表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あいすくりぃむ you&me

作者: RN・マーチヘア

 蟻のように一日中働き詰めで、そんな自分へのご褒美は、コンビニで買ったお高めのアイス。

 帰りがけ、カパッ、と蓋を開け、深夜で人目が無いのを良い事に、はしたなく上蓋をナメる。

 そしてパッ、とそんな姿をハイビームに照らされて、私はドンッ!グチャッ! バタンッ!

 なにが起きたのか、一瞬で理解しながら、なにも理解出来ない。なんで目の前に私のヒール? ああ、やだ。もうこんなに足がむくんじゃってる。

 バタバタと慌てたような音と、キーキーと言い争うような声。そしてぐいっ、と身体が持ち上げられ、ドスン、と車の中に入れられる。

 病院に連れて行ってくれるんだ。でもどんどん街明かりが遠ざかって行く。こんな所に病院があるの?

 そして車が停まると、ずざぁっ! と地面に投げ出された。

 ひそひそと怯えたような囁き声。それが離れようとしていたから、私は必死に手を伸ばした。

「たす、け……」

「ひいっ!?」

 ゴッ!


 さわさわさわ。

 ぞぞぞぞぞ。

 ぷち、ぷち、ぷちゅり。

 ああああ、やめて、わたしをもっていかないで。

 ぶぶぶぶ。

 じーじーじー。

 ぐち、ぐち、ぐち。

 ああああ、そう、わたし、あなた、あなたたち、わたしたち、わたしあなた。

 ぎちぎちぎち。

 ばばばばば。

 みち、みちみちみち。

 ああああ、そう、わたし、かえして、あなた、いこう、あなたたちでわたしを。

 

 あいす。あいす、すき。ばにら、ばにら、ばにらあいす。

 そう、そこ。ここ。ここから、どこ?

 あっち。あっち。あそこ。そこ。ここ。

 こいつ。こいつら。あなたを、わたしたちを。わたし。あなたたちで。

 さあ、こいつらもわたしたち。


「ねぇ、どうするの?」

「大丈夫だって、先輩がバンキンやってっから、車はさ」

「でも、目撃者とか居るんじゃないの? 監視カメラとか」

「ンなもんバレねぇって! なんならここ離れたってーー痛てっ!? なんだ、蟻?」

「ちょっと、なんでそんないっぱい、いやぁっ!?」

「なんだよこれ、どっからーーぎゃあっ!?」

「爪、なんで、取れ、指、骨ぇっ!?」

「やめろ、持ってくな、俺の脚だぞぉっ!」

「いやぁぁぁぁっ! 頭ん中ぁ、出てけぇぇぇぇっ!」

「ああああ、おれ、おまえ、たち? おれはぁぁぁぁ」


 あはははは。ほら、これでもう、わたしたち。

 蟻の話です。伝わってますかね?

 臓器提供された人がドナーの記憶を継承する、みたいな話を聞いた事があり、それを蟻がOLさんの遺体をアレして群れがそのままOLさんに、みたいな事です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ