが。
サディ伯爵は調べれば調べるだけ、碌でもないものが出てきた。
禁止された人身売買にも手を出しているみたいで、普通ならば処刑路線一直線のはずなのだ。
そうしない帝国の騎士団や皇帝も皇帝だと私は思った。
まあ、私の傭兵バスターズの初仕事には丁度いいだろう。
今までの悪行をあげつらえて、私は庶民の前でサディ伯爵を断罪してやるのだ。
『天に代わって成敗いたす』
こう言い切ってやるのも良いかもしれない。
何のアニメの決め台詞かは忘れてしまったが。
そう、私は変態サディに負けるなんてこれっぽっちも思っていなかったのだ。
サディ伯爵領の手前で私は『アマテラス』を止めた。
そこからは馬車で向かうことにした。
伯爵の領地の館は巨大だった。
それも黒ずんでいて古臭い建物で、見た目は今にも幽霊が出そうだった。
「ほう、これはこれはキャロライン様。ようこそ、我が妻になりに、このサディ伯爵領にお越しいただきました」
でっぷりとしたサディ伯爵は私をいやらしい目で足元から頭の先まで舐めるように見てくれたのだ。
私は怖気が走った。
この瞬間、燃やさなかったことを褒めてほしい。
もっとも燃やしたほうが良かったと後で後悔したのだ。
「こちらは歓迎の首輪です」
そう言ってニタリと笑うと、サディは黒い花輪を私の首からかけてくれたのだ。いかにも胡散臭かった。
その瞬間だ。その首輪は私の首にピタリと嵌ってしまって、首を締め付けてくれたのだ。
「な、何だ」
私は首輪を取ろうとした。
しかし、いくら触っても首輪は取れなかったのだ。
そんな馬鹿な。
たとえ魔封じの首輪でも私の方が魔力が強ければ一瞬で砕け散るはずだ。
それが砕け散らないなんてどういう事だ?
私は唖然とした。
「はっはっはっは。何を焦っているのだ。我が愛しのキャロライン。今からゆっくりと主人自ら貴様を愛でてやるわ」
そう言うとその豚はなんと私に抱きついてきたのだ。
私は怖気で死にそうになった。
サディを燃やしてやろうとしても魔術は発動しなかったのだ。






